機械式時計と煙草でブログ！

　先日発注していたラットレーの「マーリン・フレイク」です。グラム単価で見ると、私が今までに試してきたパイプ煙草の中では最も高価な銘柄になります。非常に人気の高い銘柄だけに、とても楽しみです。

　開封しますと、熟成の効いた香り＝発酵した干草の香りが漂います。酸味も感じるのですが、スリーナンズの酸味とは少し違っていて、角が取れたような柔らかい酸味です。
　カットは上の写真の通り、崩れかけた大きなフレイクで、写真のサイズの物が多分３枚くらい入っています。もう少し崩れれば、バージニアNo.1のようなブロークンフレイクになりそうです。湿気は、中くらいでしょうか。

　このフレイクをテキトーに千切って、それを畳んでパイプに詰めます。今回は火皿内径20mmの中くらいのパイプを使用しました。

　着火して吸い始めますと、すぐに甘い・・・、いや、しょっぱい？　すっぱいぞ!?　何だか薄い甘味に塩を効かせて甘味を強調するような感じの塩味がします。それとも酸味か？　これはいったい・・・？　このマーリン・フレイクの前は、バニラ系の着香煙草をずっと吸っていたので、それに舌が慣れてしまい、薄い甘味に勝手に塩味を感じているのかも知れません。
　香りは、浅い発酵の干草の匂いで、ともすると紅茶系の芳しさがあります。牧場の牛臭さとは異なる好ましいものです。

　しばらく吸って、味に慣れてくると熟成したバージニアらしい角の取れた軽快な甘さが前面に出てくるのですが、それでも塩味 or 酸味は感じます。「tobaccoreviews.com」の情報では、ブレンドにペリクが使われているらしく、それが塩味を感知する原因なのかも知れません。ペリクと言えば「酸味」を連想するのですが、ブレンドの仕方によっては僅かな酸味を塩味に感じるようになるという事でしょうか。

　いきなり塩味に気を取られてしまいましたが、じっくり注意深く吸うと、良く出来た煙草である事が分かります。角の取れた柔らかい甘味と、出し汁系のコクのある旨みを、漬物系の塩味 or 酸味が上手にまとめているような雰囲気で、舌を噛むような刺激も少なく、絶妙な匙加減です。
　なるほど、このバランスの良さと奥深さ・複雑さは、さすが人気銘柄といったところです。

　という事で、喫煙終了。後味は軽く、少し塩味っぽい酸味が残ります。残り香は軽めの紅茶系です。喫煙時間は、20mmの中くらいの火皿のパイプで２時間程でしたから、やはりフレイクらしく長めになりました。

　トータルとして、確かに良くまとまった美味しいフレイクだと思います。良く比較されるサミュエル・ガーウィズの「フル・バージニア・フレイク」と比べると、マーリン・フレイクの方が味に複雑さを感じます。「ブレンドを吟味して作り込みました」という雰囲気が非常に強くあるのです。そして、味が複雑な分だけ、「これは美味い！」という台詞が即座には出てこず、ジワジワと来るような感じです。

　個人的な好みから言えば、この塩味とも酸味とも言えないスパイス感は、もう少し弱い方が好きですが、「マーリン」（魚のカジキ）という名前が良く似合う味わいだとも言えますので、これはこれで、この煙草の個性という事で、よろしいのではないでしょうか。

　ただ、まぁ、価格を考えると、常備して時々吸うには良いかも知れませんが、常喫には厳しい気がします。ちょっと良い事があった日に吸うぐらいが、良さそうです。


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