オーマイニュース日本版と田代砲。2ちゃんねらーたちの偽悪のダンディズム。
戯画的にいえば、オーマイニュース日本版がやっていることは次のような感じ。階段の上に投票所をつくっておいて、車椅子の人は誰も投票にこないんですよね。と、車椅子の人たちを批判しているようなものだ。鳥越氏やオ・ヨンホ氏が何を言おうと、現実にメディアとして多様で自由な言論の場を現出していないなら、戯言と片付けられてしまうに違いない。☆さて、彼らが批判する2ちゃんねるの叡智を田代砲に見る。というか2ちゃんねるを見ていて、田代砲という語が分からずにぐぐってみたら、あれまびっくり…。抱腹絶倒した。24時間マラソンの監視ボランティアよりも建設的であり、ワールドワイドだ。田代まさしの項より、パーソン・オブ・ザ・イヤー事件後、2ちゃんねる上で、2001年の「タイム」誌の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」に田代 (「Masashi Tashiro」として投票された) をノミネートしようという悪ふざけが起こった (「田代祭」「田代祭り」と呼ばれた)。投票システムが多重投票可能になっていた上に、投票を効率よく繰り返すための「砲」と呼ばれるスクリプトやツールなども開発され、(主なものに「田代砲」「メガ粒子田代砲」「超田代砲」「25連打田代砲」などがあり、これらを総称して2ちゃんねるなどでは「田代兵器」と呼ぶ。「田代兵器」自体は幼稚なhttpクライアントだが、多数の2ちゃんねるユーザが同時使用したため一種のDoS攻撃状態となり、タイム誌サーバーをダウンさせている。)多くの2ちゃんねらーに使用されたこともあり、最終的にウェブサイト上の投票でオサマ・ビンラディンに約2倍の差をつけて1位を獲得した。しかし、不正な組織票が投じられたと言う事実は火を見るより明らかであった為に投票が中止され、結局パーソン・オブ・ザ・イヤーには元ニューヨーク市長のルドルフ・ジュリアーニが選出された。とはいうものの、このウェブサイト上の投票では田代以外にも実在しないローマ教皇ハドリアヌス7世(Pope Hadrian VII)(フレデリック・ロルフの1904年のゲイ小説『ハドリアヌス七世』の主人公)や、この年手首の故障で活躍できなかったノマー・ガルシアパーラ(Nomar Garciaparra)、さらにはナザレのイエス(Jesus of Nazareth)といった明らかに悪ふざけと思われる人名がノミネートされていた。この騒動によって2ちゃんねる内にお祭り会場板が開設された。その後2002年度のタイム誌アジア版の「アジアのヒーロー」の投票、2003年度の東京帽子協会主催「ハットグランプリ2003」の投票などでも「田代まさしをインターネット投票で一位にする」という行為が行なわれ、Yahoo! JAPANのアーティスト・楽曲検索ランキングで上位が田代まさしやシャネルズ、ラッツ&スターで独占されたこともあった。電波2ちゃんねる(現:ちゃんねるぼっくす)のアンケートコーナー「せろ~ん調査」ではあらゆるアンケートに田代まさし関連の項目が作られ、過重投票により電波2ちゃんねるサーバーをダウンさせたほどであった(その後同サイトはサーバーを交換して復旧するが、せろ~ん調査は閉鎖された)。2006年2月現在もごく少数の2ちゃんねるの「過激派」が同様の活動を続けている。これらの行為は極めて悪質であるが、同一人による多重投票が可能であることなど、ネット投票に於ける問題点に就いても指摘する声が一部であった。WIKIPEDEAより鳥越氏は、2ちゃんねらーは「匿名で好きなことを言っている」としか思っていないようだが、2ちゃんねらーの行動原理はそうではない。「特定分子の大衆を装った言論誘導に異を唱えるのだ」。田代砲が何故開発されたかといえば、アメリカの特定団体の好戦的な世論誘導を妨げるため、田代まさし等という意味・価値がゼロなものを掲げたのだ。もちろん、そこにジョークもある。だが、ジョークだけで人は動かぬ。社会に対する憤りや正義感が2ちゃんねらーの心根の底にある。勿論、そんなことを指摘すると、一部の2ちゃんねらーからは批判も食らうのかもしれぬが、私はそう思っている。現在は、田代砲などを発すれば、すぐに警察が動き出す時代だから、あまり心配はないだろう。だが、多様な言論を反映しないかたちで存在するのに、そこであたかも多様な言論が表出しているとの喧伝をメディアがすれば、その偽善性を暴こうとさまざまな取り組みがなされるのは必定だろう。基本的に24時間マラソンの監視と同じ精神である。その裏には、偽悪のダンディズムがある。では、どうすればいいのか。そこに情報技術の知恵が必要になる…。多様な言論を抽出するには、多様なシステムが必要になることだけは必定だろう。CNNのニュースでは、すでにネットサイトを紹介しながらニュースが解説されることが多い。テレビ朝日の「やじ馬ワイド」のリファレンスとして、オーマイニュース日本版が登場する日が来るのだろうか…。