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カテゴリ:史跡
京都の史跡散策に誘われ久しぶりに参加することにした。
この日は今年、日本史学専攻をする大学に入学することが決まった娘が同行することとなった。 JR京都駅 10:40 関東・東北から4人と関西から4人の8人が集った。 そこに新撰組記念館館長が同行案内して下さる。 地下鉄で丸太町へ移動 御所に沿って歩き、府庁へと向かう。 府庁には京都守護職上屋敷の跡地である。 休日は中には入れないので、外から臨むが守護職跡の石碑も見えずらい。 府庁は春になると中庭に見事な枝垂れ桜が咲き、その時期内部の一般公開もされ、休日も開館される。 堀川通を歩き、二条城北べりを行くと辺り一帯が所司代屋敷が続いていた。 この辺りは往時の行政の中心地といったところであろう。 二条城の北西角の前には公園がある。 ここは当時犯罪人の処刑場だったということである。 ぐるりと二条城の堀に沿って進むと裏門がある。 この門は慶応3年に徳川慶喜が大坂へ逃れる際に使われ、その後は一度も開門されたことが無く、堀を渡る橋も落ちたままで使われる事が無いらしい。 裏門の前は豊臣秀吉が栄華を極めた頃に創建された聚楽第があったが、家康によって破却され、跡形もなく、地名だけが残っているのが哀れに思える。 更に二条城南側の前には神泉苑がある。 そこに平八という料亭が営業しているのだが、庭も池も手入れが行き届いておらず、かえって朱色の橋や池に浮かぶ龍王船の朱がケバケバしいだけで、まるで落ち着きや、品位が感じられない。 料亭のメニューを見ると料理の値段は一流であるが、建物の窓は脂ぎって、虹色の光彩が浮かんでいる。 商業主義に流された、堕ちた史跡という感じがした。 途中、「更科」で昼食を摂る。私は周りに何のはばかりも無く、一人ビールと熱燗を頼み、蕎麦と一緒に舌鼓を打つのである。中々の美味であった。 その後、六角獄舎跡へ行く。 禁門の変の大火でこの辺りも焼けた。 火事の際、牢の囚人たちは必ず帰ることを条件に一時解き放たれるのだが、この時は看守の独断で30数名の勤王の志士等が殺されている。その中には平野国臣や古高俊太郎も含まれた。 六角獄舎は日本で初めての腑分けが行われた場所でもある。 六角獄舎の石碑の台座は、当時の腑分けの台に使われたものだということを館長からお聞きし、更に背筋に寒さを覚えるのであった。 旧前川邸 ドラマ新撰組!!が放送されていた頃は大勢の観光客で賑わい、八木邸などは入場待ちの人々が長蛇の列を作っていたが、一時のブームが去った後の壬生界隈はひっそりと落ち着いている。 旧前川邸もその頃は新撰組グッズの販売で大賑わいだった。 その頃私達親子もよくここを訪れ、色々と買い物をしたが、内部まで観る事は出来なかった、しかしこの日は同行者の計らいで、特別に内部を見せて貰えるのである、期待で胸がワクワクする。 約束の時刻に到着し、御当主の田野十二雄さんにご挨拶をする。 緊張の一瞬であるが、御歳90歳になられる田野さんは柔和で気さくな方で肌の色艶も好く、年齢を考えると信じられないくらい矍鑠とされていて、しっかりとした声でお話になる上品なご老人である。 気配りに満ちた田野さんの案内で、非常に貴重な物や話を聞かせて頂き、私は興奮状態だった。 新撰組の日常や芹沢鴨暗殺の様子などを詳しく教えて下さりとても有り難かった。 中でも興奮が頂点に達したのが東の蔵である。 新撰組 土方歳三が自ら古高俊太郎の拷問を行った蔵である。 2階の梁から吊るされた荒縄は当時のままだそうで、古高に執拗な責苦を加えた雰囲気がフツフツと伝わるのである。 頑丈に造られた土蔵。その中での惨劇。 密室での凄惨な情景を田野さん穏やかな口調とは裏腹に、想像しているとタイムスリップした感覚になる。 非常に貴重で有意義な体験をさせて頂き、私達親子は大きな満足感に浸るのであった。 それにしても田野さんの案内は有り難かった。 何度もお礼を言い、惜しみつつ旧前川邸を後にする。 タクシーに分乗して くろ谷 金戒光明寺へ移動する。 この日は特別公開が行われていて、初めて文殊菩薩像を観ることが出来た。 私が京都で一番のお気に入りの金戒光明寺には何度来ても新鮮で、御影堂からの景色にはいつも気持ちが鎮まる。 会津墓地で線香をあげ、手を合わす。 いつもの定番のコースではあるが、不思議と厭きることが無い。 夕刻になり、日も沈み、寒気が増してきて、この日の京都散策はこれまで。 この後、大阪へ移動し、新年会である。 それぞれ酒を酌み交わしながらの歴史談義である。 この日娘にとってこのような形での歴史散策は初めてであろう。 果たして娘にとってどれ程の収穫があったであろうか。 今日巡った京都の史跡は今までに全て巡ったところばかりであったが、館長さんの説明や旧前川邸での内部の見学など初めて観るもの聞くものが多かった。 親バカながら大学で日本史を学ぶ娘に何らかのプラスになればと思って誘い出したが、満足に思ってくれているだろうか? これから大学に入って多くの出会いと知識を吸収するだろうと思うが、それをさらに充実させるための一助になればと思うのである。 私にとってもこの日はとても充実したものになった。 お誘いを頂いたAさんに感謝したい。 そして同行して下さった皆さんとも楽しくお話が出来てとても嬉しかった。 今後もこういう機会を大切にしたいと思うのである。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2010年01月17日 13時40分16秒
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