爺さんの写真日記

写真を撮っているうちに、何時しか霊場が好きになった。
霊場と称するものは多いが、爺さんが好きなのは滝がある霊場である。
霊場について詳しい事は知らぬが、滝の音に包まれると心静かになるから不思議である。

ファインダーを一心に覗く一時「何を撮っていますか？」と男の声が背後でした。何年もの間、この霊場を撮っているが猫の子すら訪ねて来た事がない。

「滝の撮影ですよ・・」と後ろを見れば、お巡りさんが立っていた。
バカバカしい質問だと思いながらも爺さんを不審者と見たのか？。

「車が長時間止っていたので・・」と、お巡りさんは言った。「不審者と見たのですね・・」と答えたら、また一人お巡りさんが見えた。
職務質問という事か？生年月日と名前を聞かれたが、何の目的でそれが必要なのか？と聞き返したかったが、これまたバカバカしいので正直に答えた。

お巡りさん曰く「首つりでもしているのでは？・・誰も来ない場所ですからね・・」とお巡りさんは言う。

「わたしゃ何時も来てますよ・・もう10年も来てます」と言ってやった。今までに、お巡りさんの職務質問の一度もなかったのも本当である。
その日は、約4時間の撮影で帰った。

爺さんが首つりなんかするはずもない。だって写真バカでこの世を楽しく過ごしているのだから。

※爺さんのひとりごとはこちら

■昔はコウモリが下がっていた洞窟の霊場■