2007/04/18(水)02:47
Google - Double Clickの戦略的意義
今更ながら、話題沸騰のGoogleによるDouble Click買収を、自分なりに考えてみる。様々な人が様々な賛成・反対意見を言っている。
確かに、2005年11月にTim O Reillyがweb2.0と1.0を比較した際に、
リストの一番上にあったのが1.0=DoubleClick, 2.0= Gooogle AdSenseだったからコレだけ見ると、時代に逆行しているように見える。しかし、Googleの動きは経営戦略としては極めて正しいと思う。
その理由としては1.今まで弱かったバナーや映像広告分野でNo.1になれる2.上記と重なりますが、バナーや映像広告に出稿する広告主
(ロングテールなAdWordsに対してヘッドであるナショナルクライアント)
や彼らの代理店と親密な関係になれる3.またまた重なりますが、広告主や広告主の代理店に対して、
ワンストップで様々な広告メニューを提供できる4.DoubleClick (旧Abacus Directを含む)の顧客データ解析技術を獲得5.DoubleClick (旧Abacus Directを含む)の顧客データそのものを獲得6.対Microsoft (Yahoo! や AOLもbidに参加していたなら彼らも)のブッロク・プレイ7.これでネット広告で圧倒的No.1を築いたので、新規分野であるリアル広告に
リソースを再配分できる8.バナー広告等の配信技術の獲得(? 既にGoogleはDoubleClick同等レベルの
技術力があったという声あり)こんなところでしょうか?上記6がやけに日経ではクローズアップされてましたが、勿論それはあるけれど、
1,2,3の方が大きい気がします。サーチワード広告は費用対効果だけをみると抜群。
でも限界がある。ブランド広告やイメージ広告を打つ時には適さない。これはやはりTVや紙媒体が強く、webならバナーや画像広告。自動車会社や飲料・食品会社などのナショクラからしてみれば、
欲しいワードは全部買ったと。でもそれだけじゃ足りない。「新車のイメージ」「ブランドイメージ」等々を伝えるには、費用対効果が
悪くても、そもそも効果測定がアバウトでも、やっぱりバナー広告やTV・雑誌広告が
必要。Googleの高収益率の要因の1つは、この費用対効果が高く、かつ効果が計測できる
サーチワード広告での圧倒的地位を築き、更に人手をかけずに自動的に出稿から配信
までできてしまっている点ですが、成長を続けるために、多少利益率は落ちるが
より大きな市場(まずはバナー等のネット広告のヘッド部分、次はリアル広告)を
狙っていかざるをえなくなっている点も、今後のGoogle動向をウォッチする時に
覚えておきたいことです。それにしても、ネットバブル時のシリコンアレーの代表選手が、
今頃、シリコンバレーの新たな代表選手に買収されたという点が、
この業界に長くいた者とはしては感慨深いです。個人的にも、当時DCLK株に投資してそこそこ儲けさせてもらったので
それなりに愛着はあったんですが・・・
(メール配信はDARTよりPOEM愛用者でしたが)