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2018/08/09(木)14:02

【聖女の救済】☆

読書☆想(30)

これまた湯川准教授シリーズである。★ネタバレバレです★ 冒頭、聖女である資産家の妻綾音が夫から離婚を切り出される場面から始まる。 だから彼女が犯人で有ることは間違い無い! 夫から【一年で子供が出来なかったら離婚するのが2人の取り決めだった】 素気なくそう言い渡されて、【子供がそんなに大事なの?】【私への愛はもう無いの?】 問われて【勿論今でも気持ちは変わらない、でも子供は・ライフプランは何より優先されるんだ】 綾音は愛は無いんだと感じ、決行を覚悟し、【しばらく北海道の実家に帰ってきます!】と。 綾音はパッチワークの教室を持っていて、その弟子の宏美が夫の愛人だとも気が付いていた。 その上妊娠してるということも察していた、だから自分は捨てられるというのに 彼女に恨みを持っていない風情が不思議だ。 罪を着せる意図は無く?宏美に自宅の鍵を渡して、家を開ける。 週末彼に呼び出された宏美が綾音の留守に泊まる、待っていた彼の入れたコーヒーが苦い。 「(綾音と)結婚してから初めて自分で入れたんだけど、巧くないなー」 以前はコーヒーメーカーが有ったが、綾音に処分されたから自分では入れてなかった。 翌朝宏美がいれるところを見ている、自分で飲みたいときに入れられるように。。; 夜も一緒に過ごそうと約束して出掛けるのだが、その約束は果たされない。 仕事終わりに電話しても彼は出ない、家に行くと彼がコーヒーを飲んで死んでいた! 【毒殺】に間違い無いが、では毒は誰に呑まされたか? 宏美の他に訪問者は居ないようだ、動機の有る妻は北海道に居て鉄壁のアリバイが有る。 捜査は難航するが、ここで登場する草薙と内海薫のコンビの息が合わない。 始めから綾音が怪しいと決め付ける内海、彼女に同情的に接し他の可能性を捜そうとする草薙。 ことごと対立し「草薙さんが恋しています」と、単独で湯川に協力を仰ぐ内海。 草薙には内緒の理由に虚を付かれ相談に乗る湯川、【完全犯罪】かもと興味を持つ。 第一の難関は毒物の経路、留守の綾音がどうやったら夫に毒を飲ませられたか? 夫はペットボトルの水しか飲まなかった、当然コーヒーもその水を使うだろう! だがペットボトルから毒物は検出されない。 湯を沸かしたケトルから僅かに反応が出る、がそれならどうして宏美は無事だったか? 浄水器が付いているが操作した形跡が皆無で、むしろ1年はフィルター交換も掃除もしていない? 湯川の指摘で浄水器の毒物検査が行われるが出ない・・・更なる精密な検査を勧める湯川。 湯川の介入はともかく(草薙)を無視した内海に苛立つが、自分を信じて緻密な捜査に徹すると。。 秘密主義だった被害者の過去が少しずつ見えてきた、綾音の前の彼女のこと。 そして彼女が2年前に自殺していること、更に綾音と親友だったことなど。。; 家族というものに縁が薄い被害者は、自分の子供を産んでくれる妻だけを求めていた! 一年付き合うなりして子供が出来なかったら別れる事を、当たり前としてきた。 綾音の親友は被害者を殺した毒で自殺していた、それを遺言のように綾音に送ってきていた。 綾音はその意味を知り、その時が来て・自分の望みが叶わなかったら使おうと用意していた。 此処で何故【聖女】かという疑問が解ける・・一貫して宏美に寛大に接している綾音だが、 それに惑わされる草薙に読者も騙される、宏美を責めない事・その美しい佇まいに。 だがそうではなく綾音は子供が産めない体だったのだ、その事を親友も知っていた。 子供が出来ないことで恋人に去られ、彼の次の相手は親友綾音・・そこで自殺を選ぶ。 でも綾音は子供を望めないと分かっている、一年後には同じく捨てられると分かっているから毒を送ってきたのだ。 それを綾音は自分に使わず夫殺害に使うが、やはりどうやって?が分からない。 湯川が証明されないと【虚数解】だからと、なかなか手の内を明かさない! 綾音がいつもどう暮らして居たか、執拗に調べる。 彼女はいつも家にいて、夫の世話をする事を一番にしていた。 リビングに座りずっとパッチワークを縫っていて、夫も誰もキッチンには入れないほどに。 そこまで完璧に夫の世話をしていても、子供が産めなければ用は無い! だがそのことは分かっていたことである、綾音は自分だけは捨てられ無いことに賭けていたのだ。 でも、、そうなってしまった。 そうなるだろうと分かっていたとおりに。。 では毒はいつ仕掛ける?  答えは始めから! 痕跡が無いのは毒は既に仕掛けられていたからなのだ! そう結婚した1年前から!! 綾音がしたことはそれが誤って使われないように見張っていることを、止めただけ。 【聖女の救済】とは、 浄水器を使われないように気を付けていた行為・夫の命を日々救っていたことを指すのだった☆ 私は最後まで綾音が罪を逃れられるのかと思っていたのでした、やられました~☆

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