アルゴリズムの時代(スポンタ通信 2.0)

2007/05/20(日)08:57

アルゴリズムの時代13:アルゴリズムの分類によるメディアの違い。

アルゴリズムの時代(13)

神奈川新聞がメディアジャムというニュースサイトをスタートさせたということなので、さまざまなメディアのアルゴリズムの違いを明確にすることで、ことの本質を探ってみたいと思う。 【既存メディア・オーマイニュース韓国版・市民参加型ジャーナリズムのアルゴリズム】 * Regacy Mediaとは既存メディアのことである。ダン・ギルモアの講演会で、時事通信社の湯川氏が、Old Mediaという言い方ではなく、Regacy(遺産)という語を使ったのを鮮明に覚えている。 既存メディアのアルゴリズム(代表決定・意思決定のシステム)は、ヒエラルキー型である。下部組織の構成員が提出した情報は、上部組織の構成員の承認がなければ、オーソライズ(外部に発表)されることはない。 * 真ん中に位置するのは、オ・ヨンホ氏が韓国で成功させたという市民参加型ジャーナリズムのオーマイニュース韓国版である。 大統領選の行方にも影響を果したと伝えられるオーマイニュースだが、その記事はオ・ヨンホ氏自身と専従記者たちが作り上げたものであって、市民記者が関わることはなかったという。 つまり、オ氏は、メディアとしての影響力を強めるために市民記者を利用したに過ぎず、かのメディアが大統領選出に影響を与えたといっても、市民の声がジャーナリズムを通じて、国政に影響を与えたということではない。 * 一番右に、CGM(ユーザー参加型メディア)と書いたが、それは市民参加型ジャーナリズムの理想の形である。 フラットな構造をしているが、市民記者たちの合意において記事が提出されている訳ではない。 市民記者は単独で記事を書くのであって、同僚の市民記者たちとの合意のもとで記事がオーソライズされるのではない。 そのあたりは、以下の図で示されるフラット型アルゴリズムの弊害を眺めていただければ理解していただけるだろう。 【フラット型アルゴリズムの弊害:クレーマーの野放しと、ボピュリズムの発生】 インターネットの登場により、世の中がフラットになっていくという言論がある。 それは、アメリカ一極集中を終焉させるものであり、南北問題の解消につながるとでもいうような好意的な論調でもある。 だが、フラット型のアルゴリズムがそのような理想とは程遠いことを気がつかなければならぬ。 フラットな領域が広がっていくことは、それまで、小会議室で打ち合わせを行なっていたのが、突然、日本武道館のようなところで会議をしなければならぬような事態である。 小会議室であれば、忌憚のない発言ができる。対話の中からお互いの気づきが生まれ、有効な結論が期待できる。 だが、日本武道館のようなところで、大勢が集まったとしても、対話は促進されない。 発言するものは、目立ちたがり屋であり、採決をとってもポピュリズムに陥った結論しか出ない…。 たとえば、いくつもの小会議室での結論を持って、それぞれの代表者が会議を積み上げていって、大集団の結論を導き出すとしよう。ひとつひとつの会議は密室であり、そこに信頼を寄せられない人もいるのかもしれぬ。 だが、発言数や対話の数を合計すれば、日本武道館でやる会議のようなものとは比較にならぬコミュニケーションが実現していたはずである。 インターネットで広がっているフラット感は、日本武道館である会議のようなもの。 私は、そんなことを感じている。 追記:05.20 アルゴリズム14は、シーサーブログで、続けています。 アルゴリズム14:メディアのアルゴリズムを総覧する。 …です。 ご高覧いただければ幸いです。

続きを読む

総合記事ランキング

もっと見る