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Apr 7, 2010
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カテゴリ:武辺者
 

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        「死に遅れた男」

「加持殿、殿はご貴殿を頼りとなされておられます。励んで下されよ」

 真柄新三郎が傍らから口添えした。

「殿、それがし身を粉にして働き申します。ご安堵下され」

「心強い言葉を聞いて余も嬉しい、家来供も顔を見せよ」

「殿の仰せじゃ。それぞれ名乗ってご挨拶を申しあげよ」

 鍬形四郎兵と磯辺隼人、生駒軍兵衛が感激で顔を染め名乗った。

 且元はそれぞれの名乗りを聞いて、相応の言葉をかけている。

「そちは大谷刑部の家臣じゃったか。そちは宇喜多秀家殿の家臣か、

皆々、豊臣家のために苦労をかけさせたの」

 こうして庄兵衛は浪々の身から、三千石の武将に取り立てられた。

 併し冷静となると片桐且元という大名の度量に、一抹の不安が湧いてくる。

 部下を遇する心遣いはひとかどの配慮を示すが、この大阪城の家老として

徳川の大軍相手に軍配を執るには、なにか物足りなさを感じた。

「加持、この先、大阪方としては大量の浪人を召し抱えることになろう、その

節は大いに腕を奮ってくれよ」

 こうして対面の儀式は目出度く終った。

 真柄新三郎が四人を長屋に案内してくれた、勿体無いほどの立派な長屋で

あった。庄兵衛が門前に佇み訊ねた。

「真柄殿、このさき多くの家来を求めねばなりません。それがしの一存で集め

ても構いせぬか?」

「この城には多くの浪人が居ります。加持殿のご随意になされませ」

 真柄が好意ある笑顔で応じた。

「有り難し。早速、明日からでも取りかかります」

 長屋には庄兵衛付きの腰元、小者が待っていた。これも且元の好意であった

が、余りにも些事に心を配られる。嬉しさの中に心配の種が心の奥底に澱とな

って残った。その夜は主従四人、車座となって祝杯をあげた。

 格子の窓からは巨大な天守閣が黒い翳となって威容な姿を見せている。

「お頭、我等は天下一の名城、大阪城に居るのですな」

 鍬形四郎兵が感無量な顔をしている。若い生駒軍兵衛の剽悍な眼差しが

生き生きと輝いている。彼等の脳裡に浪々の過去がよぎっているようだ。

「軍兵衛、そちの得意な得物はなんじゃ」

「鍬形様より手ほどきを頂き、刀槍には自信がございます」

「そうか、いずれ腕を見よう。磯辺隼人はどうじゃ?」

「磯辺は兵の駆け引きでしょうな」 かわって鍬形四郎兵が答えた。

「それは頼もしい、兵の駆け引きが得意か」

 大杯を飲干した庄兵衛が満足の笑みを浮かべた。

 鍬形四郎兵の技量は自分が一番よく知っている。我が勢を片桐家一の

軍勢に仕立てあげる、鬱勃たる闘志が庄兵衛の胸に広がっていた。

「お頭、家来の件はいかがなされます?」

「今宵は考えぬが、ゆるゆると取り掛かるつもりじゃ」

「お頭、いささか気がかりな事がございます」

 磯辺隼人が声を低めよういならざることを語りかけた。

                        続く






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Last updated  Apr 7, 2010 12:06:33 PM
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 Re:武辺者(16)(04/07)   なふら さん
こんにちは♪
いつも楽しませていただいています!!

あまりにも良すぎる配慮に
庄兵衛の不安がよぎるのも無理ないと思います

しかし それだけしてもスカウトしたい人材であるのも確と思うのです

続きを楽しみにしています!!

昨年 大阪城に行きました
復元されたとはいえ残っている石垣などの大きさや
天守閣を見ました。
最初エレベーターで一番上まで行きました。
が・・
行ってよかったです! (Apr 7, 2010 12:29:55 PM)

 こんにちは   素浪人199 さん
「お頭、いささか気がかりな事がございます」
          ↑
最後が気になり
明日が待ち遠しいです!

どのようになるのでしょうか! (Apr 7, 2010 02:47:44 PM)

 Re:武辺者(16)(04/07)   abilitgrunavi さん
竹中半兵衛、黒田官兵衛、直江兼継。 (Apr 7, 2010 10:57:43 PM)

 Re:武辺者(16)(04/07)   ゆきさん1122 さん
おはよう。
コメントありがとう。 (Apr 8, 2010 06:43:57 AM)

 Re:武辺者(16)(04/07)   masterhiro さん
 面白くなって来ました。

 片桐且元は豊臣家と家康の板バサミで悩みそれでも豊臣家を存続させようと最後まで努力します。武士の意地、死に花を咲かせたい庄兵衛とどう折り合いをつけるのか?楽しみです。 (Apr 8, 2010 11:03:27 AM)


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