幸せの催眠法 長尾式催眠療法

2010/02/18(木)09:38

赤面恐怖症に対する自己催眠法

自己催眠法(3)

 人前に出ると顔が赤くなり、胸がドキドキ躍って、声まで震えたり、手のひらから汗がにじみ、はなはだしいときには足の裏まで汗が出て、靴下がぬれるほどのなる人がいます。これは強迫観念によるもので、女性より男性に多い。この症状になるのは顧客に接する場合だけでなく、下級社員が上役の前に出るような場合にもしばしば認められます。 [原因] 我々人間には羞恥心があるから、「恥ずかしい」という気持ちになるのです。これは人間だけが持っている本能です。人間以外の動物もすべて人間と同じ性質を持っていて、食欲も、性欲もあり、闘争心もあり、人間と同じように病気もしますが、「羞恥心」は持っていません。ですから、犬や猫、馬、牛などは誰に会っても恥ずかしがらないのです。羞恥心は人間だけが持っている本能で、これがあるために社会の秩序も保たれているのだと言えましょう。どのような凶悪犯罪人でも、逮捕され連行されるときには、報道陣の写真撮影に顔を隠すのは自然の行為で、やはり羞恥心があるからでしょう。 羞恥心は年を重ねるに従って薄らぐものですが、人前に出て顔が赤くなるのは、赤くならない人よりも羞恥心の程度が高いからです。羞恥心の程度が高いということは、その人の性質が純真であることの証拠です。決して自分を卑下してはなりません。むしろその純真であることを心密かに誇ってよいわけです。[治療] 人前に出るのは恥ずかしい。これは万人共有の本能であって、顔が赤くなるのとならないのは、羞恥心に程度の差があるだけのことです。相手が異性の場合にはますます赤くなりがちなものです。羞恥心を本人が意識せず、恥ずかしいという感情が燃え上がって顔が赤くなるのです。人間は感情が興奮するといかに努力しても、その燃え上がる感情を押さえつけることは出来ません。押さえつけようとすればするほど、大きく反撥されて、ますます赤くなります。まず、このことをはっきり認識しておきたいものです。 羞恥心の感情が興奮して、恥ずかしいという感情が燃え上がる時は、決して押さえつけようとしないで、「私は、恥ずかしがりやだから仕方がない。赤くなってもかまわない」と思って、その羞恥心が興奮するままに任せておけば、恥ずかしいという燃え上がった感情は、どこへともなくすぐに消え去ってしまい、赤面しなくてすむのです。 感情の興奮は押さえようとしても決して押さえきれるものではないから、その興奮した感情を抑えずに発散させれば興奮が消えてしまう一つの例に不眠症をいう病気があります。本人は不眠症にかかって毎夜眠れず、何ヶ月もあるいは何年も熟睡したことがなく、悩んでいるのですが、これも赤面恐怖症と同じように、その眠れないという感情の興奮を押さえて眠ろうとするから、ますます興奮して目が覚めてしまい、ついには眠れないのです。不眠症で眠れないという燃え上がる感情の興奮に逆らわず、「眠くないならば、明日の朝まで眠らずにいよう」と覚悟を決めると、そのとたんに寝入って熟睡してしまうものです。これは眠くないという感情を抑えないで、発散させるからです。 赤面恐怖症の場合もこれと同じであって、羞恥心の燃え上がる感情を抑えずに発散させてしまえば、赤面しなくてもすみ、従って、胸も踊らず、会話もわだかまりなくスムーズにできるのです。 赤面恐怖症に悩んでいる人は、青年男女だけでなく、教室に入って学生生徒に講義を行おうとして、赤面と発汗に襲われ、毎日悩み続けた末に、私を訪れる中年の大学教授や高校、中学校の男子の教諭がかなりいるということを記しておきます。 そこで、自己催眠法を活用して赤面恐怖症をなおすには、すべて自己催眠法を行う時と同じように、催眠状態になってから、「わたしは、羞恥心の程度が高いために赤くなるのだから仕方がない。赤くなってもやむを得ない」 と、実際に心の底からこのように思い、その暗示を自分で声を出して自分の耳に聞かせながら二、三回繰り返すと必ずなおって、将来は、人前に出た場合にも決して赤面しなくなるものです。「赤くなっては困る」と思うのは、感情の興奮を押さえようとすることですから、そのような考えをもたないことが大切です。

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