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カテゴリ:読書記録
ちょっときつかったかなあ~。これを読んだせいか、風邪を引いて熱出してしまったのでした。この3日間、夕ご飯作ってません。 母親は入水し、父親の虐待によって姉を殺された妹が医師となったのは「いつでも死ねる手段」を手に入れるためでした。献身的な訪問医療を続けるのも、誰かのためになっていなければ生きることの意味を見出せないからです。 そんな彼女がやはり献身的な医療を続けるホスピスの病院長・長瀬と婚約します。そこに、かつての恋人だったピアニスト、ヒデが脳腫瘍の患者として現れます。かつての自分をもっとも知っているヒデと、過去を何一つ訊こうとしない長瀬。 結婚前に現れる元恋人。このありきたりのシチュエーションを安達さんが描くと、かくも過酷な自己吟味になってしまうんですねえ。 最近出た文庫版の帯には「涙必至」みたいなことが書かれていましたが、ヒデの出現の本当の理由を知るシーンがあまりにあっさりしていて、(そこがまた彼女らしいのですが、)そこで涙できる人ってあまりいないのではないでしょうか。 「死ぬこと」が目的で生きている人間というものに一体どのくらいの人が同化するのか、安達さんはどれもそういう側の人間として書ききっています。読むだけでもインパクトあるのに、書くことによる体力消耗はどれほどなのでしょう。 逆に書くことによって救われているのでしょうか。 自分は言ってみれば「かつての自分」をそこに引きずり出されてしまう人間です。 せっかく覆った枯れ木や落ち葉がもろくも崩れ去り、底なしの大きな穴に落とされてしまう。 救われるのは、婚約者である長瀬がそんな人間を大きく包み込む男であるということです。でもこれは逆にそういう人間に巡り合わなければ救われないということでもあり。。。。とまあ、どこをとっても自分には危険なお話でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年05月24日 21時39分25秒
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