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Mar 6, 2007
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カテゴリ:小説 上杉景勝
  一時、沈黙が漂った、重苦しい沈黙を秀吉みずからが破った。

「景勝、わしは老いた。・・・もし、わしに万一のことがあれば徳川内府や、不逞の

輩(やから)の動きが恐い。秀頼が成人いたすまで彼等の押さえを務めてもらいた

いのじゃ、これがわしの願いじゃ」

  景勝が、はっと秀吉を仰ぎみた。目前に老いた老人が涙を浮かべていた。

「上杉家は戦国大名とし、豊臣政権に初めて投じてくれた。それに精強で鳴らし

た家柄じゃ。わしの頼みを聞き届けてくれえ」

  景勝は故謙信の生き様を標榜してきた漢(おとこ)であった、故に、義侠心の

塊のような性格をしていた。天下人にこのように言われては否やは云えぬ。

「殿下、謹んでお受けいたしまする」  背後で直江山城守も平伏していた。

「おう、わが頼み聞き届けてくれたか、山城守、そちにも褒美として米沢六万石を

とらす」  「ははっー」  景勝主従が平伏した。

「殿下、ひとつお聞きいたします。不逞の輩とは徳川内府に伊達、最上とみても

宜しゆうござるか」  景勝が剽悍な眼差しで秀吉をみつめた。

「景勝、会津の位置を考えよ」  太閤秀吉の細い眼が強まった。

「畏まりました」  もはや、何も聞くことはない。

「景勝さま、先年、小早川隆景殿の急死により五大老の座に空席がございます。

この転封を機会とし、五大老の就任をお願いつかまつる」

「三成、よう申した。これで豊臣家は磐石じゃ」

  秀吉が老醜の顔を歪め、歯のぬけ落ちた歯ぐきを見せて肯いた。 

(甘い、五大老とはいっても所領の大きさが徳川の狸爺とは、桁違いに隔たりが

ある。いずれは徳川家の独断場に化してしまう、あの明敏であった殿下はかくも

年老いられたか)  景勝は往年の越水城の溌剌とした秀吉を思いだしていた。

  こうして景勝主従は思いもせぬ、命令を受け屋敷にもどった。

「山城、酒を酌み今後のことを計ろう」  「宜しゅうござる」

  二人は時を忘れ語りあった。胸中には営々として築きあげた越後の風景が

去来する。それが無念極まりないが、事ここに至っては前に進むしか道はない。

「お屋形、太閤殿下の命運は極まり申したな」

「あのご様子は、ただ事とには見えぬな」

  景勝が無意識に沢庵を口にし、小気味のよい音をたてた。

  この当時、五十万石以上の大名は全国で九人しかいない。

  徳川家康   二百五十万七千石   毛利輝元   百二十万五千石

  上杉景勝   百二十万石      前田利家   八十三万五千石

  伊達政宗   五十八万石      宇喜多秀家  五十七万四千石

  島津忠恒   五十五万五千石    佐竹義宜   五十四万五千石

  小早川秀秋  五十二万二千石

  ついで、加藤清正は二十五万石、最上義光は二十四万石、福島正則は

二十万石であった。いかに秀吉が景勝を買っていたか分る禄高である。

「殿下は徳川殿を恐れながらも、秀頼さまの後見を頼むことになりましょう」

「徳川の狸爺の思惑をどうみる」  浅黒い肌をみせ景勝が兼続に問うた。

  兼続が虚空を凝視し、景勝は無言で酒をあおっている。

「恐れ多いことながら、殿下にもしもの事があれば、朝鮮の役は終りましょう。

そうなった暁には、太閤殿下の子飼いの武将と石田三成殿の確執が強まりまし

ような」  兼続が断言した。

「狸爺は、殿下子飼いの武将と手を握るか」  「御意に」

「子飼いの武将とは、加藤清正、福島正則、黒田長政、浅野幸長、池田輝政、

細川忠興、加藤嘉明等じゃな」

「左様、朝鮮での功名争いで石田殿を恨んでいる者にござる」

「子飼い同士のいがみ合いとは、厄介なことじゃ」  景勝が太い吐息をはいた。

「山城、狸爺は己の年齢からみて野望を急ぐ筈じゃ。秀頼さまの代官として豊臣

家に忠誠を誓うような、悠長な策はとるまい」

「大大名としての実力と、百戦練磨の合戦の実績とで味方を増やすことになりま

しょうな。その際に五奉行筆頭の石田三成殿が、どうでるかが鍵となりましょう」

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Last updated  Mar 6, 2007 10:26:00 AM
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