百年の孤独
昨日、会社同僚のご主人のお通夜に行って来ました。ご主人は通勤途中、定期を忘れたことに気がつき、家に戻ったところで心筋梗塞、そして逝ってしまいました。ご結婚されて2年でまだお子さんもいず、たった1人奥様を残して・・もし定期を忘れていなかったら、もし倒れたのが人通りの多い場所ですぐに処置できたら・・?どんなに考えても人の世に「もし」は存在しない。残された人はすべて背負って生きて行かなければならない。彼女は今日葬儀の喪主を務め明日から会社に出てきます。それが本人の意思であり、意をくんだ上司は「早く出てこい」と言いました。週明けまで休んでしまったら張っている糸が切れてしまう、立ち上がるタイミングを失ってしまう。彼女の痛みを理解することはできません。でもここには彼女の居場所がある。だから私達は待っています。帰り道「精進払い」と言うことで、お焼香の時間が一緒だったメンバーで飲みに行きました。「精進払い」と言う言葉をはじめて聞き(無知?)思わず聞き返してしまった。そんなに長居しないだろうとよくあるチェーンの居酒屋(養老だったかな?)に入ったところ、昭和の一戸建てを改装したらしきお店で、ゆったりした旅館風情の畳の部屋に座布団ちゃぶ台、と喪服を着ている私達はまるで親戚の集まりみたいな光景になりました。賑やか過ぎず妙に居心地がよい。最近は居酒屋でも芋焼酎のボトルが置いてあるのですが、10人以上集まると必ず芋焼酎の匂いがダメな方がいます。大人な私は麦焼酎をセレクト(セレクトって言っても選択の余地がないけど)。名前は忘れましたが、ほんのりウィスキーの香り漂う悪くないお酒でした。麦焼酎を飲んでいるときに「百年の孤独」の名前の由来について聞かれていたことを思い出しました。「百年の孤独」名前の由来はコロンビア出身のノーベル賞作家、ガルシア・マルケスの小説からつけられたそうです。きっと「黒木本店」社長さんの愛読書なのでしょう。またこの方はJAZZをこよなく愛する方のようで、ボトルにはジャズ・ミュージシャン「エリック・ドルフィー」の言葉が綴られています。 When you hear music, after it's over, it's gonein the air. You can never capture it again. あなたが今耳にした音楽は空中に消え、再びそれを聞くことはできない私はこの言葉で「一期一会」を想いました。今は高騰してしまったこの焼酎、なかなか買う気になりませんでしたが、知れば知るほど作り手の気持が封じ込められた美しいお酒です。もしお目にかかれる機会があれば、エリック・ドルフィーの言葉を思い出しながらゆっくり味わいたい。できればJAZZのかかるBARがいいなぁ。 百年の孤独 厳選された大麦と手造りの麹を原料とする本格派麦焼酎。 樫の木の樽で3年から5年熟成され 色素や風味を損なわないように 最小限のろ過をほどこされ、瓶詰されます。百年の孤独( 著者: ガブリエル・ガルシア・マルケス / 鼓直 | 出版社: 新潮社 )