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2008年03月05日
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カテゴリ:読書記録


 最近角田さんに注目しています。今新聞に連載中のも欠かさず読んでます。

 マザコンというタイトルから、どんな不甲斐ない男が登場するかとおもいきや、主に女性が母への思いを語るものが多かったです。
 タイトル作のほかにも男性が出てくるものはありましたが、角田さんは女性の心理を書くほうが向いてるなあ。それも、突飛だったり型破りだったりする人物ではなく、多くの普通と呼ばれる女性の心理です。

 ちょっと意外だったのは、出てくるお母さんのほうです。延々愚痴をいうことで日々を過ごす母。呆けて親戚と仲良くなっている世界から出てこない母。いわゆるこれまでの「母」のイメージからは程遠いものばかりです。それを見つめる娘たちも冷ややかなんですね。

 実際はこういう親子のほうが多いのかもしれないな、と妙に安心しました。

 いちばん印象に残ったのは「鳥を運ぶ」です。入院した母が飼っていた6羽のインコをケーキの箱に詰めて電車で運ぶというお話。手伝ってくれそうな人間は離婚した元夫しかいないというのが切ないですなあ。
 ケーキの箱がホラー映画みたいに動いたり、動かなくなった箱にふたりで注目している様がありありと浮かぶのです。

 短編なのでもう少し続きを読みたいと思うものばかりでしたが、そこで終わるのが名手ということなのでしょうかね。ついついだらだら長く書いてしまうのは、下手だってことですね、はい。





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最終更新日  2008年03月05日 19時36分11秒
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