November 5, 2010

「雷桜」感想

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 将軍家に生まれ、心に病を抱えた男と、幼い頃から山で育ち、人々から「天狗」と恐れられた少女の、決して許される事のない恋を描く時代劇ラブストーリー。


 日本版「ロミオとジュリエット」との触れ込みらしく、多分に女性客を意識したと思われる作りながら、そのため時代劇としては物足りなく、しかしラブストーリーとしては煮え切らない、なんとも惜しい作品だった。

 「トワイライト」シリーズを彷彿とさせるキャメラワークに、やたらキラッキラの眩さを散りばめた映像は、確かに従来の血生臭いチャンバラ劇にない、独特の雰囲気をかもし出しているものの、どことなく世界観との一体感、例えとして適切かどうかはさておき、まるで浅田次郎氏の小説が集英社コバルト文庫から出るような、言いようのない違和感を感じてしまった。

 また、ストーリーそのものは王道的であり、決して悪い出来ではなかったが、編集が拙いせいかダラダラと間延びした印象を受け、ために必要なシーンであったにも関わらず、結果的に蛇足に思えてしまうような箇所が多々見受けられたのは非常に残念。
 若干ネタバレになるが、特に後半、岡田将生くん演じる斉道と、蒼井優演じるが、避けられぬ別れの定めを知りながら、山小屋で想いのたけをぶつけ合うシーン。
 あの場面は単純に二人が唇を重ねた後、そのまま小屋の外のカットでも入れれば、それだけ十分に絵になり、しかも観客のイマジネーションに美しく働きかける事ができたはず。それをわざわざファイナルフュージョンしているところを延々と見せるなど、フィルムのムダ使いというだけでなく、テンポも著しく悪くする要因にもなっている。
 ラストシーンに関しても、やはりわざわざ「あの人死んだよー」みたいな絵を入れなくとも、櫛の使い方一つで分からせる事も不可能ではなかったと思うのだが。

 もちろん、ただ上映時間を短縮すればいいというものではないが、ムダにカットを引き伸ばすより、行間を読ませるような工夫の一つも欲しかった。多分、そういった事を踏まえて編集しなおすと、本作の上映時間は1時間半未満になるような気がする。

  
 さらに細かい苦言を挙げると、時任三郎氏演じるの父親と、ピーターもとい池畑慎之介氏演じる間者の立ち位置も、重要なポジションであったにもかかわらず、かなり微妙。
 バックボーンが極めて分かりにくく、言動も突飛なため、どうしても取ってつけた観が否めず、加えて、最初の方と最後の方に突然生えてくるスケジュール構成一切無視の登場で、相当浮いた存在に。
 そもそも、隠密なのかスッパなのかは知らんが、間者があんなに堂々と人前に出てくるわけがない。まして、そこいらの侍より弱いってどうよ。

 山奥で育った野生児のが、あんなにお肌ツルッツルなのもリアリティなく、いつの間にか殿様の病気もなかった事になっているのも、正直クエスチョン。第一、庄屋の娘が誘拐されたら、役人達が人員総動員して山中捜索するんじゃないのか?
 時代劇ファンから言わせてもらうと、こういった細部に手を抜かれていると、それだけで気持ちが白けてしまう。内容如何はもとより、作り手はこの辺をもっと深く認識した上で、作品作りに臨んでいただきたい。


 岡田くん蒼井優のファンなら、それなりに観に行く価値はあるかもしれないが、時代劇かラブストーリーと思って観に行くには、はっきり言ってオススメできない。
 なお、同じ蒼井優目当てなら、「REDLINE」を強く推奨する。お肌ツルツルの野生児より、チェリ-ボーイハンターの方が遥かにいい仕事。

 あっちにはポロリもあ(以下略)


 そんなわけで、小生の、この映画に対する評価は…、

 ☆☆☆★★---

 極めて星2つに近い、星3つのマイナス3つ!!


 つーか、殿様の寝ずの番の最中に、居眠りしてたら斬られて然るべきだよね、普通。


雷桜

雷桜

映画「雷桜」オリジナル・サウンドトラック


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最終更新日  November 5, 2010 09:08:44 PM
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