2007/12/24(月)16:53
嗚呼、青春軽音セレナーデ51「それぞれの夜」
年の瀬に 見るは黄金の 宝船 男の子につき、イッパツ勝負(*TーT)bグッ!
=================================
街の雑踏を抜け、本命の店へ。そう、夜はこれから。
重いドアを押せば、各々の時間を楽しんでいる常連客の顔が出迎えてくれました。地方経済であり、終焉が見ていたとはいえバブル時代。それはブランドスーツに身を包んだ中高年の男女がほとんど。
「お!売れっ子水割ちゃん、やっと登場やの!」
「ども、いらっしゃいませ(^_^;) 遅くなりました」
挨拶代わりの冷やかしを交わし、店の奥でセッティングするケンの元へ。気配に気づき顔を上げたものの、作業を再開。
「お疲れさん。何する?今日」
「クリスマスやしの( ̄~ ̄;) 女性が多いな・・・ラブソング一本でいくか?」
「ハマショウを柱で、適当に混ぜつつ・・・OK?」
「あいらぶゆぅ~・・・OK (*TーT)bグッ!」
「OK!!!マリアンヌ (*TーT)bグッ!」
準備を終え、それぞれ定位置へ。
「皆さんこんばんわ。少しお時間を拝借いたしまして演奏させていただきます。束の間の時間ですがお付き合いよろしく・・・。今宵はラブソング縛りで(^_^;)」
浜田省吾は私とケンが好みだということもあり、店では頻繁に演奏していました。常連客に多かったのは、いわゆる大人の女性で、当時流行のボディコン&ワンレンは少数派。そんな選曲でもなんとなく許してもらえていました。
【浜田省吾・BREATHLESS LOVE】
【浜田省吾・君に会うまでは】
【浜田省吾・片想い】
↓達郎もワムもいいですけどね(^_^;)↓
1ステージ目最後の曲を歌い始めた頃、店に入ってきたのはショートボブ。しかしテラさんの姿は見えず一人だけ。狭く常連客で埋め尽くされた店内で、彼女は不安そうに行き場を探していました。
そして曲が終わり、私達は短い休憩に。
「やっとるね・・・えらく大人な雰囲気で(^_^;)」
「おっさん&おばさんばっかし(^_^;) 」
「あ、はい、これ皆で食べて!さっきのお礼」
彼女が差し出したのはケーキが入っているであろう、箱。
「ありがとぅ。・・・で、テラさんは?(^_^;)」
「あぁ・・・うん・・・(-_-;)」
彼女は自分の気持ちの持って行き場がわからなかったのか?ただ素直にならなかっただけなのか?わかりません、女ゴコロなんて。いや、特別わかりたくもないです。
「水割ぃ!取り込み中すまんけど、ひとっ走り酒屋まで行ってくれや!ケンっ!オマエはコッチでコップ洗ってくれや」
「はい!・・・ごめん、ちょっと出てくる。すぐ帰るわ」
マスターの頼みに反応した私は、ショートボブを常連夫婦の席に押し込み外へ。そこで見つけた人影はマスク姿でギターを肩に掛け、背中を丸めた男。
「てぇらさん!!何しとんですかヽ(゚∀゚ゞ)」
「あ(^_^;) いや・・・どうも(>。<)ごほぉ」
「(o_ _)ノ彡☆ワハハ!! バンバン! ちょっと(>。<)ごほぉちゃいますよ!中、入ってくださいよ、先輩来てますし」
「いや、えぇわ、ココで待つわ。入ったら、アイツ怒ると思うし・・・(^_^;)」
「(-_-;) それ・・・違うと思いますよ(-_-;)」
「え?(^_^;)」
「それやから・・・そんな態度やから怒るんやと思いますよ(-_-;) とりあえず買い物行ってきますんで、中で待っといてくださいよっ!」
どいつもこいつも・・・。呆れながら酒屋まで猛ダッシュ。店まで帰ると、案の定同じ場所で背中を丸めていたテラさんを無理やり店内へ。驚いた様子のショートボブに話を聞くと、テラさんは帰ったと思い込んでいたらしいのです。
↓この当時はダッシュも効いてましたな、私。あ、ダッシュね( * ̄▽)o"_/|↓
「狭くなって申し訳ないですけど・・・学校の先輩とその彼氏なんです」
「か、彼氏って・・・(-_-;)」
常連夫婦は快く受け入れてくれました。そして、ぎこちなく並ぶ二人を見ながらの2ステージ目。
「もう、定番すぎますけど・・・(^_^;) いきます」
【浜田省吾・もうひとつの土曜日】
【浜田省吾・悲しみは雪のように】
【浜田省吾・ラストダンス】
【浜田省吾・MIDNIGHT Flight】(※これだけ動画がありませんでした)
ステージが終盤に差し掛かった頃、テラさんがショートボブにそっと耳打ちしたのを見逃しませんでした。曲が終わりざわつきを取り戻す店内で、それに紛れながら二人は店を後にしました。
「ケン・・・追いかけんでえぇぞの?俺」
「えんちゃうか、寒いし(^_^;) んなことより!!オマエもコップか皿洗えよ!!」
「(^_^;)」
その後二人がどうなったのか。学校でショートボブに会っても、私はあえて聞きませんでした。結果がどうであれ、冷たい空気と街のイルミネーションが恋人未満の二人へ何らかの魔法をかけたのには間違いなかったのですから・・・。
<つづく>
皆さん、素敵なイブを! MerryChristmas(*TーT)bグッ!