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テーマ:映画館に行こう!!(371)
カテゴリ:映画レビュー(☆☆★★★)
ドリームワークスを代表する、人気アニメシリーズ「シュレック」の完結編。 世界中で記録的ヒットを飛ばした作品の集大成であり、小生自身同シリーズのファンであることから、非常に楽しみにしていた本作。それだけに、立つ鳥跡を濁した印象しか残らない、残念な仕上がりだった。 ペテン師魔法使い・ランプルスティルスキンに騙され、自分が生まれなかったパラレルワールドへと送り込まれたシュレックが、仲間達と家族の絆を取り戻すため奮闘するという、ファミリー向け映画としてはド定番ストーリーで、それなりにまとまった作りではあったものの、それだけにシリーズの特徴にして長所である「毒」と「ギャップ」が完全に抜け落ち、もはや出涸らしのような内容に成り下がっている。 展開自体もベタな御涙頂戴劇のパッチワークで、薄っぺらい事この上なく、しかも変に親御さんを意識したためか、「それ、子供が観てオモロいかなぁ?」と首を傾げたくなる部分も多く、約十年続いた事を鑑みても、結局誰にフォーカスして作られているのか、さっぱり分からない。 肝心のギャグも今まで散々使い古されたパターンばかりで、かつてのようなキレはなし。まるで何十年も前にピークを過ぎたショーマンが、全盛期と同じパフォーマンスを行おうとしてスべり倒し、しかも自身がそれにまったく気づいていないような、正直痛々しい限りの出来。 これが第1作ならまだしも、結局「困った時のダンス頼み」では、もはや苦笑さえできない。唯一笑える要素といえる太った猫も、CMの時点で出オチという、最悪のミスリード。広報のセンスの悪さがキラリと光る一幕であった。 そもそもシリーズ最終作、しかもパラレルワールドが舞台なのだから、ラスボスをあんなチンチクリンの魔法使いなんぞにせず、今までにシュレックが戦ってきたライバル達を総出演させ、「シュレックがいなかったらこんな世界になっていた」というifを、もっと前面に出してもよかった気がする。 その上で、フィオナの事も含め「アイツらはアイツらで楽しくやってんねんから、俺がおらんでもよかったんかもなぁ」というところまで一旦落とし、そこから何らかのきっかけ(例えば、ポケットに入っていた子供のオモチャで)で奮起するとした方が、よりメッセージ性も強くなり、ドラマとしても盛り上がると思うのだが、いかがだろうか。 余談だが、フィオナはシュレックに救い出されるまで、自分が怪物ではなく人間だと思っていたはず。ならば彼女は、同じレジスタンスになるにしても、人間を束ねる側か、もしくは両方の架け橋的な存在になっているのが、自然ではないだろうか。 その辺にも、強く矛盾を感じてしまった。 (シュレックと結ばれたから、怪物になったという説もあるが) 劇団ひとりの芝居は上手かったので、そこだけは褒めたいが、残念ながら有終の美とはいかず、むしろ蛇足的なポジションになってしまった観さえある。これならいっその事、長靴を履いた猫辺りを主人公に、スピンオフでも製作していただきたかった。 それでも、興行的には大盛況らしく、商品としては成功していると言えるのだから、資本主義は恐ろしい。本作と同じぐらい、いや、その半分の宣伝費用が、他の世間的にマイナーな良作にあればと思うと…。 ある意味、どんな傑作でも引き際が肝心という事を体現した作品と考えれば、反面教師的な価値は見出せるかもしれない。続編が決定している同スタジオの「ヒックとドラゴン」が、同じ過ちを繰り返さない事を切に祈る。 そんなわけで、小生の、この映画に対する評価は…、 ☆☆★★★ 星2つ!! シュレック 【DVD】 シュレック2 スペシャル・エディション 【DVD】 シュレック3 スペシャル・エディション 【DVD】 Bungee Price Blu-ray アニメシュレック3 【BLU-RAY DISC】 Bungee Price Blu-ray アニメヒックとドラゴン ブルーレイ&DVDセット(2枚組) 【BLU-RAY DISC】 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
December 21, 2010 10:15:50 PM
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