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脳卒中と看護学

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2013年05月27日
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・安静の不足により、損傷部位の再損傷による疼痛性運動制限。
・浮腫管理に問題があり、皮膚伸展性低下による運動制限。
・腓腹筋やヒラメ筋の短縮による背屈運動制限。
・アキレス腱炎や腓骨筋腱炎等による疼痛性運動制限。
・三角靭帯後部線維や後方関節包の短縮。
・距骨後方移動等の関節包内運動の不協調。
・脛腓関節間の拡大制限により脛腓間に疼痛。

 

 

拘縮の予防】

 

 関節拘縮は予防にまさる治療法はないと言われている 4, 5)。予防には拘縮の促進因子をできるだけ少なくすることが重要である。一般に以下の点に留意することが必要である。

1、浮腫の予防
 浮腫とは組織間液が増加・貯留した状態をいう 10)。正常では毛細血管の動脈寄りで血漿が組織間隙へ濾過され、濾過された組織液は毛細血管の静脈寄りで吸収される。吸収量よりも濾過量の方が多いため、残った組織液はリンパ毛細管より吸収され、静脈に還流される 11)

 外傷後や固定後の浮腫は、炎症による毛細血管の透過性亢進、筋ポンプ作用の低下、交感神経亢進状態(RSD 様変化)などが原因と考えられている 10)。炎症が起こると、毛細血管透過性が亢進して血漿中の蛋白質が組織間へ移り、間質液コロイド浸透圧が上昇し、血管から浸出液を引き込み浮腫が生じる。浮腫などによる浸出液は、心不全やネフローゼによる漏出液と成分に違いがあり、線維素が多量に含まれることから周辺組織に線維化を促進し拘縮を発生しやすくなる 11)。浮腫を抑制するために具体的には以下のことを行う 12)

<1> 患肢の挙上位保持(急性期~慢性期)
<2> 固定関節より遠位関節部での自動運動(出来るだけ早期に)
<3> 固定関節周囲筋の等尺性収縮訓練(出来るだけ早期に)
<4> 包帯や紐を使用した浮腫除去法(急性期は行わない)
<5> 間欠的空気圧マッサージ器(急性期は行わない)

 急性期や固定中の患者に「高くしてください」や「指を良く動かして」と指示しただけでは不十分である。日中や夜間、それぞれどのような方法で高挙を保つのかを具体的に説明する。自動運動の具体的な方法(頻度、時間、回数、スピード等)や注意点(やりすぎによる炎症など)を理解してもらわなくてはならない。患者自身の運動には誤用性・過用性症候群を常に配慮して指導する。

2、固定肢位の選択
 不必要な固定範囲は慎まなければならない。また、固定肢位の選択が可能ならば、肘関節屈筋や下腿三頭筋、股関節屈筋など短縮しやすい筋に適当な tension がかかる肢位を選択するようにする。これは筋力維持のためにも効果的であり、筋の短縮を防ぐといわれている 4)。現実的ではないが、膝関節を長期間屈曲位で固定を行うと、tension がかかる前方には構造変化が生じにくく屈曲制限は生じないが、tension がかからない後方関節部は組織変化が生じ、伸展制限が生じる 20)

 手指を一般的にボールをつかむ肢位(良肢位)で固定すると、拘縮が生じてもわずかな関節の動きで物をつかむことが可能である。しかし、手背に浮腫がある場合などは MP 関節は伸展、PIP 関節は屈曲しすぎる傾向になる。この肢位では靭帯等の関節構成体が弛緩するため、組織は短縮し拘縮を助長する 13)。拘縮を予防するためには、MP 関節を出来るかぎり屈曲し、PIP DIP 関節はほぼ伸展位に固定するのがよい。これを外傷を受けた手の機能的肢位という 13)。このように固定肢位についても配慮することが、拘縮を予防することにつながる。

3、疼痛のコントロール 4)
 疼痛は筋の防御収縮や筋スパズムの原因となり、筋の短縮や血流阻害により拘縮を助長する(脊髄反射の存在)。局所の炎症による場合は消炎鎮痛剤などが使用される。外傷などの疾患において十分な安静期間をとり、可動域訓練を開始するも、疼痛により可動域の改善がみられない場合がある(end-feel において抵抗感より先に疼痛が生じる)。この場合、疼痛が消失しない原因を究明して疼痛対策を優先する。疼痛を無視した訓練は、患者の苦痛を強めるだけでなく、治癒を阻害することになる。
 一定期間の安静、もしくは訓練方法を慎重に選択することで、多くの場合は疼痛が低下するが、難治性の疼痛が持続する場合、RSD をはじめとする複雑局所痛症候群(CRPS: Complex Regional Pain Syndrome) の存在や、内因性鎮痛系(脊髄後角膠様質部での下行性抑制系など)の機能不全なども考えられる。特に難治性疼痛は、持続的な痛み入力により、神経回路内に生じる可塑的な変化が原因であることが解ってきているが、その機序については不明な点も多い 23)
 抑制系については過去においてゲートコントロールセオリが言われていたが、この理解は著者自身が現在否定しており、痛みの問題は複雑かつ多面的な性格をもつと考えられている。


 

【6、拘縮の治療(非観血的療法について)】

 適切な評価により制限因子の特定がなされたならば、その制限因子に応じた理学療法を選択する。

1、物理療法
 物理療法(温熱療法等)の多くは、筋緊張を低下させ、筋や腱、靱帯の伸張性を高め、疼痛閾値上昇などの効果を期待して、ストレッチングや運動療法の前段階として使用される。また、患者のリラクゼーションを得るためにも効果的である 4)。制限因子となっている組織に直接効果を発揮させるため、温熱の種類を考慮する。ホットパックや温浴等の表在温熱や、極超短波や超音波等の深部温熱などが一般的に用いられる 4)。それぞれの機器の特徴は割愛するが、深部の関節の的確な部位へ、また適切な温度で加温することは困難との意見が多い 4,5,12)。また、温度の上昇は関節軟骨に悪影響との報告や、温熱療法を長時間・高温で行うと浮腫の増大を起こすので、可能なら高挙しながら実施するのが望ましいという意見 12)もあり、温熱療法の使用については論議があるようである。

 寒冷療法は主に除痛を目的に用いられ、訓練後の局所の炎症発生を防止するのにも役立つ。また、低周波や干渉波等の電気療法も疼痛緩和などを目的に行われる。

 慢性化した浮腫などに対しては、間欠的空気圧マッサージ器などが有効であるといわれている 12)。しかし、下腿浮腫に対してハドマーパンピング法(間欠的空気圧マッサージ器)と紐とを比較した報告 14)では、ハドマーパンピング法において足趾先端から 12cm と 20cm の周径が実施後ほとんど変化がみられなかったのに対し、紐を使用した場合は効果が大きかったとしている。(持続的な効果が得られたかは不明)外傷後の浮腫や RSD 様症状には、交代浴も有効と報告 15)されている。温水(42度)と冷水(15~25度)を、温水3~4分、冷水20~30秒を5回程繰り返すことにより、血管運動神経を賦活化し循環を改善する 15)

2、リラクゼーションと筋ストレッチング
 いきなり闇雲にストレッチや可動域訓練を行うことは危険であり、まずは防御的に緊張している筋をリラックスさせることが必要である。そのためには、患肢のポジショニングと保持を行い、患者の不安を取り除き、疼痛を伴わないよう慎重に筋を軽擦(マッサージ)したり圧迫することも有効である 4)。筋に対するストレッチングは、伸張反射を招かないようにゆっくりと持続的に行う。反動をつける動的ストレッチは伸張反射を誘発しやすいので通常は行われない。伸張時間は少なくとも15~60秒間が必要であるが、伸張反射を完全に抑制するには10分間以上必要とする意見 4)もある。

 岡西 16)は、肘関節拘縮例(上腕骨骨折16週)に対し1往復を約40秒で行った場合と約70秒で持続伸張を含んだ場合とを比較するため、上腕二頭筋と上腕三頭筋の筋電図を記録した。約40秒で行った場合では筋の防御性収縮が多くみられ、約70秒の持続伸張に比べ約2倍の伸張力(術者の)が必要になると報告している。患者の反応を見ながら、疼痛を起こさずにゆっくり行わなければならない。

 リラクゼーションと筋のストレッチングを行うだけで可動域が改善する場合があるが、あくまでも筋緊張が除去されただけであり、真の拘縮が改善したわけではない。これらは次項で述べる結合組織伸張訓練を行う前に行われていなければならない。

3、結合組織伸張訓練
 物理療法のみでは拘縮の改善は不可能で、何らかの伸張が必要となる 4)。しかし単に伸張を加えただけでは、制限因子に効率良く力が伝わらないだけでなく、周囲組織の二次的損傷を引き起こすこともあるので、実施には注意が必要である。

 関節包や靭帯等の結合組織の伸張には20~30分間の持続的伸張が望ましいとの報告が多い 4,5,16)。これは、長時間にわたり弱い伸張力を加えたほうが、伸張力を除いた後でもその効果が持続(翌日の ROM の戻りが少ない)するという結合組織の性質(Warren の粘弾性モデル: 粘性と弾性の二つの要素からなる)から説明される 16)。急速かつ過度の伸張は疼痛や関節周囲筋の攣縮を誘発し、軟部組織の微小断裂や出血を起こすので細心の注意を払わなければならない 5, 16)。岡西 16)は、関節拘縮を臨床的に捕らえ、関節を硬度として表現している。

 

http://jpc.vis.ne.jp/ORTHO/contracture/contracture.html

 






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最終更新日  2013年05月27日 10時25分21秒
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