ウクライナの栄光は滅びず
自由も然り
「反転総攻撃が開始された」
『見よ、わたしはすぐに来る。わたしは、報いを携えて来て、それぞれの行いに応じて報いる。』ヨハネの黙示録21.22-22.12
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ブログ短編小説
『ブラックボックス作戦・ザポリージャ』
この物語は、ウクライナ外国人義勇兵の「俺」が主人公である。
『ウクライナの反転攻勢はいつか?!』
『4月末?』それとも『5月……!』
『反転攻勢のエリアは――?』
俺はザポリージャ州の南部前線から100kmほど離れた所にある、ウクライナ外国人義勇軍中隊司令部基地内の地下室で休んでいた。
ウクライナ国内のすべてのマスメディアに報道規制がかかり、反転攻勢に関する具体的情報は一切出ていない。俺がスマホで欧米のニュースwebを観ると、ウクライナ軍の反転攻勢と進軍路地域、規模等に関し、各国の軍事評論家・軍事アナリスト等の予測が盛りだくさん取り上げられていた。
そのどれもに共通なのは、こうだ。
『ウクライナ軍の反転攻勢は、ザポリージャ州の南部戦線からだ。メリトポリからクリミヤ半島。メリトポリからアゾフ海のロシア軍の回廊を分断させる作戦である』
俺は分隊長だが、ウクライナ軍の反転攻勢について知ることもできないが、知る必要もない。なぜなら、ゼレンスキー大統領とウクライナ軍総司令官等の繊細かつ大胆さ、チェスの名手のような読みの深さ、そして彼らの同胞愛・祖国独立の強靭な信念が、この一年でウクライナ軍全体に、厚い「信頼」となって根付いているからだ。
俺はバフムトを始め、ロシア軍の侵略占領の拡大にウクライナ軍総体が士気高く抗していること自体が、反転攻勢戦略の一貫だと思っている。プーチン・ロシア軍が国土の3分の一を不法かつ非道に占領した時点から、反転攻撃の「計画」は立てられ準備してきたのだ。
俺がウクライナ外国人義勇兵に参加したときに、俺たちは、ウクライナ軍総体の指揮下にある将棋の「歩」だ、と理解していたものである。だが、俺たち分隊が「歩」でも、常に活きた「歩」でなきゃならないのだ。「歩」が敵陣に入れば「成金」となるのだ。そうも意を決している。
俺は時々思う事がある――将棋の天才だと、「王将」を敵の侵略軍司令本部要衝と見立て、AI予測と一致した攻略戦略と戦術を76秒で導き出すだろうとも。但し、捕虜をウクライナ軍兵士として戦力化が出来ないが。(極稀に自由ロシア義勇軍に参加するロシア兵捕虜もいる。これにはウクライナ軍及びウクライナ情報機関の厳格な審査を通らなければならない。2重スパイもいるからだ)。
また囲碁に例えるなら、敵の占領地――ロシア侵略軍が囲んだ布石――の弱点を見つけ、敵が予想だにしない手を繰り出す天才棋士もいるだろう。ウクライナの為政者とウクライナ軍総司令部について、俺はそう実感している。
俺は大いに自慢したい。
俺の分隊(12人になり、分隊でなく小隊と言うべきだが、俺は分隊と言い張っている)の死傷者数が、手にかすり傷を負った2人を除くと皆無な点である。お蔭で、俺の分隊の士気はウクライナ軍兵士のそれと同程度となっているのだ。技量も――
朝、中隊長から命令があった。
「ザポリージャ州のロシア軍某前線の偵察を行ってくれ。敵の弱点を探ってくれ。ドローン・衛星情報でもやっているが、君の眼で確かめてくれ。3日間の偵察時間を与える」
俺は即座に答えた。
「了解しました」
踵を返そうとしたとき、中隊長が言った。
「君の注文した物は3日後に届くよ」
「サンキュー! 中隊長」そう答えると、中隊長がほほ笑んでいた。俺と英国人中隊長とは、馬が合っている。これまでも俺の頼みを「yes ok」で飲んでくれている。鵜呑みの丸呑みだ。
俺はウクライナに来る前に独自の策を練り、ある品は自前で、別な物はウクライナ軍が費用を持ってくれている。今度届く物は、いつ使うか? それはウクライナ軍の反転攻勢に使う物なのだ。
ウクライナ軍報道官も言っている――国際法に違反しない「あらゆる手段」を使う、と。
(つづく)