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sasama_tea

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2008.05.27
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予告していたネジバナの日記でしたが、
いちにち遅れてしまいました。
昨日の昼間の猛烈な暑さに体力を持っていかれてしまい、
パソコンに向かいながら、耐え切れずにオチてしまいました。

さて、早速前回の続きとなりますが、ネジバナを
栽培する上での注意点はいろいろあります。

第一に、自生の状態から単に鉢に植え替えただけ
ではうまく根付かず枯れてしまうことがあるようです。
その要因は、土中のラン菌に依存して生活している
ことが挙げられるのかもしれません。
このことを解消するには、ラン菌が繁殖している
ような他の鉢から土を持ってくるとか、最近流行りの
段ボール栽培を実践するなどの方法で、栽培する
鉢の中のラン菌を殖やすような状況を確保してあげる
のが良いのでしょう。
あるいは、ネジバナ単植ではなく、イネ科の植物などと混植すると
うまく行く場合もあるそうです。

上記の事実は、単に鉢植え栽培を容易にするだけの
内容ではなく、ネジバナの実生を行なう上でも非常に
重要な条件となります。
ラン菌がラン科植物の生育に深く関与しているのは
生活史の全般に於いてですから、容易に発芽させる
にもラン菌の確保は重要な準備作業なのです。

ネジバナの実生に挑戦する

 おおよそ1年前、人工授粉を行なって得られた果実
がひとつ。
果実が熟すまでの期間が非常に短いネジバナです
から、日々観察すること2週間(程度)、完熟する前に
花茎からその果実を取り外して、果皮が乾燥して
裂けるまで待ちました。
乾燥すると、中からホコリのような無数のタネが現れ
ますから、これをどこかの鉢に蒔くことになります。

その種蒔き用の鉢(親鉢)に選択したものは、同じ年
の春に植替えしたばかりのエビネの鉢でした。
この親鉢も段ボールが入っています。
エビネもラン科植物ですから、ラン菌もたくさん確保
できるはずですね。
しかも鉢自体が大きいため、実生苗が多く発生しても
窮屈にならないだろうと考えて用意しました。

ホコリ並みに細かいタネでは、無造作に蒔いては、
風に飛ばされるとか、水やりのときに流出してしまい
そうですが、意外にそのような結果にはならず、
特に難しい作業工程を経ることなく実生苗を得られ
ました。
ネジバナのプロトコーム
上の画像は、ネジバナの発芽に関する重要な
情報が含まれています。

右側にカタツムリがいるのがお分かりになる
でしょう。
そこから平行に左側へと視線を移動させると、
そこに白く奇妙な物体がふたつほど確認できる
かと思いますがいかがでしょう?

ラン科植物には、一般的な植物が持つ胚乳が
ありません。
胚乳、つまり発芽に必要な栄養の詰まった部位
もやしの子葉や、鮭の稚魚の腹の赤い部位のようなもの)を
持たないということで、ただ土の上に落ちただけ
ではほぼ発芽には至らないのです。

そこで、ラン菌の出番です。
土の上に落ちたネジバナのタネは水分を吸って
膨らみます。
その水分を吸ったタネが運良くラン菌に出会え
れば、タネの中に入り込んだラン菌は、タネの
内部で増殖を始めます。
この状況は、ランとラン菌の共生状態と考えられ、
ランはラン菌の繁殖場所を提供しつつ、その
ラン菌自体を栄養として吸収してしまうのです。

つまり、発芽の栄養分を持たないまま生み出さ
れたネジバナのタネは、現地で食料を調達する
サバイバルで活路を見い出しているというわけ
ですね。
ごくごく小さなネジバナのタネの中で繰り広げら
れる現象、なかなか凄いですよね。

そして栄養分を得たネジバナのタネですが、
正確にはプロトコームと呼ばれます。
最初の球茎』という意味だそうです。実態は、白い塊に
細かな毛が生えただけのものです。

この時点ではまだ発芽には至っておらず、ただ
の未分化の細胞の塊に過ぎません。
さらに内部で細胞分裂を繰り返し、発芽に必要な
準備が整えば、上記の画像のように発芽の状態
に至るのです。
ラン科植物は単子葉類ですから、発芽時の葉は1枚のみです。

ネジバナ発芽 07/8/5
ネジバナ発芽 07/8/5 posted by (C)sasama_tea

この写真は、先ほどの画像の元となっている
ものですので、どこかにプロトコームが潜んで
いるのですが、さて、お分かりになりますか?

ちなみに、種蒔きは7月中旬のことですから、
この写真の日付からそのひと月後に発芽に
至っていることがお分かりになりますね。
ラン菌だなんだと小難しい話を並べても、
ランに対する愛着を持つことが出来れば、
ネジバナの栽培なんて大した作業ではない
のですよ。
愛こそ全て。。。ハート(手書き)

そして、その愛の奇跡?・・・ではなくて『軌跡』を
以下に並べます。
時間経過を追って皆さんも観察してみてください。

ネジバナ実生苗 07/9/5
ネジバナ実生苗 07/9/5 posted by (C)sasama_tea

ネジバナ実生苗 07/11/3
ネジバナ実生苗 07/11/3 posted by (C)sasama_tea

ネジバナ実生苗 08/3/29
ネジバナ実生苗 08/3/29 posted by (C)sasama_tea

発芽から3か月を過ぎるあたりからは、あまり
全体の変化は見られなくなりますが、少しずつ
発芽個体が増えてきていました。
この段階的な発芽はきっと、時期をずらすこと
で全滅の危機を回避するような意味もあるの
でしょう。
なお、葉の色の違いは撮影条件による差異ですので、
生長によるものではありません。

そして、5月3日の日記の内容に続きます。
5月3日の日記『ネジバナ実生苗の植替え
桜の花が咲くくらいの暖かさを感じる頃から、
実生苗の葉は細長く立ち上がり始め、
生長が著しい苗では通常のネジバナと遜色
ない姿となっていました。
現状ではその苗が一年で開花に至るかの
判断はつけられない状況です。
咲いてくれると交配の結果が一年で出ること
になりますから、育種が断然面白くなるので
しょうね。
期待しすぎないで待ってみます。

・・・どうも想定以上に文字数が多くなって
しまいましたが、飽きずに最後までたどり着け
ましたでしょうか?

生き物の世話はふつう容易ではないことの
ほうが多いとは思いますが、見過ごしがちな
瑣末なことに目を向けて観察してみると、
不思議な愛着が生まれ、必要以上に好きに
なってしまうこともありそうです。
私とネジバナの関係も、おそらくそのような
ものですね。

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そこで蛇足気味ではありますが、当ブログ中に隠されている
ネジバナ関連の画像・語彙はいくつ存在するのか、
お暇でしたら探してみてください(記事中の画像は含まず)。






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最終更新日  2008.05.28 02:24:12
コメント(6) | コメントを書く
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足許にもランの花   春の女神 さん
こんにちは

ひじょーに面白かったです。
このやり方で、シランや他のランも可能でしょうか? (2008.05.28 16:00:29)

プロトコーム   るる555 さん
小さな白いかたまりが 大きくなって球根のようになっていくのは、面白いです。去年の種が 今年の花になるなら もっと 楽しいですね。
カタツムリは、植物を食べるので この場合害虫だったのでしょうか?糞がラン菌のエサになるなんてことないですよねー (2008.05.28 17:29:32)

Re:足許にもランの花(05/27)   sasama_tea さん
春の女神さん
>ひじょーに面白かったです。
>このやり方で、シランや他のランも可能でしょうか?

 シランのタネはラン科植物の中では比較的大きいらしく、実生も容易な部類に入るそうです。
私が今栽培している実生由来のシランの鉢物は、元をたどればネジバナの鉢に蒔いたタネが出発点になっています。

 ただし、種類によっては発芽すらままならないものもあるようでして、ラン菌が確保できても簡単に実生できるわけではないということなのです。
例として、以下のWikipedia『シュンラン』のページを参照願います。その難易度がお分かりになると思います。
◎ttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%B3%E3%83%A9%E3%83%B3 (2008.05.29 01:02:00)

Re:プロトコーム(05/27)   sasama_tea さん
るる555さん
>小さな白いかたまりが 大きくなって球根のようになっていくのは、面白いです。去年の種が 今年の花になるなら もっと 楽しいですね。

 胡麻粒よりも小さな白い塊が、いずれひとつのネジバナになるのです。感動ものですよ。

>カタツムリは、植物を食べるので この場合害虫だったのでしょうか?糞がラン菌のエサになるなんてことないですよねー

 一部の苗はかじられてしまいました。
それでもいっぱい苗が得られましたので、大部分はその難を逃れて無事に生長できました。
ナメクジは花まで食い散らすので排除してしまいますが、小さなカタツムリはそれほどの害を与えませんし、可愛いのでそのまま放置しています。ただ、栽培の役に立っているのかは不明ですけど。 (2008.05.29 01:08:28)

Re:足許にもランの花 【特別編2 ネジバナ実生の生長記】(05/27)   PANSY さん
こんにちは~♪

雨の季節がやってきましたね・・
来週はもう梅雨入り・・?

ネジバナ・・我が家の鉢も葉っぱがでてます・・
花が咲くといいな~~=*^-^*=

明日もいい日でありますように・・・=*^-^*=♪Thanks! (2008.05.29 18:48:18)

Re[1]:足許にもランの花 【特別編2 ネジバナ実生の生長記】(05/27)   sasama_tea さん
PANSYさん
>雨の季節がやってきましたね・・
>来週はもう梅雨入り・・?

 九州は梅雨入りしたみたいですね。
まだ梅雨入りしていない関東も雨ばかりで、今年も梅雨入りした時期が分からないまま雨ばかりの天気になってしまうのでしょうか。
来週の天気予報はまさにそのような感じですし。。。

>ネジバナ・・我が家の鉢も葉っぱがでてます・・
>花が咲くといいな~~=*^-^*=

 余程のことがない限り、一度咲いてしまえば毎年咲きますよ。
経験上で分かっていることは、表土に苔の生える鉢ではネジバナも元気だということです。
この状態では、何年も植替えしなくても平気みたいです。 (2008.06.01 00:34:03)

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