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Apr 16, 2010
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カテゴリ:武辺者
 

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        「死に遅れた男」

 この頃の戦場とは不思議な場所であった。兵士等を求め全国各地から

遊女が集まり、即席の遊郭が出来た。

 この大阪城の城外もごたぶんに洩れず粗末な作りの遊郭が軒を並べていた。

 敵も味方も同じ屋根の下で女を抱いていた。

 それ故に治安も悪く、命懸けの遊びであった。

 庄兵衛は普段着に小刀を佩び城門をくぐり抜けた。

「これは加持さま、外出にございますか?城外は物騒にございます」

「血が滾るゆえ、女買いじゃ」

 庄兵衛の言葉に門衛の士が眼を剥いた。

「驚いたお方じゃ。流石は槍の加持様やる事が違う」

          (六章)

 五月六日、大阪夏の陣最大の戦闘が始まろうとしていた。

 黒々と闇におおわれた大阪城の各門から、続々と兵馬が忍び出ている。

「出陣の刻限となりました。それがしは一足早く出立いたします」

 庄兵衛が自慢の鉄丸兜と当世具足を身に纏い、黒鹿毛の駿馬に跨り、

真田の本営を後にした。すでに加持勢二百名は用意をととのい庄兵衛を

待ち受けていた。

「いざ出陣じゃ、皆供、犬死はならぬ。励め」

 庄兵衛が声をかけ、馬腹を蹴った。先頭は磯辺隼人が六紋銭の旗印を

背に騎馬を進めている。

 庄兵衛の傍らには、鍬形四郎兵と生駒軍兵衛が轡を並べている。

 両名が厳しい顔を見せている。

「我が勢の様子はどうじゃ」

「後藤又兵衛様は一刻ほど前に出陣なされました。黒糸威の大鎧は

見事にございました」 髭面の鍬形四郎兵が低い声で告げた。

「薄田兼相様、毛利勝永様も勇んでおられました」

 若い生駒軍兵衛が我がことのように興奮している。

「我等、真田勢は後詰じゃ。大和口の道明寺で全軍が集結する手筈じゃ、

抜かるなよ」

 後方の闇から馬蹄の音が響いてくる。真田勢本隊三千が粛々と大阪城を

後にした。大和口に向かう総勢は一万五千名の大軍である。

「河内口の様子はどうじゃ?」

「木村重成様、長宗我部盛親様の二隊三万、既に出陣を終えております」

「そうか」 庄兵衛が短く答え周囲を見回した。辺りは濃い霧におおわれている。

「霧が深い、行軍に支障があると不味いの。朝には晴れると良いがの」

 忍びやかに蹄の響きが近づいて来た。

「加持殿、なにか臭いませんかな」 真田幸村であった。

「これは真田様、何か不審な点でもございますか?」

「この霧、いささか気にかかります。この天候は味方に不利じゃ。少し急がねば

霧のために軍勢の集結が遅れますな」

 白鹿毛の駿馬に六紋銭の定紋をうった鞍に跨り、夜空を仰いでいる。

 朱柄の十文字槍が庄兵衛の眼に映った。

「磯辺っ、先行し我が前衛の様子を探って参れ」

「畏まりました」 磯辺隼人が騎馬武者三騎を従い闇に溶け込んだ。

「加持殿、先鋒は頼みますぞ」

「心得申した」

 ようやく東の空に明るさが増してきたが、相変わらず濃霧が漂っている。

「厄介な霧じゃ」 思わず独り言が出た。


                    続く






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Last updated  Apr 16, 2010 11:18:04 AM
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