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カテゴリ:読書記録
これでシリーズ4作目。同じ作家をこれだけ連続で読んだのは大沢、宮部以来かな。 さて、おなじみ東城大学附属病院の田口先生は、今回リスクマネージメント委員会委員長ということで怪文書の謎にとりかかります。内容はジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)の異名をとる救急外来の絶対君主、速水医師が、収賄をしているというものでした。 時間列は『ナイチンゲールの沈黙』と重なり、例の歌姫冴子さんが如月看護師の機転で命を取り留めるところから始まります。同じ時間を違った視点で描く手法ですが、あえてそれをやる必要があったのかどうか、それが疑問でした。冴子さんと速水の関係がいつか描かれるためなのかな? キャラクターでよかったのは姫宮さんですね。ミス・ドミノの本領発揮というところでしょうか。彼女の存在が前半を和ませながら進ませます。 それでも圧巻は病院内のお歴々のやりとりですね。それを速水がぶち抜きながら突っ走る。それができるのは確固たる自信です。もちろんそれは優れた能力が裏打ちしています。 わがままを通したり、相手にストレートに意見をぶつけて反感を招く御仁というのはよくいるものですが、実力があれば、その反感が賞賛に変わるわけです。なかなかこれをもち得ている人物というのにめぐり合ったことがなくて、それはまあ、環境の違いというものなのでしょうが、こんな人間に一度会ってみたいものです。 読み終えてみれば、たいした事件らしいものもなく、ほとんどはトークバトルなのです。それをここまで迫真の舞台にしてしまうの技というのでしょうね。 それにしても田口先生はいつのまにかものすごく勘のいい優秀な人間になっていますねえ。 今回白鳥はたまごっちに夢中で、あまり活躍しませんでした。やっぱり不細工な小太り男より、スマートな将軍のほうがかっこいいですものね。 海堂氏、もう次の作品を出しているんですねえ。まだ図書館には入っていないかな。早いうちに予約しておこうっと。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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