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カテゴリ:「テレビウォッチ」
文芸春秋の記事において、イチローが松井秀喜のマスコミへのリップサービスを批判していたのを憶えている。
イチローは、松井氏が少年たちのスターである責任を果たしていないと指摘している。 ☆ 松井秀喜氏が文書でいじめに対する手紙を公表している。
この文章だけを読めば、誰も文句を言わぬだろう。 だが、この言葉たちの根っこには、自殺をする人が悪いという論理がある。
松井氏は体格にも優れ、いじめることはあっても、いじめられることはなかっただろう。勿論、甲子園の4連続敬遠などといういじめはあったかもしれぬが、自ら死を選ぶような性質のものではないだろう。 王貞治氏は、自らに厳しくすることが得意であったが、それを他者に強いたため、監督になってからの初期において蹉跌を経験している。松井氏も、自らに厳しくすることに得意であるが、社会や集団については理解していない。ならば、いくらマスコミにコメントを求められたりしても、軽はずみにコメントを発表すべきではない。 ☆
かといって、いじめをなくすために厳罰主義に戻ることもできぬ。ではどうするか…。 ☆
☆ 朝のニュースショーを見ながら、私は娘に、「いじめが発生しているのに何もしなかったクラスメートたちがいけないし、それを改善しなければいじめはなくならない」と言った。「松井秀樹は何も分かっていないのに、あんなコメントを発表するなんて…」と批判した。 すると、小6の娘は、「ヤンキー母校に帰る」でしょ。と、こともなげに言う。 その言葉で私ははたと我に帰る。 そうだ。私が自分だけ分かったつもりになっていたけど、そうじゃない。TBSのドラマの原作者である義家氏もドラマのシナリオライターも、いじめがどうしたらなくなるか分かっている。その方法を現実に活用しない教育関係者が間違っているのだ。 「ヤンキー母校に帰る」のいじめに関するストーリーはこうだ。 加藤夏希演じる高校生は、SAYAKA演じるクラスメートをいじめる。竹之内豊演じる担任教師は、いじめの発生を悟り、いじめ撲滅に徹底的に立ち向かう。 SAYAKAはいじめる側の辛さを分かっている。夏希はSAYAKAをいじめる自分を制止することができない。そのような切実な当事者の心を竹之内は理解する。 そして、何よりも、心ならずも保身からいじめに加わったり、見て見ぬふりをするクラスメートの不誠実を徹底的に糾弾する。人間は弱いものだし、辛いこともある。だから、いじめが起きることもある。だが、まわりがそれを認めず、あるべき方向に誘えば、いじめはエスカレートしない。いじめで自殺などということはおきない。 ☆ 私は夢想する。
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☆ 中学校や高校のコミュニティーでは、野球部員は不良グループからも一目おかれる集団である。勿論、個としての野球部員は弱い存在だから、不良グループに袋叩きにされることもあるだろう。だが、野球部という集団が、いじめ撲滅に乗り出したら、日本の学園生活はそれこそパラダイムシフト的に変わることが予想できる。 勿論、私のイメージの中にあるのは、30年前の中学校の野球部の存在である。いまは、もっとドライな形なのかもしれない。暴力事件に関わると甲子園に出場できぬからといって、すすんで災いに関わろうなどとして正義を捨ててしまっているのかもしれぬ。そして、野球部自身がいじめの舞台になっていることもあるだろうし、ヒエラルキルな関係で、厳罰主義が横行しているかもしれぬ。 ☆ だか、だとしても、日本の野球少年たちに対して、松井選手は何かを言うべきだった。 松井選手が、自殺予備軍のこどもたちを、より苦しめる言葉を投げかけることは悪であると、私は考えている。 もちろん、それはマスコミ者の懇願によってなされたものであることで、酌量の余地はあるとしても…。 追記: ちなみに、わが娘の星座はおとめ座。フジテレビの今日の占いでは、「いつもと違う自分を見せれば彼氏への思いが通じる」とあった。 私は、娘に、「いつもと違うところを見せるなら、彼氏の前で鼻くそでもほじってみたら…」とからかった。 父親の私は、娘に片思いの彼がいるかどうかも知らないが、いたとしても、鼻くそをほじることはないだろう。 わが娘はすでに父親の言説に捉われぬ個である。 と、親ばかの私は思っている。(^^;) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006年11月07日 11時47分11秒
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