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Rainbow Sigh

Rainbow Sigh

光。f


白く長い廊下の真中に私は立ちすくんでいる
何も聞こえなくて 突き当たりを曲がってもただ白い空間が広がっていることを知っている
妙に天井は高くて 歩けばその足音もよく響く
私はどうしてここにいるんだっけ?私はここで何をしようとしているんだっけ?
これからどこに行くんだっけ?どこから来たんだっけ?今、何時だったっけ?
なんか急にいろんなことをぽっかり忘れて、立ちすくんでいた。
どうしたらいいかわからなくて動けずにいた。

しんとした廊下、ひんやりとした空気。
ふっと、風が吹いた気がして振り返るけど、そこにも前と同じ景色。
そう。どこにいても同じ。いつもそうだった。まるで白昼夢のように現実なのに現実から
取り残される。錯覚?違う見えるものは何気無く日々を送っている場所。人。物。色。
そう、どこでも同じ。現実は現実味を帯びなくていつまでもあやふや。
頭の中の妄想ばかり膨らんで世界を形作ってゆく。
そこには求めるすべてがあって。現実には何もない。

脈に指を当てる。たしかに私の肉体は生きていて動いていて温かい。
でもどこからも切り離されている。単体なのに。ひとつなのに。なぜか、動く。

石ほどは堅くなくガラスほどもろくなく 木よりも規則的で布よりは輝く
レンガよりも安価で軽く 見上げた天井よりも遠い

急に暗転してそこはいつか住んでいた部屋
それともよく似た あいつの部屋
うすっぺらい布団 それともシングルベッド それともそれとも
スプリングが音を立てて 何かが動いた
眠れなくて
何度も起き上がって水を飲むけど
意識がなくなるのはいつも 目覚ましが鳴る一時間前








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