「アイアンマン２」感想

June 24, 2010

　人気アメコミシリーズの映画化第二弾。

　メカニックデザイン、アクション、ストーリー、そしてトニーのエロ社長っぷりと、全てが前作よりパワーアップして帰ってきた本作だが、いささか詰め込み過ぎたのか、全体的にチグハグで淡白な印象。
　生命維持装置でもあるアイアンマンの動力源・アーク・リアクターの発する毒素に蝕まれるトニー。そんな彼を気遣いながらも、結果的に振り回される秘書のペッパーと、思いがけない暴挙に出る親友のローディ。スターク家に復讐の炎を燃やし、自作のスーツでトニーを追い詰めるイワン＝ウィップラッシュ。他。
　一つ一つのパーツは良いものの、設定した客層を意識してか、あるいは単なるキャラクターの掘り下げ不足か、どうにも煮詰めきれてない観があり、また肝心の戦闘シーンも、真意はさておき「取って付けたような」間の悪さを感じた。
　せめてどちらかに特化すれば、もっと良い作品になったものを、アレもやろうコレもやろうとどんどん放りこんでいくうちに、なんともどっちつかずな出来になってしまったんじゃないかと、勝手な邪推が頭に浮かんだ。
　歴代アイアンマンスーツ、ウォーマシーン、ドローン等、登場するメカはどれも抜群にカッコよく、アクション自体もいい仕上がりなだけに、何とも惜しい。

　あくまで素人考えであるが、せっかくトニーとイワンの父親が、共同でアーク・リアクターを開発したという設定があるのだから、リアクターの毒素を浄化するシステム、または毒素を発生しないリアクターの作り方をイワンの父親だけが知っていた、とか、未完成だったリアクターをイワンとトニーのアイディアで完成させる、とか、もっと二人を絡ませるエピソードがあっても良かった気がする。
　ニック・フューリー大佐率いるシールドと、ブラック・ウィドーに関しても、最後まで謎の組織として影で動かし、ラスト前になって「実は君をとあるヒーローチームにスカウトすべく云々」と登場した方が、全体的にスッキリすると思うのだが。なぜあそこまで、それもかなり重要なポジションに彼等を据えたのか、他のキャラではダメだったのか、甚だ疑問。
　余談だが天下のニック大佐が、トニー（スーツ着用）とドーナツショップでコーヒー飲んでるなど、シュールにも程がある。原作ファンとしては、せめて場末のバーで葉巻片手にスコッチでも呷ってて欲しいもんである。

　期待値が高すぎたのか、前作より面白いはずなのに、前作より満足度が低いという矛盾。正直、アイアンマンスーツのデザイン以外で本作の良かった点は、エンドロール後のムジョルニアと、キャプテン・アメリカの盾と同じデザインの時計と、スカーレット・ヨハンソンの尻ぐらい。
　おそらくは、噂に聞く「あの」ヒーローチームを題材にした映画の布石的な意味合いも持つ本作ながら、好きな作品だけにもう一捻り二捻り欲しかった。多分あるだろう次回作と、近年中に公開されるという新アメコミヒーローものに期待。

　というわけで、小生の、この映画に対する評価は…、

　☆☆☆★★

　内容に２つ、メカデザインに４つ、平均して星３つ！！

　しかし、ソーはともかく、キャップ役にはクリス・エヴァンスが決定（バッキーも登場するという事は、戦前のエピソードからやる気か？）、ロバートも続投だそうだが、他のヒーローはどうなるんだろう。ハルクはやはり、エドワード・ノートンが演じるのか？関わりの深いウルヴァリンは？スカーレットウィッチは？ヴィジョンは？アントマンは？小出しにされると、余計に気になってしまう。
　これでいざ蓋開けてみたら大コケ、なんて事になったらシャレにならんぞ（笑）。
　あと、個人的に監督にはウォシャウスキー兄弟かリュック・ベッソンを希望。大穴でジョン・ウーでも可。
　間違ってもＪＪエイブラムスとかマックＧとかはやめてね。