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May 5, 2008
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カテゴリ:伊庭求馬孤影剣
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「婆殿、酒はないかの」  「濁酒(どぶろく)ならありますだよ」

「二杯、頼む」  早速、求馬が酒を頼んでいる。

「驚いたね、濁酒ですかえ」  猪の吉が眼を剥いた。粥のような濁酒が丼の

なかに溢れている。恐るおそる啜ったが、これがいけるのだ。

 野趣に富む味であるが、芳醇な香りが口一杯にひろがる。

 求馬と猪の吉が二杯の丼酒を飲干し、お蘭が二杯の蕎麦をたいらげた。

「婆さん、金沢宿はどのくらいで着けるかね」  猪の吉が雨音を聞き訊ねた。

「女子の足でも七つ(午後四時)には着けるだよ」

「そうかえ、済まねえが厠を貸してくんな」  「この奥にあるだ」

 猪の吉が小用のために小汚い奥に向かった。床板がぎしぎしと軋み

今にも床が抜け落ちそうな小汚い厠である。

「臭いねえ」  ぼやきながら用をたし、身を震わせた猪の吉の眼が光った。

 街道を十文字笠をかむった浪人が、十名ほど本降りのなかを足早に歩み

去って行く。先頭には深編笠の身形の立派な武士が見えた。

「旦那、変な一行が通り過ぎやしたぜ」

 戻るなり猪の吉が、厠からみた可笑しな浪人の一行の様子を告げた。

「そうか、わしも不審な気配を感じておった」  「さいですか」

 猪の吉が剽悍な目つきをした。

「我等を追っておるのかも知れぬな、気をぬくまいぞ」  「へい」

 三人は蕎麦屋を出て再び、本降りのなかに足を踏み出した。

         (十四章)

 雨に躯を濡らし三人はようやく金沢宿の本陣宿に辿り着いた。

「伊庭さまにございますか?」  帳場から番頭が顔をだし腰を低め訊ねた。

 求馬が無言で肯いた。  「早速、お部屋にご案内申します」

「雨でびしょ濡れじゃ」  三人が合羽を脱ぎ女衆に渡した。

「お与りいたします」  笠と手甲、脚絆の類まで持ち去ってくれた。

「番頭、この手配りは高島藩国家老の磯辺頼寛殿の指図かな」

「左様にございます」  番頭が三人を立派な座敷に案内した。

「こいつは凄いねえ」  猪の吉がご機嫌の様子である。

「このお部屋は、三藩の殿さまがお宿泊なされる座敷にございます。

部屋の奥には、檜のお風呂もございます。追っ付け食事の用意も整えます、

暫くお休み下さいまし」  番頭が慇懃な態度で説明した。

「番頭、冷や酒を三杯頼みたい」  「ご三人さまにございますな」

「ついでに調べて欲しいことがある」  「何でございましょう」

「十名ほどの浪人が宿泊しておらぬか?」  「それはございませぬ」

「そのような浪人者が宿泊した旅籠を探ってはくれぬか、その一行の責任者

の名前もな」  「判りました、早速、捜して参ります」

 番頭が不思議そうな顔つきで下がって行った。

 三人は湿った着物を脱ぎ宿衣に着替え、冷や酒で咽喉を潤した。

 冷え切った躯が暖かくなった。

「足が疲れ、ふくらはぎが痛いわ」  お蘭が疲れた顔をしている。

「お蘭、ひと風呂浴びて参れ、きっと疲労もとれよう」

「はいな、お言葉に甘え先にお風呂を使わしていただきます」

 お蘭が去って求馬と猪の吉は座布団に腰を据え、立派な杯で独酌している。

「流石は殿さまの宿泊なされる、部屋だけはありますな」

 猪の吉が飲みながら、部屋中を眺め廻し驚いている。

「失礼いたします」  襖越しから先刻の番頭の声がした。

「入れ」  「はい」  番頭が緊張した顔をみせた。

「判ったかの」  「はい、この宿場の奥に魚安と言う旅籠がございます。そこ

に浪人風の武家が十名と、水野家の用人と申すお方がお泊りにござすます」

「なんと、水野家と申したか?」  「はい」  「名前は判るか?」

「加地三右衛門さまと申されます」  「加地・・」  猪の吉が求馬を見つめた。

「ご苦労であった」  求馬が財布から一朱金を番頭の手に握らせた。

「このような事は無用にございます」  慌てて番頭が手を引いた。

「我等の事は内密じゃ。明朝、彼等が出立したら知らせて貰いたい」

「判りましてございます」  番頭が部屋から去った。

「水野忠邦、いささか逸りおる」  求馬が乾いた声で呟いた。

「旦那、浪人を引き連れておるとは面妖でございやすな」

「猪の吉、狙いは我等じゃ」  「今更、襲っても意味がありやせんよ」

「六紋銭の壊滅で高島藩は安泰じゃ、奴等は絵図が狙いじゃ」

「成程、いっそ一網打尽に斬り捨てますか」  「そうせねば為るまいな」

 求馬の相貌がかすかに崩れた。相手が牙を剥くなら存分に相手をしてやる、

その思いが脳裡を過ぎった。

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Last updated  May 6, 2008 09:12:37 AM
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