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初手から唐突ですが、スターサッカー最新号はもうお読みいただいたでしょうか?
メインのミラノ特集は、ミラニスタ、インテリスタの皆さんはもちろん、カルチョが好きな人も嫌いな人も、楽しめること請け合い。ぼくも、巻頭のカカをはじめ、ガットゥーゾのインタビュー、ミランのブラジルコネクション話、ミランとインテルを偏愛するジャーナリストのインタビュー、ゴール裏の話を硬軟2本と、全部で15ページくらい書かせていただきました。まだの方は是非ご一読ください。 さて、この週末(もう4日も前ですが)は、今シーズンからトリノの2チーム(トリノ、ユヴェントス)が使い始めた新しいスタジアム、スタディオ・オリンピコに行ってきました。試合はのユヴェントス対モデナ。セリエBです。 ご存じの通り、天下のユヴェントスは、カルチョスキャンダルの主犯格として「過去2シーズンのスクデット召し上げ、セリエAから追放の上セリエBで勝ち点17剥奪の刑」に処されて、今シーズンはクラブ史上初のセリエB暮らしを強いられています。 歴史的に見ると、実は1913年に一度、イタリア全国選手権ピエモンテ州リーグ(当時は全国リーグはなかった)で最下位に沈み、州2部リーグ降格の対象になったことがあるのですが、この時は、たまたま参加チームが奇数だったお隣りロンバルディア州リーグに登録させてもらうという とはいえ、ユヴェンティーノの皆さんにいわせると、この処分はユーヴェにだけすべての責任を押しつける不当きわまりないものであり、我々は犠牲者である、ということになっています。こうして29回目のスクデット(昨シーズン獲ったけど剥奪されたやつです)を祝うTシャツを試合に着てくるのもその一環。 ユーヴェのゴール裏(最近はDRUGHI、ARDITIという2大グループが仕切っており、かつて主流派だったVIKING、NUCLEOなどは、反対側のゴール裏に追いやられています)にも、「グイド・ロッシ処刑GUIDO ROSSI BOIA!」という物騒な横断幕が張り出されていました。グイド・ロッシというのは、つい数日前までイタリアサッカー協会の特別コミッショナーだった人です(詳しくはこのエントリーをご参照下さい)。 さて、このスタディオ・オリンピコはその名の通り、2月のトリノオリンピックで開会式に利用されたスタジアムです。以前のエントリーでも触れたことがありますが、元々はスタディオ・コムナーレという名前で、イタリアワールドカップ開催に当たってデッレ・アルピが造られた90年までは、ユーヴェとトリノの本拠地でした。その後2004年まで、ユーヴェが練習場として使っていたのですが、トリノオリンピックに合わせて大改装され、現在の姿になったというわけです。 これが現在のオリンピコ。元々は陸上トラック付きのスタジアムだったものを、サッカー専用に改装したので、ピッチの周囲に無駄なスペースがあります。1階席の傾斜もサッカー専用としてはやや緩くて、前の方だとガラスフェンスが邪魔になって試合があんまり良く見えないかもしれません。 下の写真は、改装前、ユーヴェが練習場として使っていた当時のオリンピコです。基本的な構造はそのままで、3階席と屋根を上に付け足して改装したということがわかります。 ちなみに、下左は当時の半分朽ち果てたメインスタンド。イタリアのスタジアムにしては前後左右の間隔が広く、背もたれも高かったりして非常にゆったりと座れるようになっていました。改装された今も客席の構造は変わっていないので、結果的にイタリアで最も快適性の高いスタジアムのひとつになったと言っていいでしょう。おかげで広そうに見えますが、キャパは2万人。この日もほぼ満員でした。トリノの試合は、1万5000席くらいが年間チケットで埋まってしまっています。 上右の写真は参考資料です。フィレンツェのスタディオ・アルテミオ・フランキ。やはり昔からある陸上トラック付きのスタジアムを改装しています。1階席の傾斜の緩さ、2階席につながる階段の配置、ピッチとスタンドを隔てるガラスフェンスなど、トリノのオリンピコと意匠的に共通する部分が少なくありません。元のスタジアム自体、同じ時代、あるいは同じ設計者なのかもしれませんね。 このオリンピコには、快適性以外にもいいところがあります。それはアクセスの良さ。以前のデッレ・アルピは、トリノの中心からバスかトラムで40分前後という極悪な立地だったわけですが、こっちはポルタ・ヌオーヴァの駅からだと63番のバスか4番のトラムでほんの10分(フィラデルフィアFiladerfiaという停留所で降ります)。往きも帰りも非常に楽ちんです。 試合の方は、トレゼゲ、デル・ピエーロ、ネドヴェドという大御所がぼこぼことゴールを決めて、ユーヴェが4-0の圧勝。そもそも、これだけのメンバーを揃えてセリエBで戦って勝たない方がおかしいです。以下、この日のスタメン。 GK:ブッフォン DF:ゼビナ、R.コバチ、ブームソン、バルザレッティ MF:カモラネージ、C.ザネッティ、パーロ、ネドヴェド FW:デル・ピエーロ、トレゼゲ その上ベンチには、ボジノフ、マルキオンニ、キエッリーニ、ジャンニケッダといった顔ぶれが控えているのですから、ほとんど反則です。この試合を観た限りでは、華麗なパスワークとはまったく無縁、奪ったボールは素早く縦に展開し後は前の4人(2トップと両ウイング)が強引にねじ込むという、結果重視のごりごりしたサッカーはBに落ちても監督がデシャンになっても、まったく変わっていませんでした。こういうのを伝統というのです。 この場面も、敵CKからのカウンター。DFラインから右サイドに流れたデル・ピエーロにロングパスが出て、中央にトレゼゲとパーロが走り込んでいます。この後は、DPが一旦切り返して1対1で突っかけ、見事にボールを奪われていたような気がします。 前回のエントリーで、古き良きスタジアムが好きだと書きましたが、こうやって行ってみると新しくて快適なスタジアムも、それはそれでいいっすね。今シーズンのユーヴェは、少なくともホームではほとんど勝つでしょうから、ユヴェンティーノの皆さんはいい気分になれること請け合い。トリノには大黒も在籍しているし(試合に出るのは難しそうですけど)、イタリア旅行の計画があるカルチョ好きの皆さんには、この新オリンピコでの試合観戦を是非お勧めしたいです。セリエAでもセリエBでも。■ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.09.28 04:16:43
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