本番
本番当日。コンクール会場で朝、2,3度練習した。外での練習だったので、声がどのくらいなのか、よく分からず、しかもそれがかなり小さくきこえたので本番が少し心配になった。コンクールは1、2、3年と言う順番で行っていく。1、2年の発表のときは、「このクラスが金賞かな」とかブツブツ呟いたり、一緒に小声で歌っていたりしていた。去年のこのときは相当緊張していたはずなのに、今年は全然緊張しなかった。1、2年の発表が終わると、休憩があった。最後の練習である。3年では発表順番が2番目なのでさすがにこのときからは緊張していった。疲労が溜まってるせいか頭がいたくなってきた。練習の最中も、あんまりしっかりと意識している面がなく、ソロの人が歌う部分なのに、歌いかけてしまった。それが自分を更に緊張させた。休憩時間はあっという間におわった。席に着くとすぐに学年合唱。「少年時代」だ。授業でも学活でもほとんどやらなかったので、カンペを見ながらだった。学年合唱は歌った気もしないままおわった。クラス合唱は次の次だ。スタンバイ位置につくと、トップバッターのクラスの歌を間近でみていた。しかしそのクラス歌はどうでもよく次の自分のクラスが成功するかどうかということで頭がいっぱいだった。入場の順番とかどうでもいいところまで、なぜか気にしてしまったりした。そんなことをしているうちに、自分達のクラスの発表の時がきた。意外と会場は音が響くし、舞台に上がると、ライトでほとんど前の客席が見えないことに気がついた。少しは緊張が和らいだが、それでも今までに無いほどのものだった。歌いだしは女子が歌う。本番も普段どおり女子が大きな声で歌ってくれたので、自信がついて、少人数のテノールも声を出すことが出来た。歌い始めると、あとはいつもどおりというのを意識した。緊張した場面で力を入れすぎると逆効果だと思ったからだ。発表は無事におわり、心の中でほっとため息をついた。その日の最後、発表があった。結果は銀賞。体育祭に続いてまた2位である。ゲストできたフルート奏者の批評があった。「もっと冒険してもいいんじゃないかなあ」確かにそうは思った。しかしそのことに関してはまったくの素人なので、どこをどうしたらいいのかまったく分からなかった。