ぎゅっと詰まった話を、してみよう♪
ジュール・ルナールの小品、「老夫婦」を読みました。 30行ほどの、ごく短いものです。 80歳の夫と、70歳の妻との話です。 2人が離れて座っているので、「もっと近寄ったら」と 言われて、妻のほうが、「角(つの)がぶつかったらイヤ」と 答えます。 え、じゃあ、2人とも、角が生えてる? 夫のほうは、答えます。 「私には生えているかどうか分からないけれど、 妻には角は生えてないよ」 妻のほうは――黙ったままです。 自分に角があるか、夫には角があるか、黙秘です。 ただそれだけ、なのですが、 滑稽なような、それでいて恐ろしいような話です。 老夫婦の人生が凝縮した30行です。 短くても、ぎゅっと詰まった話をしてみたいものです。ジュール・ルナール全集(第12巻)価格:5,040円(税込、送料別)