3 ハタヨーガプラディーピカーの続き
3-3 浄化法
ハタヨーガプラディーピカーでは体の浄化法として6つのことを書いています。
これはインド医学のアーユルヴェーダと関係があるようですので
詳しくはそちらを学ぶと良いと思います。
1)ダーウティ:細い布を飲みこみ、胃を洗浄
2)ヴァスティ:水の中で肛門から水を吸い上げ腸を洗浄
3)ネーティ:鼻から入れた紐を口から出し鼻腔を洗浄
4)トラータカ:まばたきしないで一点を凝視、涙で目を浄化
5)ナーウリ:腹直筋のコントロール体操、お腹の神経叢の浄化
6)カーパラバディ:ふいごの呼吸:気道、肺の浄化
* 具体的なこれら浄化法の資料として
「ヨーガセラピー」
スワミ・スヴァラヤーナンダ著 山田久仁子訳
春秋社刊 第4章をおすすめします。写真つきで載っています
3-3 プラーナヤーマ
ハタヨーガプラディーピカーでは具体的な呼吸法が説明されます。
1)スーリヤベーダナ
太陽を意味する右の鼻の穴から息を吸い、
左の鼻(月)の穴から息を吐きます。
2)ウジャーイー
両鼻から息を吸い気道から音をたて、左の鼻(月)の穴から息を吐きます。
3)シートカーリー
上下の唇の間に舌をあてシーという音で息を吸い(口から)
両鼻から息を吐く。
4)シータリー
舌を丸めて口から突き出し、息を吸い、
両鼻から息を吐きます。
5)バストリカー
両方の鼻の穴を使い、息を力強く、吸い吐くを繰り返す。
(ふいごの呼吸)
6)ブラーマリー
息を吸うとき、吐くときに、
蜂の羽音のような”ブーン”という音を出す。
7)ムールチャー
両鼻から息を吸った後、両手で顔をおおうようにし、親指で耳、人差し指で目、
中指、薬指で鼻、小指で口を抑える。
ジャーランダラバンダ(喉のひきしめ)をしながら
鼻を抑えた指をゆるめ、ゆっくり息を鼻の穴から出す。
8)ブラーヴィーニー
プラーナを胸に満たす呼吸法。この呼吸に熟達すると、水に浮き歩くことも出来ると言
う。
3-4 ムドラー
さらに身体コントロールをしていくため
ハタヨーガプラディーピカーではムドラー(印)、バンダ(束縛)という
特殊なポーズ、締めつけ技法を説明しています。
エネルギーの流れ(プラーナやクンダリニー)を方向転換したり
流れの量をコントロールする水門(ゲート)の役割をする特殊な姿勢です。
1)マハームドラー
ジャーヌシルシアサナとバンダ技法の組み合わせ。
踵でムーラダーラチャクラを刺激、のどの引き締め(ジャーランダラバンダ)
肛門会陰部の引き締め(ムーラバンダ)をする。
2)マハーバンダムドラー
アルダパドマーアサナとの組み合わせ
3)マハーヴェーダムドラー
2の姿勢で両手を床につけ体を持ち上げる。
ハンドスタンド。
4)ケーチャリームドラー
舌を上アゴの鼻へと続く空間(頭蓋腔)へ挿入する。
5)ウッディヤーナバンダ
おなかの引き締め(引き上げ
エネルギーを引き上げる。
6)ムーラバンダ
肛門、会陰部の引き締め
7)ジャーランダラバンダ
のどの引き締め
首を通るエネルギーをコントロール
5)~7)を合わせて行うことを”バンダトラヤ”(3つのバンダ)といいます。
この3つの重要なバンダの名前はよく出てきますので、覚えておいてください。
8)ヴィバリータカラニー
腰を抑えたくの字の肩立ちのポーズ。
以上がヨガ教室で教える人が知っておきたいムドラーです
3-5 ラージャヨガ
ハタヨーガプラディーピカーは始めに、こうハタヨガを規定しています。
「ハタヨガは高遠なラージャヨガに登らんとするものにとって、
すばらしい階段に相当する。」
ハタヨーガプラディーピカー 1・1
ラージャヨガとは、哲学・瞑想的なヨガ(古典ヨガ)のことです。
そのために心身のメソッドを突き詰めていくのが、ハタヨガの役割と宣言しているのです。
そして終わりの章をまとめるとこうなります。
「ヨーギーにして、そのシャクティ(クンダリニー)の覚醒が起こり、すべての業作を
捨て去ったならば、彼にはおのずから忘我の状態が発現する。」
ハタヨーガプラディーピカー 4・11
さまざまなヨガアサナ、プラーナヤーマ、ムドラーを習得し
身体エネルギーであるクンダリニーを覚醒しコントロールしていくこと、
肉体面から入る瞑想状態がハタヨガの三昧(サーマディ)であると言っています。
ハタヨガとは、サーマディ状態に到るため、肉体的操作を極め、
眠れるエネルギー”クンダリニー”を操るヨガなのです。
3-6 まとめ
ハタヨーガプラディーピカーは、
ポーズとしての、ヨガアサナやムドラー、バンダ
具体的な呼吸法としてのプラーナヤーマを示し、
生体エネルギーコントロール法(クンダリニー法)を記述した
身体のヨガ(ハタヨガ)のテキスト(教典)です。
ハタヨーガプラディーピカーの示す、
ヨガポーズに焦点を当てたのが 現代のハタヨガで、
エネルギーコントロールに焦点を当てたのが、
現代のクンダリニーヨガということになります。
(クンダリニーヨガを別名ラヤヨガとも呼びます。)