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坐式・八段錦

坐式・八段錦
 
坐式・八段錦(はちだんきん:はちだんにしき)とは、
中国導引術(気功)をまとめた健康法で、
八種の操法から成り立っています。

錦とは織物=集めて織り込み形にしたもの。イコール”集典”の意味で、
インドで”スートラ(横糸)”を経典の意味で使っているのに同じです。
また錦(きん)は”筋”と音が一緒であり、 筋=経絡の筋道というようにも解釈されます。

八段錦には、このページで解説する1、坐ってやるもの 2、立って行なうものがあり、それぞれ内容が違います。

坐式は静的なもので、唾を湧かせ飲み込んだり、
生命のエネルギーに関わる”腎”をさすって働きを高めたりというように
仙術・不老不死の健康法のような感じです。
それに対し”立式”は動的で、動功、動く気功体操です。

それぞれまた、違うやり方のバリエーションがありますが、
あまり堅苦しく考えず、自分の身体感覚、気の感覚を味わいながら、
その違いも楽しんで見てください。


1、叩歯鳴鼓(こうしめいこ)
叩歯鳴鼓(こうしめいこ)坐式・八段錦

楽な座り方で坐り、八段錦の1番目の操法をしましょう。

1-1、「叩歯」
上下の歯を、カチカチと音が出るように36回噛みあわせる。

 力を抜いて口を開け閉めし、歯を噛み合わせます。

 口を動かすこと、また歯の振動は、
 口の中の刺激活性化だけでなく、
 脳への刺激となります。


1-2、後頭部に指を組んだ掌を当て暖める。

 頭の後ろで手を組み、掌で後頭部を温めます。
 (別法:手は組まないで、後頭部を指圧し揉みます。)

 後頭部は”腎”の関連部位ですから、
 この導引操法は東洋医学の複合機能としての”腎”
 (人体の生命エネルギーや、
 体液のフィードバックを司る経絡・臓器。)の働きを高めています。

1-3、「鳴鼓」
掌で耳を覆い、人差し指の上に中指を重ね一瞬力を入れてから、
人差し指を外し、指を弾いて後頭部を叩き、その音を頭蓋に響かせる。24回。

 掌で耳を覆って外部の音を遮断し、
 指を弾いて(指パッチン)後頭部を叩き、音を響かせます。

 ヨガ操法に耳を塞いで体内の音を聴く呼吸法や瞑想法がありますが、
 これも同じような体内音に意識集中する効果と、
 頭蓋骨内部に音を響かせることで、
 脳に刺激を与える効果を出します。

2、揺動天柱(ようどうてんちゅう)
揺動天柱(ようどうてんちゅう)坐式・八段錦
頭をゆっくり左右に傾け肩先を見る。24回。

 楽に坐り、手をお腹の前で組み姿勢を整えましょう。
 背筋を伸ばし首を真っ直ぐにしてから、
 ゆっくりと首を左右に傾け耳を肩に近づけます。
 視線は横目づかいに肩を見るようにしましょう。
 何回か動かし動きが滑らかになったら、動かす角度を変え、
 うつむき気味にしてみたり、
 ちょっと上向きにしたりして下さい。

 肩は上がらないようにリラックスです。

 (別法:振り向くように”横を向く”やり方もあります。)

  この導引気功は、首の筋を伸ばし、
頚椎を動かして首の気血の巡りを良くします。

首は神経や血管、気道(空気)、
食道(栄養)と大事なものが集中して通る部分です。
デリケートで大事な体の部分ですので、
ゆっくりとほぐして行ってください。

先の”叩歯鳴鼓”で頭部、口の刺激、
そしてこの”揺動天柱”では”首”と刺激部位が移動しました。坐式・八段錦の続き

3、赤龍攪水(せきりゅうこうすい)
赤龍攪水(せきりゅうこうすい)坐式・八段錦
口の中で舌をまんべんなく動かし、
湧いてきた唾液を3回に分け飲む。

 口の中で舌を上下左右、また回すなどして動かしていくと
 唾が沢山湧いてきます。その唾を3回に分け飲み込みます。

これは口の中の気血の流れをよくし、消化をよくする導引術です。
唾液には消化酵素とともに、若返りのホルモンと言われる”パロチン”が含まれています。
”赤龍攪水”はこれらの分泌をよくする効果があります。

「パロチン  耳下腺・顎下腺から分泌されるホルモン。
  骨成長作用があるとされる。唾液腺ホルモン。」
   三省堂 「大辞林」より

この”赤龍攪水”は八段錦の別の操法と組み合わせて行なったり、
全部やり終えた後の”収功(納めの気功)”で、締めとして行なうこともあります。

4、背摩腎堂(はいまじんどう)
背摩腎堂(はいまじんどう)坐式・八段錦
掌を擦り暖めてから、腰背部(腎臓のあたり)に当て、上下に擦る。

両手のひらを合わせ、暖かくなるまで擦り、腰に当て、腎臓のあたりを中心に上下にさすりましょう。

手の熱感を背中に伝えます。

その後、丹田からヘソのまわりにかけて”火の輪”が燃えているのをイメージし、
熱の感覚を感じる。

息を止め、肛門を締め、お腹に火の輪っかが燃えているようにイメージをしましょう。
このとき、心臓に暖かい気の火をつくり降ろしてきたり、また”赤龍攪水”を行い、その唾液を熱感に変えたりという
前段階のバリエーションがあります。
(*この操法は、ヨガのクンダリニー法を連想させます。)

先天の気、水分代謝を司る”腎”は東洋医学で重要視される概念で、
この”背摩腎堂”はその腎を養生する導引気功法です。


5、単関轆轤(たんかんろくろ)
単関轆轤(たんかんろくろ)坐式・八段錦

片方の肩を後ろに糸車を回すように動かす。
36回×左右。

片手を背にまわして、手の甲を背中に当て、
肩を後ろに回します。
肩先だけでなく、肩甲骨全部を大きく動かしてください。
普段動かさない人は、胴体の各部分が、
癒着して個別に動かしづらくなっています。肩もそうです。
肩甲骨、鎖骨、胸骨、上腕骨の関係をこの導引術でほぐして、
気血の流れを良くしてください。
左右、両方行ないましょう。
(手を後ろに置くのがキツイ方は、体の前の楽な位置に置きましょう。)
応用:肩がほぐれてきたら、腕を背泳ぎのように動かしてみてください。

歳をとると肩が硬くなり、四十肩・五十肩という症状がでてきます。
それの防止とリハビリのため、この”単関轆轤
”つぎの”双関轆轤”をお勧めします。

6、双関轆轤(そうかんろくろ)
双関轆轤(そうかんろくろ)坐式・八段錦

両方の肩を36回、後ろに回す。

先の”単関轆轤”は片方づつの肩回しでしたが、
これは両肩を同時に後方に回します。

手は体の前に置き、
ボートの櫓を漕ぐような感じで両肩を後ろに回しましょう。

 (別法:左右の肩を時間差をつけて交互回しにする方法もあります。)

 応用:ヨガをされてる方は、
 両手を後ろ合掌で双関轆轤をしてみてください。
 またゴムカアーサナ(牛の顔のポーズ)のような
 ”後ろたすき”の状態での肩回しも大変効果があります。

この導引で、上背部・肩と腕の気血の流れがよくなります。

7 托天按頂(たくてんあんちょう)
 托天按頂(たくてんあんちょう)坐式・八段錦

両足を揃えて伸ばして坐り、
両手を組み、 掌を上向きに返し背伸びをし、
次に掌を下に向け、頭頂部を押さえるを、9回繰り返す。

両足を伸ばし長坐で座ります。
両手を組み手のひらが上に向くように頭上に上げ、
背伸びしましょう。
背すじを伸ばし、背骨に気を入れるイメージです。

次に手のひらを下に向け、
頭頂部に降ろし”百会”を圧迫します。
このとき背骨の下端の仙骨・尾骨まで、
すーっと掌の気が通るイメージです。

仙骨部分と頭蓋骨は呼吸のとき連動し動いています。
また、髄液がこの両端を巡回しています。
その連携をよくする気功導引がこの”托天按頂”です。


8、低頭攀足(ていとうはんそく)

低頭攀足(ていとうはんそく)坐式・八段錦

伸ばした両足を手で持ち前屈、戻るを12回繰り返す。
八段錦、最後は足を伸ばした前屈です。
(膝を軽く曲げた姿勢でいいです。無理なさらないでください。)


八段錦は、上から下へ気を動かす流れでメニューが組まれています。
この前屈で、7の操法によって仙骨尾骨まで下ろした気を、
足先まで動かしているのです。

そして足をつかむことで、
5~6の導引で流れをよくした手に気を戻す輪を作っています。

 *上から下への流れはインドの気の操法である”クンダリニーヨガ”の逆の流れです。

この”低頭攀足”、前屈の導引気功は
・背中、背骨から脚の裏側を伸ばし柔らかくします。
・腎臓によい動きです。 ・お腹のぜい肉を取ります。
 ・消化の働きをよくします

 *収功 

8つの動きを終えたら、楽に坐った姿勢に戻り、呼吸を整え、姿勢を整え、心を整えて下さい。

調息、調身、調心です。


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