“愛”について
正月なので"愛"について語ろうと思う。"人類愛""親子の愛""友愛"、愛にもいろいろあるが、基本は"男女の愛"である。あなたも僕も"男女の愛"があったからこそここにいる。ご先祖様より、脈々と続く"愛の連鎖"があって、今を迎えている。遺伝子の伝達は、"愛"というシステムによって円滑に行われるのである。僕の"名言"コレクションの中から、『愛をはぐくむ世界の名言(名言発掘研究会編)』を引き合いにご紹介する。☆以下は、僕の解説。 愛がなければ、この世は墓場である。 ロバート・ブラウニング(イギリスの詩人)Take away love and our earth is a tomb.☆「君がいなければ、地球は墓石にすぎない」、なんてこと言って口説いたんだろう。「結婚は人生の墓場だ(ボードレール)」と言う格言もあるが、二つを照らし合わせると、結婚によって愛が失われると、地球が墓場状態になる、ということになるのかなあ。ロバート・ブラウニングは、恋人に2年間に574通のラブレターを送った。 愛するものは不可能を信じることができる。 エリザベス・ブラウニング(イギリスの詩人)Who so loves believes the impossible.☆ラブレターを送られたのがこちら、前出のロバート・ブラウニングの夫人。親の反対を押し切って、駆け落ちをして結婚した。一般的に周りに反対された結婚ほど、長続きする傾向が見られる。この二人も、エリザベスが55歳でロバートの腕の中で息を引き取るまで愛は続いた。詩人と言う職業柄、"愛"が生活の糧であったということもあるのだろうが。 恋をして失うほうが、一度も恋をしなかったよりましである。 アルフレッド・テニソン(イギリスの詩人)This better to have loved and lost than never to have loved ay all.☆恋を始めるものが、自分に勇気を与えるための言葉。恋をすることによって、人は人生の多くを学ぶ。老境に入り、生涯を振り返ると、恋をしたことだけが、イキイキと蘇る。恋をしていなかった時期が、実にもったいなかった。 愛はすべてに打ち勝つ。 ウェルギリウス(ローマの詩人)Love conquers all.☆『愛は勝つ』というKANの歌があった。♪ど~んなに困難で くじけそおでも 信じることさ かならず さいごに愛は勝つ~というやつだ。はやっていた当時は、類型的であまり好きではなかったが、今は結構好きだ。俵万智の『チョコレート革命』にこんな短歌が。 「愛は勝つ」と歌う青年 愛と愛とが戦うときはどうなるのだろう 愛のなかにこそ物事は存在する。体も、言葉も。 ジョイス・キャロル・オーツ(アメリカの作家)☆イギリスの動物行動学者リチャード・ドーキンスはこう語る、「生物は遺伝子によって利用される乗り物に過ぎない」。この体も、言葉も、遺伝子の"生き残り"と"増殖"のためのツールなのだ。男女が愛し合うのは、遺伝子のプログラムであり、愛を感じることで"脳"は快感を覚える仕組みになっている。"金"や"物欲"が満たされても、"愛"が欠けていたら、幸せになれないのはそのためである。 愛は支配しない。耕すのだ。 ゲーテ(ドイツの文豪)Love dose not dominate , it cultivates.☆ ゲーテに言われれば、はい、と言うしかない。愛し合う二人が、お互いを尊敬しあい、高めあうことが出来れば、時間が愛を熟成させてくれる。 愛とは、育てなくてはいけない花のようなもの。 ジョン・レノン(イギリス ビートルズ)Love is the flower you've got let grow.☆愛する人に、完成形を求めてはいけない。自分と同じ方向性のある資質を見つけ出し、育て合っていくものだ。相手も育つし、自分も育つ、そういう関係であってこそ"愛"を続けられる。 恋がいつ始まるか知ることはむずかしい。しかし、恋が始まったことを知るのはそうむずかしくはない。 ロングフェロー(アメリカの詩人)It is difficult to know at what moment love begins, it is less difficult to know that it has begun.☆恋は突然始まる。出会った瞬間、ビビビッと来る人もいるのが、たいがいの場合、身近にいた異性が、ある日突然変わって見えることに始まる。そして、恋が始まると、見るもの聞くものすべてが違ってくる。とにかく嬉しくて、楽しくて、幸せになる。"脳"がホルモンの作用で、快楽バージョンに変化するからだ。 愛とは決して後悔しないこと。 エリック・シーガル(アメリカの小説家)Love means never having to say you're sorry.☆映画『ある愛の詩(1970)』の名台詞である。http://plaza.rakuten.co.jp/sontiti/diary/200608140000/まだ生まれてなかった人のために、あらすじを。http://www.h2.dion.ne.jp/~mine/movie-0033.htm映画の中で、この台詞が二度出てくるところがみそだった。 愛するとは、自分の幸せを他人の幸せに重ねることである。 ライプニッツ(ドイツの哲学者・数学者・政治家)To love is to place our happiness in the happiness of another.☆自分も幸せ、相手も幸せ、WinWinの関係が理想の姿だ。相手の幸せのために、自己犠牲もいとわないことが"愛"であり、本当の"幸せ"につながる。 未熟な愛は「あなたが必要だからあなたを愛します」。成熟した愛は「愛しているからあなたが必要です」。 エーリッヒ・フロム(アメリカの心理学者)Immature love says "I Love you because I need you." Mature love says "I need you because I love you."☆「~だから愛する」と言うことは「~」がなくなれば愛は消えると言うことだ。"愛"はすべての始まりである。"愛"に理由は要らない。理由の着いた"愛"は不純である。容姿や経済力から愛は生まれない。名著『愛するということ』で、「愛は技術である」と言うフロムが、こうも言っている。「愛は自分自身の愛する能力にもとづいて、愛する人の成長と幸福を積極的に求めることである。(愛の実践の基本)」これが結論であり、すべてである。