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テーマ:映画館に行こう!!(336)
カテゴリ:映画レビュー(☆☆★★★)
![]() 京極夏彦原作「ルー=ガルー 忌避すべき狼」を、「BLOOD+」の藤咲淳一監督、プロダクションI.G制作でアニメ映画化。 原作は未読。とはいえ、「攻殻機動隊」「ホッタラケの島」と、I.G制作でハズレを引いたためしがなく、また個人的に好きな作品も多い事から、相当に期待して臨んだ本作。 ところが、これがまったくの肩透かし。「戦国BASARA弐」に全力傾けすぎて人手が足りなかったのか?と勘ぐってしまいたくなる、日本、いや世界有数のアニメ制作プロ集団らしからぬ完成度の低さだった。 安全で低コスト量産可能な合成食糧と、携帯端末(モニター)によって完全に管理された近未来。謎の連続少女殺人事件。モニターを持たない未登録住民達。血に飢えた獣ルー=ガルー。DC信者。SCANDALのPV。 物語を構成する重要な要素であるはずのそれらが、微妙に、あるいは全くと言っていいほど噛み合っておらず、且つそのほとんどが収束する事なくストーリーが展開。ために全体的にものすごくバラバラで、ちぐはぐな印象を受ける。 原作の内容を端折りすぎたのか、本当に必要だったのかと首を捻りたくなる点も多く、ボンヤリとしたオチも相俟って、随分とスッキリしない仕上がりに。 キャラクターバランスの悪さもいただけない。 主人公である葉月は、風貌がどことなく「けいおん!」の唯っぽいのは、まあさておき、基本傍観&棒立ちで、特に重要なポジションであったとも思えず。コミュニケーション障害という設定もさっぱり生かされていないため、 ならばいっその事、もう一人の主人公である歩未の視点で進行しても良い気がするが、こちらもまた立ち位置が非常に判りづらく、詳しくは書けないものの、物語のキーパーソンであるにもかかわらず、それが彼女でなければならない根拠が見えず、正直、場違いで居合わせてしまったような観が否めない。 麗猫に至っては、 もちろん、根本の部分ではかなりの違いはあるにせよ、どうにも途中、バンドで言えばギター二人がまったく同じフレーズを演奏しているような、どっちか下がれよとツッコミたくなる場面が多々見受けられたのは、非常に痛いマイナスポイント。 しかしなにより拙いのは、行動力と頭脳でメンバーを牽引、エンジン的ポジションを担うはずの美緒。はっきり言うが、彼女のキャラは他より明らかに浮きまくっており、場の空気を完全にぶち壊してしまっている。ムードメーカーと言えば聞こえはいいが、その実、シリアスなムードにムリヤリなお笑い要素をブチ込み、なんともお粗末でおサムい雰囲気に変えるオウンゴーラーとしてしか機能していない。 とまあ、メインキャラがこんな調子なので、他の要素に関しては推して知るべし。結果、本作の根源にあるテーマとは一体何だったのか、情報過剰管理社会に対するアンチテーゼなのか、生身のコミュニケーションの重要性なのか、友情の大切さなのか、…まさか特定条件下における殺人の正当性などではあるまいが、とにかく、すっかりボヤけ気味に。 絵は相変わらず綺麗だし、SCANDALの劇中曲もなかなかクールなのだが、実に惜しい。本当に惜しい。惜しいを通り越してむしろ残念です。残念を通り越してむしろ悔しいです。 悔しいですっ!! そんなわけで、I.Gだからと期待に胸膨らませて観に行くと、劇場から出てくる頃には膨らんだ胸が どんな作品も観るのは個人の自由ですし、それをどう捉えるかもやはり個人の自由ですから、観たいと仰るならあえて止めはしません。が、例によって後は自己責任でお願いします。 小生の、この映画に対する評価は…、 ☆☆★★★+ 星2つプラス!! ![]() ルー=ガルー ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() 【送料無料】CD+DVD 15% OFF[初回限定盤 ] SCANDAL スキャンダル / TEMPTATION BOX 【CD+DVD 初回生産限定盤】 【CD】
最終更新日
August 31, 2010 08:50:38 PM
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