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Mar 28, 2007
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カテゴリ:小説 上杉景勝
「白河の南に芦野という宿場がござる、我等はここに軽兵でもって家康の軍勢に

当たります。戦いつつ偽りの敗走をいたし盆地に誘い込みます。お屋形は一万

五千名で長沼に布陣いたす」   山城守が絵図の一点をさした。

「拙者は三万の精兵をもって白坂に陣を敷き、充分に敵を盆地に引き入れて三

方から叩きます。これなら勝ちを制すると考えております」

「うむ」  島左近が再び絵図を睨んだ。

「妙案ですな、拙者でも左様にいたしますな」  妙に明るい声であった。

「左近殿の賛意が得られれば万全じゃ」

  ここに天下の軍師二人の意見が一致した。

「あとは家康の思惑しだい、いずれにせよ我等は東西から家康を挟撃いたし、

殲滅するのみ」  直江山城守が興奮も示さずに断じた。

「山城守殿、僭越(せんえつ)ながら忠告を申しあげる」  「何事かな」

「旧領の越後を調略なされ」  左近の言葉に山城守が柔和な笑みをみせた。

「これは、いらざる事を申し上げましたな」

「いやいや、合戦とは念を入れねばなりません。既に越後の諸豪族には決起を

促してござる」  山城守が懐中から書状を取りだし左近に示した。

「拝見いたす」  書状には数十名の越後の豪族の名が書きつらねてあった。

  彼等は上杉家が越後から会津に転封する際、やむを得ないことで越後に

残留した者たちであった。

  宇佐美定賢、万貫寺源蔵、柿崎景則、丸田清益、朝日采女、長尾景延、

七寸五分(くずはた)監物、竹俣壱岐(いき)などそうそうたる名が書かれていた。

  左近は改めて山城守の、深慮遠謀の才を知らされたのであった。

「左近殿、治部少輔さまに、お伝え願いたき儀がござる」  「・・・・」

「家康は野戦の名人、悪戯に決戦を急がれないよう、この山城が申しておったと

お伝い願いたい」

「心得申した」  答えつつ左近は面白くない、わしも天下に聞こえた軍師。

その自負があった。すかさず山城守が左近の胸中を察した。

「お怒りあるな、この合戦は長引くほど西軍に有利となります。家康の幕下に

ある大名共は、いずれも故太閤殿下恩顧の者共。大阪城におわす秀頼公のこと

をお忘れあるな」  直江山城守が白皙の顔をみせて述べた。

「拙者ともあろう者が手抜かりにござった」

  島左近が、カラリと言った、豊臣家の内情は左近よりも山城守が精通してい

た。左近の情報元は、主人の三成のみであった。事実、福島正則なぞは三成を

嫌う理由のみで家康に肩入れしているが、彼や加藤清正なぞは強烈なほど

殿下や秀頼を慕っている。この事を山城守は指摘したのだ。

(長引けは、お味方衆が増える)左近は戦略的に山城守の言葉を捉えていた。

「さて、いずれ中央の地でお会いいたすでしよう。我が上杉家はすでに臨戦

態勢となっております」 「・・・」   左近が首を傾けた。

「さる三月十三日は先代謙信公の二十三回忌にあたり、追善法要を盛大に

つかまつりました。この法要に領内諸城の将を若松に集め、義戦を起こすべき

ことを打ち明け、戦略を説明してござる。何時でも合戦の支度は出来ておると

治部少輔さまに、お伝いいたして下され」

  あとは酒宴となり、二人は心行くまで酒を楽しみ談論風発した。

「山城守殿、今宵は久しく戦略を論じました。この左近の生涯にとり二度とない

楽しい一時にござった。最後にお聞きいたす」

「改まって何事ですか」  山城守が白皙の顔を褐色の左近の顔にむけた。

「合戦とは理でもっても勝てぬ場合がござる、それは運気と云うものと思っており

ます。もし万一、こたびの合戦で敗北いたしたらいかが為される」

「他家は知らず、我が上杉家は主人景勝以下、家臣一同揃って討ち死につかま

つる。それが上杉家の家法にござる」  山城守が毅然とした態度で言い放っ

た。 「これが、山城守殿の義にござるか?」

  島左近は、眼の覚める思いで直江山城守の顔をみつめた。

「左様、武士たる者は爽やかに身を処すべきと勘考いたす」

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Last updated  Mar 28, 2007 11:04:55 AM
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