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カテゴリ:ユニバーサルデザイン
![]() 反発も大きい(2) 私はずっと前から気にして比較していた建物がある。パリのエッフェル塔と東京の東京タワーだ。どちらも高くシボリックで、都市の顔として大きな存在である。かつ、2つの塔はお国柄の気質の違いを主張するシンボルでもある。 パリ エッフェル塔 1889年、フランス革命100周年を記念したパリ万国博で、高架橋技師のギュスターブ・エッフェルが設計したもの。高さ321m。1991年、塔を含むパリセーヌ川周辺は世界遺産になっている。 パリ万博の顔として建設された塔は、パリ市民から思わぬ反発と批判を受けた。「グロテスク」「景観を損ねる」と。 観光の目玉になっている今では考えられないことだ。フランス人は、かなり保守的なんだと思う。かなりガンコだ。フランスの文化遺産を守り抜くという意識の高さは世界一かもしれない。 パリ万博の顔を任されたエッフェルは、大阪万博の「太陽の塔」を製作した岡本太郎のように、国内では名の知れた人物だったのだろう。しかし、自身の名をつけられたエッフェル塔がパリ市民から認知されるには、数十年の月日が必要だったのである。 余談だが、フランスの偉大な建築家コルビジェは、自国フランスでは小作品しか残せなかった。しかも郊外で。新しもの好きでないフランス人には受け入れられず、海外に出て花開くのである。 東京 東京タワー 1958年、テレビ塔の権威者である東大の故内藤多仲先生の傑作。高さ333m。エッフェル塔のあと69年後に建てられたものである。 内藤多仲先生は、大阪2代目通天閣、札幌テレビ塔、名古屋テレビ塔など日本の名だたるテレビ塔を設計し「構造設計の父」と呼ばれた方だった。 東京タワーは、エッフェル塔に比較して鉄骨量、建設工期、費用、高さにおいて優れているといわれている。合理的である。 だが、私はデザイン的にはエッフェル塔の方が勝っていると思う。 パリにおいて受け入れられなかったエッフェル塔だが、東京では賞賛の声とともに東京タワーは都市に溶け込んでいった。東京は、どんなものでも合わせ飲む底知れぬ懐の深さがあると思う。都市が、景観が変化していくことに日本人はあまり抵抗がないようだ。建築家の活躍する場としては最適なところなのかもしれない。 日本人は新しもの好きだ。過去にあまり執着しない。だが、もう少し自国の、地元の文化を大切に残すことに注意を払うべきだと思う。保守的なガンコおやじがもっといなくてはならないのだ。 当社のホームページ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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