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March 31, 2011
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ランウェイ☆ビート.jpg
 原田マハ「maha」名義)原作のケータイ小説を、「NANA」「ジーン・ワルツ」大谷健太郎監督、「仮面ライダーキバ」瀬戸康史主演で映画化。

 
 ケータイ小説が原作という時点で、相当に強い地雷臭が漂ってはいたものの、ヒロイン役に今一押しの若手女優・桜庭ななみ、しかも、彼女も出演した去年のマイベスト映画「書道ガールズ」と同じFUNKY MONKEY BABYSが主題歌を担当と、気になる要素も多数。
 「気になったら、とりあえず観とく」のセオリーに従い、意を決して覚悟9:期待1で劇場へと臨んだ本作であるが、いやはや、まさかこれほどとは…。

 結論から書こう。

 まったくダメ。まるで話にならん。

 今日日そこいらの学生が趣味で作った同人アニメの方がまだマシなんじゃないかってくらい、ただただ観るのが苦痛なだけの映画。
 これで人から金を取ろうなど、全商業作品に対する冒涜に等しい。久々に心の底から「金と時間返せボケナス」と思ってしまった。


 まず第一に、ストーリーが絶望的につまらない。
 ファッションデザイン、謎の転校生、突然決まる廃校、親子の確執、病気の幼なじみ、さんま師匠の娘の微妙なDJ等、若者が好きそうなギミックに、御涙頂戴的な要素を適当にブッ込み、それなりに見栄えよくつなぎ合わせただけの内容で、ところどころに歪さが目立つ。
 加えて一つ一つの掘り下げも薄っぺらく、雑なために、観ていて白けるか、あるいは眠くなるばかりの出来で、その具合たるや、不眠症治療に覿面の効果を発揮しそうなほど。
 だいたいにして、「信じれば、自分を変えられる」というのが本作のテーマだそうだが、上記したほとんどが、そこに対してまったく機能的に働きかけていないのはいかがなものか。
 言い換えれば、本作に登場する要素の半分、否、8割強は蛇足と言っていい。それでいながら、必要なポイントは片っ端から外しまくるというミラクルな構図。作家としてのセンスを、強く疑う。

 次に、キャラクターポジショニングの拙さ。
 クラス全員が一丸となって、という割に、まともに動いていたのはメインを含む6、7人程度。他の連中は、言われるまま流されるまま、アッチになぁなぁコッチになぁなぁで、まるで個人意思なんてものが感じられない。あれなら、案山子かゴム人形でも代用できる。
 また、その6、7人に関しても、やはり大雑把なドラマツルギーと残念すぎる脚本のせいか、まるで魅力を感じられず。
 「プリキュアオールスターズDX3」でさえ、1時間半弱の枠内で21人全員の掘り下げに成功しているのに、なぜ2時間以上も使って、たかだかあれぐらいの人数もまともに動かせないのか。
 特に小生が首を傾げるのは、田中圭演じる、元引きこもりで留年生のいじめられっ子ワンダと、彼を取り巻く環境。
 冒頭、瀬戸くん演じる美糸「ビート」と読む。なんつーDQNネームだ…)に「彼をクラス一かっこよくする」と宣言され、スカート穿かされたり、ボサボサの髪を切られたりした結果、正直、まったくカッコよくならなかったのは、まあヨシとしても、突然クラスの人気者になったと思ったら、今まで軽蔑されていたクラスメイトのモデルの子と、CADを使って急接近とは、いくらなんでも突飛で虫が過ぎる。
 普通、今まで馬鹿にしてたヤツが突然人気者になったら、いじめてた側は面白くないはずだし、ましてクラスのマドンナに近づこうものなら、親衛隊気取りのあいつらは「てめぇ、なに俺のミキティにちょっかい出してんだコラァ!!」となるはず。
 そういう部分をすっ飛ばし、いきなりみんな仲良しこよしでは、リアリティもヘッタクレもあったもんじゃない。
 原作では、普通に同級生だったらしいが、なぜわざわざ留年生に設定したのかも、まったく謎。ナンセンス。ナーーーンセンス!


 本作の一番の見せ場にして、クライマックスであるファッションショーのシーンも、最悪のタイミングで別カットが入る要領の悪さで、すべてぶち壊し。せめてあれぐらい、すべてぶっ通しで撮ればよいものを、演出のヘボさがキラリと鈍く光る。
 これで後々、このシーンだけを3Dにしたバージョンを公開しようなどと、どれだけ恥知らずなのか。
 
 若者らしい抗いの果ての清清しさも、汚い大人に一矢報いて溜飲を下げるカタルシスもなく、そもそも「才能あふれるビート君のデザインした服」の完成物がすごく微妙と、ダメなところを挙げ続ければ、枚挙に暇がない。
 ぶっちゃけ、よくこんな内容で本が出せたな、と思うし、よくこんな脚本で映画を撮ったな、とも思うし、同時によくこんな映画を世に出す気になったな、とも思う。ラッシュの時点で、誰か気がつかなかったのか?
「ヤヴァイ。この映画、超つまんねぇ」と。

 強いて本作の良かった点を挙げるなら、委員長がメガネを外すところだけ。せっかくの桜庭ななみの才能を、完全に殺したまま撮り尽くすとは、ある意味逆に贅沢な使い方だ。

 無礼を承知で書く。監督が悪いのか、脚本が悪いのか、はたまた原作が悪いのかは存じ上げないが、本作の制作者には、映画を撮る技能とセンスをまるで感じない。はっきり言って弩ヘタ。
 ちょっとでも本作を観ようと考えているそこの諸兄姉。悪い事は言いません。止めときなさい。大切な時間とお金を、ドブに捨てるようなモンです。
 これを観るぐらいなら「プリキュア」「ラプンツェル」を観に行きなさい。あっちの方が1000倍面白い。
 もし、どうしても観ないのならば、DVDの旧作半額デーまで待ちましょう。それでも貴方は、きっとこう言うに違いない。

「金と時間返せ、ボケナス」

 
 そんなわけで、小生の、この映画に対する評価は…、

 ☆★★★★

 見せしめも兼ねて、今回は厳しく行きます。問答無用で星1つ!!



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最終更新日  March 31, 2011 09:07:09 PM
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