《 幸せのひろいかた 》  フェルトアート・カントリー木工 by WOODYPAPA

2007/01/19(金)09:13

第94回「スミス都へ行く」

青春時代「アメリカンシネマ」(102)

’39年の作品で、僕の生まれるずっと前、戦前の映画です。 こんな古い映画はやめとこうかと思ったのですが、「風と共に去りぬ(第61回)」と同じ年の公開でした。 あらためて「風と~」はすごいですね。 「風と~」のオールカラー、大スペクタクル巨編感に比べると、「スミス都へ行く」は、モノクロだし、見た感じも古っぽく、その意味では見劣りします。 カメラアングル、ライテイング、せりふ… 全部アナクロくて、テーマもまっすぐすぎて、純真です。 それでも、僕はこの映画が大好きです。 戦前のアメリカの、田舎っぽい“正義感”が柱に合って、国民がアメリカを信じているという、理想がにじみ出ています。 物語は、スミス(若き日のジェイムズ・スチュアート)という地方の純朴なボーイスカウトの青年が、ある思惑から、選挙に担ぎ出されて議員になってしまいます。 小泉チルドレンみたいなモンです。 しかし、このスミス君、純真で真面目だモンだから(小泉チルドレンと違って)、政治の腐敗を暴こうとしてしまいます。 ところがそれは、彼を担ぎ出した者達には望ましい行動ではありませんでした。 それで妨害を始め、スミスを窮地に追い込みます。 でも純真で真面目なスミス君は、正義のために、徒手空拳ながらも、議会で戦います。 最初は彼を小ばかにしていた秘書嬢の応援と知恵を授かり。 なんと、議会で24時間ぶっ通しで演説を続けると言う、愚直な戦法で。 アメリカの心に呼びかけます… ある時、ある人から、なにか面白い映画のビデオを貸して、と言われてこれを貸したことがありました。 この人なら、この映画の素晴らしさを共感できるのではないかと思ったからです。 でも、その感想は、「TOIさんらしいと思ったわ」とだけで、映画については何もコメントはありませんでした。 あの時は、ちょっと期待がはずれて、少し残念な感情がのぞきました。 これをきっかけに、映画つながりで交際を深めようとおもったのに。 僕のイメージはスミスなの? もうちょっと知的でクールに振舞っていたつもりだけど。 あの時は、複雑ながっかり感を覚えたのですが、今だったらとても嬉しい感想です。 純真、素朴、愚直…、ソウイウヒトニワタシハナリタイ。 人間は、枯れてきて初めて、心が実ってくるものです。 「風と共に去りぬ」の日本での公開は戦後でしたが、「スミス都へ行く」は1941年。 この年の12月、日本はこの純真で愚直なアメリカ国民に戦争を挑んでしまいます。 「スミス~」以外にもジョン・ウェインやチャップリンやいろんなアメリカ映画を日本人は見ていました。 だから、きっと日本人は、アメリカが好きだったと思います。 「鬼畜米英」なんてのは、一時的な、戦時社会主義時代だけの感情だったと断じます。 もともとアメリカ好きだったから、戦後すぐに「ギブミーチョコレート」とアメリカ兵に近づいたし、パンパンガールは喜んで身を捧げたんでしょう。 それが、イラクと違うところです。 ベトナムも違ってました。 日本だけが特殊だったということを、アメリカはしっかり記憶してなければなりません。

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