ビタミンE
一時期、健康食品を売っていたことがある。アメリカの無店舗販売の商品で、ネットワークビジネスとか、マルチまがい商法とか言われていたものだ。31歳でリストラにあい、途方に暮れていたときに、妻の友人に誘われた。この会社のことは以前より知っていた。リストラにあった会社の社長の奥さんがやってたのだ。その時はさんざん批判した。その後僕もやるようになってから、僕以上に批判をした人に会っていない。なのになんで?と思われるだろうが、率直に言って、金に目がくらんだ。セミナーで成功哲学などを吹き込まれると、心に隙間のある人間はあっさり染まってしまう。僕ら夫婦は、グループ内でちやほやされ、すぐに頭角を現した。商品を売ると言うより、グループを作るのが仕事で、売っているのは『夢』だった。そのままやっていけるかとも思ったが、自分のグループが大きくなると、新たに人間関係の問題が発生するし、24時間電話が掛かってきてまともな生活はできなくなるようになりうんざりしてきた。セミナーに出ても、金・金・金で、騙しているのではないが、本当ではないというジレンマに悩むようになった。実際そんなにうまくいくわけがない。夫婦仲も悪くなり、仕事先でトラブルが発生し(この間、知り合いの文房具屋に勤めていた)精神的にも破綻した。五年やって、多くの借金がのこり、友達がいなくなった。 そんなことなので、この期間のことは一切封印していた。整理がつかない、誰にも話せない過去の傷だ。今なぜ話しているのかと言うと、この間にサプリメントのことを勉強したということを伝えたかったからだ。会社からの情報だけでなく、それを検証するための様々な知識も得た。会社のパンフレットには大げさなところもあり、不明瞭なところもある。納得がいくまで調べた。確信を持って人に勧めるには当然のことだ。勉強した結論としては、「栄養は食事で摂れ。」普通にバランスの取れた食事ができるならビタミン不足の障害になることはまずない。ただし、バランス上かける部分があれば、信頼できるサプリメントで補充しろ。バランスを欠くと、せっかく摂ったほかの栄養も無駄になる。これが基本だ。そうは言っても、栄養知識のない人が自分の摂った食事で何が欠けているかを判断するのは難しい。栄養士なら解るだろうけど。それで、マルチビタミンという総合ビタミンサプリメントを飲むことを勧める。正直、プラシーボ効果という思い込みもあるだろうが、これを飲んでいるだけで安心と言う気持ちになる。 以前サプリメントを販売していた時に、自分でも飲む訳だが、実感としてこれはいいなと特に感じたのは、ビタミンB群とビタミンEだ。B群については栄養ドリンクなどで体験しているだろう。このコラムも最初の頃は健康についてのアドバイスを書こうと思っていたので、ビタミンBにも触れている。http://plaza.rakuten.co.jp/sontiti/diary/200506140000/http://plaza.rakuten.co.jp/sontiti/diary/200506210000/ 栄養補助というより薬理効果が現れるビタミンだ。そしてビタミンE。前置きが長くなったが、今回はビタミンEについて語る。 まず、ビタミンEの生理作用を羅列するとこうなる。 ○ 過酸化資質を分解し、細胞膜や生体膜を活性酸素から守る。○ 赤血球膜脂質を酸化から守る。○ 毛細血管の血行をよくする。○ 酸素の利用率を高め、耐久性をよくする。○ 黄体ホルモン、男性ホルモンなどの生殖分泌をよくし、生殖機能をアップさせる。○ ビタミンA・C、セレンの酸化を防ぐ。○ 神経系を守り、神経障害を防ぐ。○ 核酸の合成に関与。○ がん細胞の成長を妨げる。 (女子栄養大学教授・辻村卓監修 ビタミン&ミネラルバイブル) ビタミンEは「ビタミン・セックス」といわれるほど生殖に関与している。化学名「トコフェロール」はギリシャ語の子どもを生むという意味の「トコス」と力を与えるという「フェロ」を組み合わせた言葉だ。脳の深部にある「脳下垂体前葉」に高濃度に含まれ、ここがホルモン分泌の司令部になる。ここにビタミンEが不足すると、ホルモン不足で不妊、流産の原因にもなる。男性にとってもビタミンE不足は精子の減少に繋がる。不妊はとかく女性に責任が向けられるが、男性に原因があるケースも同数あるという。男女とも生殖に関わる限り必要となる。僕の販売経験でも、生理不順が整った例などは多数あり、あきらめかけていた妊娠が実った人もいた。終わった生理がまた始まったという人もいた。僕自身も含め、男性のほうも効果が現れた。プラシーボ効果もあるとは思うが。 次に重要なのは、「抗酸化作用」だ。これはすなわち、「老化防止」を意味する。「老化」がなぜ起こるかと言うと、体内の活性酸素が体をさび付かせてしまうことによる。活性酸素は、もともと免疫機能の一部なのだが、何らかの理由で過剰に発生した場合、細胞を攻撃し、傷つけてしまう。ガンの原因は、活性酸素の攻撃による、DNAの破損と考えられている。よって、活性酸素を抑えることは、ガンの予防になる。ビタミンEは、脂溶性抗酸化物質なので、脂に溶けて過酸化脂質の暴走を抑え、悪玉コレステロールのLDLが酸化するのを阻止する。血液がサラサラとなり、動脈硬化を防ぎ、心筋梗塞、脳卒中、白内障、緑内障を予防する。肌のシミ、シワも予防する。ビタミンEを「若返りのビタミン」と呼ぶゆえんである。僕も多少若く見られるが、ビタミンEのおかげかもしれない。 さらにビタミンEには、毛細血管の血行をよくする作用がある。毛細血管の血行がよくなるとどうなるかと言うと、冷え性、手足のしびれ、肩こり、しもやけが改善すると言うことだ。血管を制するものは健康を制すると言われるように、とにかく柔軟性のある血管と血行が健康のポイントになる。ヨーガと半身浴と呼吸法を推奨してきたのも、ひとえに血行のため。ここにビタミンEを加えれば完璧だ。 ビタミンEには種類があることが調べてみて解った。α、β、γ、δと別れ、さらに合成、天然型、天然の3つのタイプがある。薬理効果を考えるなら一番効果の高い、「天然ビタミンE」を選んだほうがいい。天然ビタミンEは、d-α-トコフェロールと表示されている。何らかの症状を持って治療が必要な人は、信頼のできる会社のd-α-トコフェロールの表示がある商品を選ぶことを勧める。ちなみに僕が今飲んでいるサプリメントは表示がない。安かったからなあ。効果はあったと思うけど。