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Mar 3, 2007
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カテゴリ:小説 上杉景勝
  今度の慶長の役は前役と違い、征明ではなく朝鮮の南四郡を実力で獲得

することにあった。それを受け五月八日に明国の副総兵、楊元(ヨウゲン)が、

三千名の兵を率い漢城に入城した。

  この戦闘ま前回の文禄の役どうよう、初戦は日本軍が優勢に戦闘を進めた。

  七月には、日本の連合水軍が朝鮮水軍を破っている。

  こうして慶長三年を迎えた。この年は上杉家にとり運命的な年となるが、

日本にとっても震撼(しんかん)する重大な事態が持ち上がるのであった。

  上杉家は出兵もなく豪雪の中で新年を迎えていた。景勝は四十四歳となり

人品に武将としての貫禄が滲み出てきた、一方の兼続も三十九歳を迎え、いよ

いよ智謀が深まり、風貌に相応しい挙措を見せていた。だが、時に応じ人々の

意表をつく振る舞いに及ぶことが多くなった。

  伏見城の石田三成から、一月九日に登城するよう書状が届き、城をあげて

上洛の準備がすすめられていた。

  そんな最中に景勝と兼続は、新年を祝う盃ごとをしていた。

「お屋形、またも無謀な朝鮮侵略をはじめましたな」

  兼続は最近、お屋形さまと言わずに、ただお屋形と呼ぶようになっていた。

「上洛のおりに拝する、殿下のご尊顔が年々と悪うなっておられる」

「最後の足掻きにござるか?」  「わしにはそう見えるな」

  景勝が盃を干した、最近は自慢の大杯を止め少し大きめな盃を使っている。

「殿下に、もしもの事あれば重大事じゃ」  景勝が愁い顔をしている。

「四日の早朝には城を出立せねばなりませんな」

「九日には伏見城に着かねばならぬ」  「年賀から何の御用にござろう」

「そちに分らぬことが、わしに分るか」  景勝がぼそっと言葉を発した。

「朝鮮渡海のお話ではない筈にござる」  兼続も首をかたむけている。

「難しい話はなしじゃ。まずは一献参れ」

  景勝が手慣れたようすで兼続の盃を満たした。兼続は拝礼し何事か思案して

いる。軍用金の運上額も文禄の役当時と比較して格段にあがっている、殿下は

何を申される、兼続の胸中に不思議な胸騒ぎがしていた。

「道中が厄介じゃな」  景勝が外の景色を眺め呟いた。

「騎馬なら大丈夫にござる、三国峠を越えさえすれば雪の心配はござるまい」

「手土産にぬかりはあるまいな」  「白金を千枚用意いたしました」

  暫く相手をし、直江山城守は居室から引きあげ長廊下を伝っていた。

「山城守さま」  廊下に三人の男が平伏して待ちうけていた。

「そち達は三宝寺勝茂の家臣か?」   

「先日は懇ろな香華を賜り有難う存じました」 彼等は旗本の山宝寺勝茂の家臣

達であった。年末に勝茂が家臣の行為を怒り、手討ちにした事件が起こった。

  それは些細な一件であったが、手討ちにさりれた家臣達の兄弟等が兼続に

訴えでた。兼続は勝茂の手落ちもあると判断し、金子を与え懇ろに弔うように

諭したのだが、兄弟はごねる事でもっと金子が貰えると浅ましい考えをおこして

兼続を待ち受けていたのだ。  「それで何事じゃ」

「はい、山宝寺の殿さまに死人を生き返らせるよう申しつけて下され」

  直江山城守が白皙の顔を三名に注いだ、いずれも強欲な顔をしている。

「聞けば勝茂の大切な物を壊したそうじゃな」

「はい、されど手討ちとは非道にございます」

「その方等は、死者を生き還らせよと申すのか?」  無表情に三人を見つめた。

  この者達は無理を承知で欲の皮をつのらせておる。 「お願いにございます」

「それほど申すなら聞き届けてやろう」   兼続の胸に怒りがたぎっていたが、

微笑を浮かべ、傍らの者に筆と紙の用意を命じ、さらさらと一文をしたため兄弟

に与えた。一読した兄弟達の顔色が蒼白となった。

『未だ御意を得ず候えども、一筆啓上つかまつり候、山宝寺勝茂が家臣、不慮

の儀にて相果て申し候、兄弟ども嘆き悲しみ候て、呼び戻してくれ候様申し候に

つき、三名の者を迎えに遣わし候、かの死人お返し下さるべく候、恐惶謹言。

閻魔大王殿           直江山城守 』

「これを持って迎えに参れ」 兼続が促した。三人は仰天して逃げ出したが、

「あの世に送ってやれ」 と、傍らの近従に命じ屋敷にもどっていった。

  人々は、この兼続の奇矯(ききょう)な振る舞いに眼を剥いた。武士とは欲得を

離れ爽やかに振る舞う者、これが兼続の考えであった。それにしても閻魔大王に

一筆啓上する機知はさすがと、改めて兼続の度量が人々の話題となった。

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Last updated  Mar 3, 2007 11:15:31 AM
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