時をかける少女
2006年に公開された、アニメ映画の「時をかける少女」を見ました。予備知識も原作者のみで、本シリーズを見るのは初めてでしたが、筒井さんといえば皮肉と不条理のイメージが強かったので(それが好きでもあったのですが)、軽いタッチの青春モノだったのは意外な感じがしました。しかし、テイストが変われど十八番のSF、やはり設定と世界観ですね。内容はありがちなタイムスリップものかもしれませんが、テンポの良さと、二転三転していく展開の面白さがあり、クイッと見終えることが出来ました。設定云々に頭を使うことなく、軽く見られる解りやすさも重要ですね。序盤ははちゃめちゃぶりを楽しみ、後半は心理的葛藤と設定の謎に引き込まれていく、裏切られることのない王道路線に安心して身を置けます。絵はリアリティのある風景描写と淡白な印象の人物描写が、新鮮な感じがしました。時間軸移動中の背景辺りはシンプルで物足りない気もしましたが、SFならではのマニアックさを控えめに、軽いタッチで魅せる良さもあるのかもしれません。音楽は主題歌と挿入歌しか印象に残りませんでしたが、BGMが流れていたのならば、しっかり作品に溶け込んでいたのでしょう。挿入歌は曲の流れるタイミング、その場面と曲の良さもあり、クライマックスに達していた、達しさせていたように思います。「純」な感じがマッチしていて良かったです。面白いには面白かったのですが、原作や以前の劇場版を見るには、ちょっと勇気が入りそうですね。アニメならではのスピード感と軽いタッチで、現代バージョンで駆け抜けていったからこそ、好きになれたのかもしれません。