Perpetual Traveler(時由人)

2005/11/29(火)11:20

ストック・オプション実務~その5

証券実務/経済時事(84)

【権利行使価額設定に観る「企業のやる気」】 ここで権利行使価額の設定に関して前提を述べますと、 公開公募以降に会社がストック・オプション施策をしようとしたときには 市場価格比準方式という評価方法による必要があり、 直近の株価を加重平均した価格よりも行使価額を高めに設定しないといけません。 逆のこと(直近の株価よりも低い権利行使価額設定)をする場合は、 有利発行というものに該当しますから、株主総会を開催して定足数を満たした上で 3分の2以上の賛同を得ないと実行できないように足かせがあります。 すなわち手続き論としては、株主への周知のもと行う必要がありますので IPO以後のストック・オプション施策はおのずと適正な内容に収まってきます。 それでも、不適正に抜け穴利用しようとする馬鹿者は必ず存在しますが、 そんな輩企業こそはさっさと選別して投資対象から排除してしまいましょう。 ゴホン・・・また話が脱線しそうになった・・・ 通常のケースに話を戻しまして、 つまり、そのときの株価よりも「(はるかに)何%も高い権利行使価額」でもって、 役員や従業員にストック・オプションを渡します。 しかも行使開始可能日を(税制優遇を享受するために) 付与日の2年以上先に設定する場合がほとんどです。 権利付与されたからといって、業績向上のコミットも果たしていないのに すぐに行使できるなんてうまい話はありません。 まさに、ここから外部のステークホルダーの評価が始まり、 役員・従業員の評価が一定期間さらされることになるんです。 さあこれからますますハタラケ、利益貢献できない社員は辞めなさい、なんですよ(`▽´) 会社内部だけの評価に終始する「お手盛り」現金ボーナス査定など、甘い、甘い! 社員が誰のために一生懸命働くのか自覚させるためには、 この多大な緊張感が大事なんです。 まずは「権利行使価額のハードルの高さ」によって、その企業が、 ストック・オプション施策にどれほどのダイナミズムを求めているか、 判り易く言えば、企業業績を向上させ、株価評価に反映させるために 役員・従業員をこの先何年間、どれほど「こき使おう」としているのか。 言い換えると、『会社がどれほどの企業価値の成長を志向し株主に公約しているのか』 を読み取る一つの指標として考えることができます。 これほど外向きに判り易い評価指標もなかなか無いのではないでしょうか。 (つづく)

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