幸せの催眠法 長尾式催眠療法

2009/05/13(水)12:25

強迫観念の改善方法

催眠療法(128)

強迫観念とは、神経質の本体である内向的過敏性取り越し苦労や劣等感が、ある種の強迫観念となってあらわれ、絶えずその当人の心を悩ますことをいいます。たとえば、ある仕事について考えている際に、その仕事とは全然関係のない、縁もゆかりもない、事実無根な、ありうべからざる事柄、全くつまらない、とるに足らない事柄であっても、それが神経質の人の頭の中へ突然進入してきて、こびりついてしまい、前の仕事の進行を妨げ、または全くその仕事を遮断してしまうという脅迫的の性質をおびていることが主な特徴でありますから、強迫観念と呼ばれるようになったのです。もう一つの特徴は、患者自身もその強迫観念がくだらない、不合理な、または恥ずべき神経質的のものであるということを自覚して、その病的観念から抜け出したいとあせるのですが、あせればあせるほど、その観念がいっそう頑固に襲ってきて、ついにその虜となって、大きな苦悶が伴うことになります。強迫観念の種類ははなはだ多いのですが、そのうちでも一番多いのは、赤面恐怖症と対人恐怖症と呼ばれるものでしょう。強迫観念の種類を次にあげてみますと、赤面恐怖症、対人恐怖症、室内恐怖症、室外恐怖症、幽閉恐怖症、孤独恐怖症、沈黙恐怖症、男性恐怖症、女性恐怖症、正視恐怖症、高所恐怖症、欲望恐怖症、峡所恐怖症、暗黒恐怖症、場所恐怖症、墓場恐怖症、乗り物恐怖症、接触恐怖症、ばい菌(ウィルス)恐怖症、移転恐怖症、中毒恐怖症、結核恐怖症、らい病恐怖症、がん恐怖症、精神病恐怖症、その他の疾病恐怖症、わきが恐怖症、休息恐怖症、失念恐怖症、失業恐怖症、試験恐怖症、読書恐怖症、発汗恐怖症、尿意恐怖症、先端恐怖症、被害恐怖症、書字恐怖症、そろばん恐怖症、その他職業恐怖症、えがお恐怖症、媚態恐怖症、責任恐怖症、間違い恐怖症、不正恐怖症、不潔恐怖症、過失恐怖症、犯罪恐怖症、怠情恐怖症、縁起恐怖症、 神恐怖症、雷電恐怖症、地震恐怖症、暴風恐怖症、流水恐怖症、火災恐怖症、鉄道恐怖症、乗船恐怖症、動物恐怖症、穿鑿恐怖症、計算恐怖症、質問恐怖症、疑惑恐怖症、入念恐怖症、文法解剖症、追憶列挙症、そのほか多数を数えます。私の経験によると、神経質による強迫観念のうち、最も多くの人が悩んでいるのは、赤面恐怖症と対人恐怖症であろうと思います。原因 人前に出ると顔が赤くなる、きまりが悪い。これは羞恥心に基づく人間心理の自然法則というものであって、それはどうすることもできない、人間が持っている本能です。人間以外の動物もすべて人間と同じ様な性質を持っていて、食欲もあり性欲もあり闘争心もあり、人間と同じ様に病気もしますが、動物はただ羞恥心、恥ずかしいという気持ちは持っていません。羞恥心は人間だけが持っている本能です。これがあるために社会の秩序が保たれているのだともいえるのでしょう。人前へ出て顔が赤くなるのは、赤くならない人よりも羞恥心の程度が高いのです。その本人は相手の人に対して「恥ずかしい」という意識をしなくっても、脳が知っているから、直ちに羞恥心の感情が湧きあがって赤くなるのです。このような、恥ずかしがり屋の素質のある人が、かつて・・・・・たとえば、人前でクシャミが出て恥ずかしかったことがあるとか、プッとガスを失礼して人に笑われたとか、または子どもの時に何かして人に笑われたことがあるとか、まことにたわいのない事柄など、自分では忘れてしまっても、ひとたび脳に感銘したことを脳は永久に忘れないため、何かに動機で後日になって、それが無意識のうちに、強迫観念による赤面恐怖症となってあらわれることも多いのです。治療赤面恐怖症をなおすには、羞恥心による沸き立つ感情に逆らうことなく、その感情に服従するのです。羞恥心の感情だけでなく、どんな感情でも、それを押えつけることは、普通の人ではほとんど不可能に近く、たとえば、喜怒哀楽の感情を無理に押えつけると、その副作用としていろいろの症状があらわれます。たとえば怒りの感情を押えつけ、じっとこらえていると、リウマチ、糖尿病、バセドー病等に発展します。恥ずかしいという羞恥心の感情を押えつけようとすると反発されて、ますます赤くなります。そこで、催眠術によって赤面恐怖症をなおすには、次のような暗示を与え、その羞恥心の感情に逆らわないようにします。「あなたは、恥ずかしがり屋ですから、人前で顔が赤くなったり胸が躍っても仕方がない、生まれつきだから仕方がないとあきらめて、恥ずかしいという感情に決して逆らいません、心のそこからそのように思います」と、このような暗示を与えると、赤面恐怖症はなおります。ですから「赤くなっては困る」「胸が躍らないようになりたい」などと思うことは、羞恥心の感情に逆らうのですから、ますます赤くなります。仕方がないと心のそこから思えば、羞恥心の感情は消えてしまって、決して赤くなりません。

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