Perpetual Traveler(時由人)

2006/01/31(火)09:55

ストック・オプション実務~その21

証券実務/経済時事(84)

【ストック・オプション施策:実務者の感慨】 私は、これまでのストック・オプション実務経験においては、 『高い収益力があれば、まさに株主に「リターン(利益還元)」で報いるべきです。 当社は株式公開しているのだから従業員を働かせ業績を外部評価にさらすために ストック・オプションを活用して業績を上げ、ますます大きくリターンすべきです。 発行済の1~3%程度の少数の発行枠には留めるが、 その代わり定期的に評価制度として行っていきましょう』 といったように、ときの経営者には打診してきました。 あるいは、ややロートルの傾向があった別の某企業では、 『カネがあるのであれば先に自己株買い付けして金庫株でストック・オプションを実施しては』 とも。もちろん、株価が長期低落傾向にあったからです。 これらは株主の身分としてではなく、従業員の身分としての経営者に対する諫言です。 なかば、いつでもクビ覚悟で直言をしてきました。 上に「気付き」を与えなければいけない、重大で難儀な行為ですから。 少しでも経営サイドに理解されなければ、それは誤解に生まれ変わる場合が多い。 大それた言い方ですが、 『経営サイドと投資家サイドを常に橋渡しできるような従業員でありたい』 というのが私の職業観です。 従業員でありながら、中立的姿勢も持ち得て常にバランスしていなければならない。 業界問わず、どこの会社に在ってもそう。これは普遍的な共通項です。 役員にも、株主にも出来ないことをやる。 それが出来なければ、ひとえに私の力不足と言うことでクビ。 この信念と職業観を持って行動していくということですね。 ------ ま、そんなことは私事でどうでも良くて、 とにかく、株式公開後の企業としては、 利益配分の優先順位を「身内から社外」へ入れ替える必要があると、 ときの経営者に対しては、若造青二才の正論として 耳の痛いことを山ほど言ってきたように思います。 新興でも、ロートルでも、考え方の根本はあくまで一緒なんです。 『ステークホルダーへの利益還元と、創業者や従業員に対する適正な評価制度』 この点にストック・オプションの趣旨と成果評価は集約されます。 ストック・オプション制度は有意義に活用すれば、既存株主はもちろん、 会社のステークホルダー皆さんがハッピーになれるのだと私は信じてやってきましたし、 これからもこのような職務に携わる機会があるのであればそうしていきます。 ------ 今回で、公開前のストック・オプション実務に関するシリーズも終了。 いよいよ「ストック・オプション実務」シリーズも次回の【番外編】で最後になります。 ただ、これまで21回にも及んだ、 このストック・オプション実務シリーズで述べた企業経営のさまざまな醍醐味が、 根本から否定されるようなショッキングな内容で締めないといけなくなりました(号泣) もう少しのご辛抱を… (つづく)

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