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Apr 5, 2007
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カテゴリ:小説 上杉景勝
         (最上攻め)

  上杉勢は家康の小山からの反転を見定め、米沢城を拠点として最上領進攻

の戦闘準備に追われていた。

  一方では旧領回復を目論む、伊達勢との小競り合いが続いていた。

  伊達勢には当主の景勝が、みずから兵を指揮しこれに当たっていた。

  伊達政宗は最上義光と連携し、上杉包囲網の構築を家康から命じられてい

たのだ。曲者の政宗の本心は、領土欲で彼は虎視眈々として旧領回復を策し、

大軍を上杉国境に集結させていた。

  この時期に景勝は、西軍の毛利輝元と宇喜多秀家に書状を送っている。

  家康が小山に滞陣している時期で、内容は直ちに関東表に出陣する考えで

あるが、最上や伊達勢がうるさく思うに任せず、まず、これの対処をなして関東

に出馬するむねを告げている。さらに景勝は家康が西上するならば、常陸の佐

竹義宜と計って関東へ乱入すると告げ、九月中に出陣を果たすと書き送ってい

た。この時期景勝の本心は、後顧の憂いをなくすために最上領を手中にせんと

する意図があったと見受けられる。

  八月中旬に景勝は、伊達勢と対峙している信夫(しのぶ)口の戦線から、

若松城に久しぶりに帰還した。理由は伊達勢の攻撃が下火となった結果であ

る。これは家康が小山から軍団を反転させたことが原因であった、この家康の

行動が、奥羽各地の大名たちに微妙な影響をもたらしたのだ。

  内府は軍令でもって上杉征伐として参集を促しながら、突然に兵を引くとは

解せぬ、これが奥羽諸侯の本音であった。

  米沢から直江山城守も若松城にもどってきた。二人には、今後の戦略の練り

直しがあった。  「お屋形、ご苦労をおかけしました」

「なんの、家康追撃を中断いたし血潮が滾っており、ちょうど良い合戦であった。

ところで最上攻めの用意はどうじゃ」  日焼けでさらに浅黒さを増した景勝が、

兼続に視線をむけた。  「九月そうそうに最上に進攻いたします」

  相変わらず二人は無口である、必要な事柄しか口にしない。腰元が二人の

前に膳部をならべて引き下がった。

「ほお、なかなかなご馳走にござるな」  兼続が感心している。

「戦場帰りじゃ、体力をつけねばの」  早速、景勝が大杯を数杯あおった。

  兼続は一口啜り膳の鮎に箸をつけた。  「越後の情況はどうじゃ」

  景勝が鮎を頭から咀嚼しつつ訊ねた。

「堀家もなかなかしぶとく難儀いたしております」  「一揆は成功と聞き及ぶ」

「左様、されど援軍の軍勢がことごとく敗れております」

「仕方があるまい、津川口の前田勢や堀勢の進攻が止まっておる。良しとせねば

の」  景勝の指摘どおり、越後では上杉遺臣等を中心とした一揆が各地で勃発

していたが、それを支援する上杉勢が撃退されていた。越後坂戸城を攻撃した、

松本伊豆守は堀直寄に撃退され、一揆勢が陥した下倉城も取り返されていた。

「山城、越後は越後勢に任せよう、兵の小出しは兵法に反する」

「左様に、そのように取り計らいます」

「久しぶりじゃ、今宵は大いに飲み戦塵の疲れを癒そう」

  景勝が顔色も変えずに、豪快に飲んでいる。

「お屋形、なぜ家康の軍団が反転いたした時に、追撃を諦めました」

  兼続には未だにそれが疑問として残っていた。

「追撃すれば乾坤一擲の勝負となろう。あの狸爺のことじゃ、万全な態勢で

反転いたしたであろう。あの時に追撃いたせば、あるいは勝ちを治めたかも知

れぬ。が、我等も全滅の憂き目におうたかも知れぬ、わしは賭けを止め西上に

上杉の運命をゆだねた」  語り終わり、景勝が剽悍な眼差しをしている。

「左様な心配りを為されましたか?」  初めて兼続は景勝の胸中を知った。

同時に武将としての成長をみる思いであった。

「東西の合戦は未だ始まってはおらぬ、合戦は長引こう。この隙に最上を攻略

する」  「未だ狸は江戸から腰をあげませぬな」

「奴は味方した豊臣恩顧の大名どもに疑念があるのじゃ」

「疑念と仰せあるか」  兼続は己の疑問と一致した景勝の答えに内心、舌を巻

いた。  「奴に味方となった大名どもは、福島正則の居城、清洲城に集結し、

狸爺を待って居ると聞く」 「成るほど、清洲城の大名どもが西軍とひと戦せね

ば、信用できぬと考えておりますか」  薄っすらと兼続が笑みを浮かべた。

「そうじゃ、のこのこ江戸から直営軍を率いて奴等に裏切られたら、奴は最後

じゃ」  景勝が、にこりともせずに大杯をあおった。

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Last updated  Apr 5, 2007 08:45:55 AM
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