最近は残念ですが、”沖ヨガ”を知らない方が増えました。
「沖ヨガって沖縄に関係あるヨガですか?」って言われたこともあります。
そこで簡単な12ページの小冊子を自分で作って配るようにしました。
以下はその冊子からです。(イラスト、写真は省略しています。)
沖ヨガ☆OKI・YOGA「沖ヨガについて簡単なガイド」
スタジオ Lotus8沖ヨガクラス担当
龍村ヨガ+呼吸法インストラクター
渡邊 昇
2009 9/15 第1版
「沖ヨガって?」
沖ヨガというヨガ(流派)をご存知ない方が、最近は多くなりましたので、
この小冊子を作らせて頂きました。
特に若い方は”沖ヨガ”って知らないようです。
昭和30年ぐらいからヨガを日本中に広める原動力になったのが沖ヨガなんですが、
時代が変わりましたし、アメリカ経由で入ってきたヨガが主流になって、
そのライフスタイルを含めたものに憧れてヨガを始めた方が多いので無理もないことです。
沖ヨガは、沖 正弘先生(1921~1885)により作られたヨガです。
昭和32年ヨガ行法哲学研修会として組織的活動を開始。
昭和35年日本ヨガ協会設立。
その内容はインドヨガだけでなく、中国や日本といった
東洋の修行法・鍛錬法・健康法を統合したものになっています。
東洋の身体文化や、精神文化を広く包括したものを”
ヨガ(結び:調和:方法)”という名前で代表し表現しているわけです。
沖先生の愛弟子、龍村修先生は「広い意味でのヨガは
中国にも日本にもあり”オリエンタルエクササイズ”とか
”シルクロードヨガ”と言っていいものだ。」と定義されています。
当時の激動の経済高度成長期に、沖ヨガ教室が日本全国に普及した事実は、
沖ヨガの効果が急激な生活の変化ストレスで、疲れ、病み、
悩んだ人たちの求めるものに応じられたと言う事の証明です。
これからも激しく変化していく日本や世界の人たちの
真に求める、健康・体づくり・生活法に対応していける
”東洋の叡智”の宝庫が沖ヨガだと私は考えています。
沖ヨガ道場で学んだことのあるヨガの先生も、多数ご活躍されています。
友永淳子先生(友永ヨーガ学院)、大槻高弘先生(大槻ヨガ)、内藤景代先生(NAIヨガ)、
藤本憲幸先生、伊藤昇先生(胴体力:飛龍会)、
田原豊道先生、橋本光先生(フィットネスヨーガ)・・・
その実績から”日本ヨガの父”と称されるのが沖 正弘先生なのです。
また逆に沖先生、沖ヨガに影響を与えたのは
「あなたは、自分の組織をつくって活躍しなさい。」と
後押ししてくれた日本ヨガの祖”中村天風”先生(天風ヨガ、(財)天風会)であり、
陰陽哲学・自然食の大家の桜沢如一先生(マクロビオティック、CI協会)です。
このように見て行くと沖ヨガの日本ヨガにおける位置がおわかりになられるかと思います。
沖ヨガの特徴「吐く息で動作」
沖ヨガには、特徴的な動きや呼吸の仕方がありますので
それをご説明します。
体を動かすのに慣れていない方や体の固い方が、体を動かしやすいようにするために、
口から吐く息でお腹(丹田)を締め力を集め、
力学的・心理的な中心点を作って動くことを多用します。
集中体・統一体の心身の使い方です。
そうすることで動作に安全性・安定性が出てきます。
呼吸がしづらい慣れない動きや
激しい動作(強化法)で鼻から息を出すのはキツイので
口から息を出し、長さや吐く量をコントロールしやすくしています。
また息を吐くことで副交感神経(リラックス神経)を
優位にし、先に作った集中:コンセントレーションと弛緩:リラクゼーションの調和をしています。
動作と呼吸の関係で”息を吐きながら反る”など
他のヨガとは逆の呼吸動作も出てきますが、意味あってのことです。
(もちろんインドヨガの仕方で鼻から吸い鼻で出し、
吸って胸を膨らませ体を反らせることもしますし、
「呼吸と動作の強弱、速さ、意識の持ち方などを様々に組み合わせて違う効果を生み出せるから
研究体得しなさい」と龍村先生に教わってます。)
*参考までに
あなた自身が真冬に滝を浴びる、
滝行をしていると想像して下さい。鼻呼吸でゆったりとしてられないはずです。
体に、冷たく痛い水が叩きつけるように降ってくる、そんな時は、”口から強く息を吐く気合呼吸”をすることが、イメージの中でも効くということを実感できると思います。実際の行では、経や真言(マントラ)を唱えながら息を強く吐き出しています。
三大行法
特徴ある行法として沖ヨガでは
・浄化法(浄化体操)
・強化法(生命力強化法)
・修正法(修正体操)
という3種類の行法があります。たいへんハードなものからリラックスを目的とするもの、
感情を解放するため歌を歌う、また”笑い”を行とするものなど、多彩なものがその中に入っています。
写真は龍村先生の強化法実演で、 強化法の中の”コブラの足抜き”という動きです。
ポーズで説明すると、
コブラのポーズから、ジャンプして両肘の外に膝を引っかけて
カラスのポーズになり、
腰をコントロールしながら落し、足を前に出し両足で腕を挟むハンドスタンドポーズの連続をしています。
ブジャンガーアーサナ→バカーアーサナ→ブジャピーダアーサナ。
沖ヨガのなかの丹田力(ウッディヤーナバンダコントロール)を使った、
ヴィンヤーサヨガ(連続のヨガ)の例です。
笑うヨガというのも最近話題になったりしていますが
沖ヨガでは50年も前から、心身の健康のために行なわれていたものです。
ヨガポーズ(アーサナ)とこれらの行法を組み合わせて様々なニーズに対応するが出来るのです。
沖ヨガポリシー
沖ヨガで大事にしている言葉に「生命即神」があります。
”せいめいそくしん”、または”せいめいすなわちかみ”と読み、命のはたらきは、神のはたらきであるを意味します。
神といっても一人の神さまがいて生き物を作ったと
言う意味とは違います。
神とは宇宙の法則、宇宙のはたらきです。
物質である私たちの体に
食べ物や空気が入るだけで”生きている”のではありません。生きているからそれらが出入りしているんです。
DNAという生命の設計図。遺伝子も、物質ですが
それを設計したのは誰でしょう?
偶然の組み合わせで今の人間の遺伝子ができたとしたら
それはとてつもない未来になるという計算をできるそうです。
生物進化には偶然以外の力が働いているようです。
私たちは生まれる前は、どこにいたのでしょう?
私たちは体が朽ちるとどこにいくのでしょう?
命を命にしているものは何なんでしょう?
なにかとてつもない力で生かされていることに気づいた
昔の人はそれを、神と呼びました。
私たちの命は宇宙であり、神なんです。
もらっている預かっているというより
「私たちはそれ、そのもの」(マントラ:ソーハム)なんです。
そしてその神さま=命を大事にすることが、
沖ヨガでいう”愛”です。
自分の命に協力すること、他の命に協力すること。
それが愛の行いです。沖ヨガのポリシーです。
龍村修先生
沖ヨガからは沢山すばらしいヨガの指導者が出て活躍されています、
私の先生である龍村修先生(龍村ヨガ研究所)もそのひとりです。私が入門した時は、沖正弘導師が亡くなられた後で、龍村先生が指導面の責任者として道場長をされていました。実質的な沖先生の後継ぎと言える立場です。
その後先生は、沖ヨガ本部から独立されて日本、世界を指導で飛び回る生活をされています。
また沖ヨガの団体である国際ヨガ協会やNPO日本ヨガ連盟の会長もされ、
沖ヨガ指導者代表をつとめられています。
参考書として龍村先生の本・DVDの一部をご紹介します。
・体の中からキレイになる龍村修のヨガ教室(DVD付)日経BP
・生き方としてのヨガ 人文書院
・深い呼吸で「心」が変わる 草思社
・深い呼吸でからだが変わる 草思社
・ヨガ呼吸修正法 上・下 日貿出版社
・DVD簡単ヨガ1~6巻+統合版 NPO日本ヨガ連盟
私見ですが、父権的なカリスマ・沖導師に比べ、
柔らかい姿勢の現代的な沖ヨガが龍村先生の沖ヨガ=龍村ヨガだと私は感じています。
私のこと
私がロータス8で、沖ヨガを名乗って指導させていただけるのも、
龍村先生の推薦があってのことです。
現代ヨガシーンの代表的スタジオのStudio+Lotus8に
”沖ヨガ”を、このミスマッチがまた面白くて引き受けました。
ヨガを正式に初めて23年、沖ヨガ以外にも、さまざまなヨガも体験してきました。
その自分なりの経験と、
沖ヨガの伝統を照らし合わせることで、沖ヨガのいいところを引き出して行きたいと思います。
研究していきますと沖ヨガにも、
最初はシヴァナンダヨガのやり方、後期(沖先生晩年)には
アイアンガーヨガのアプローチが入ってきています。
その原点を学ぶことも始めています。
シヴァナンダヨガのスワミ・シヴァナンダ師のもとでも
沖先生は学んでいます。
欧米にシヴァナンダヨガを普及されたヴィシュヌ・デーヴァナンダ師を、
沖先生は兄弟子とも呼んでいます。
また晩年にはアイアンガー師の著書の翻訳を弟子にさせたり
アイアンガー道場に沖ヨガ指導者を送り込んだりしています。
こういうことを、理解しながら沖ヨガをまた、
若い人たちにも広げて行くのが私の使命だと感じています。
また私はヨガとともに合気道を中心として武道、
特に沖ヨガ本部で行なわれていた”ヨガ武道”の武道養正館、
望月稔先生の流派(現・正風会武道)を学んで来ましたので、
もうとだえてしまった沖ヨガの中のヨガ武道を復興したいとも
考えています。
まずは楽しく気持ち良く動いて
そして少しずつ強く元気になっていけるヨガを目指します。