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Apr 19, 2010
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カテゴリ:武辺者
 

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        「死に遅れた男」

 真田勢三千が砂塵をあげて伊達勢の先鋒に襲いかかった。

 先頭には幸村が十文字槍を構え、敵勢に割って入った。敵は簡単に崩れた。

「伊達政宗の本陣を衝く」 幸村の下知が戦場に流れた。

 勇みたった真田勢の突撃戦がはじまり、その鋭鋒に押され支えきれずに

伊達勢が逃げ惑い、後方の誉田まで退却を余儀なくされた。

 関東勢の敗北である、それだけ真田の兵は強かったのだ。

 幸村が軍勢を止めた、既に夕闇が迫っている。

 真田勢は粛々と茶臼山に登り本陣とした。幟や旗印が風になびき粛然と

兵が戦闘態勢のまま折り伏している。その様子が関東勢にとって不気味に

見えた。庄兵衛も兵を部署している、あの激戦にも拘わらず、二十数名の

戦傷者を出したが残りは無傷であった。

「鍬形、夜襲に備え警戒を怠らずゆるりと休め」

 三人の股肱にあとを任せ、庄兵衛は愛馬を駆って真田の本陣を訪れた。

 前方には敵勢の篝火が無数に点滅し、今まで見たこともない凄まじい大軍

が駐屯している筈であった。

「加持殿、見事な采配でござった」 幸村が床几を勧め誉めてくれた。

 真田幸村のこの言葉は、庄兵衛にとり何よりも嬉しいことであった。

「加持殿、明日が最後の合戦となりましょう。そこもとは手勢を率いて

藤堂家に恭順なされよ」 幸村が思いもしない言葉を口にしたのだ。

「奇妙なことを申されますな、この庄兵衛は納得が参りませぬ」

「拙者は悔しい。大阪城の武将が一人も残らず討死とは、せめて一人でも生き

残って欲しいものです」

 幸村が庄兵衛の顔を見据えた。

「加持殿、ご貴殿は未だ藤堂家の家臣にござるぞ、なんの遠慮もござるまい」

 幸村が淡々とした口調で思いせぬことを語った。

「異な事を申されますな。それがしはとうの昔に藤堂家を退去してござる」

「それは違いますぞ、高虎殿は全国の大名に回状を廻された」

「回状」 庄兵衛が不審顔をした。

「加持庄兵衛は我が家臣にござる。お召し抱えなきようお願い仕る。そうした

内容でした」 幸村が驚くべき真相を告げたのだ。

「なんと、・・・・高虎の殿が?真の事にござるか」

 庄兵衛の声がうわずった。そう言われれば納得もゆく、どの大名も己の訪問

を避け召し抱えようとはしなかった。その為に長い浪人生活を送ってきたの

だ。明日が最後の合戦と思っているのに、そのような話を持ち出されても納得

がゆかない。

(今となっては豊臣方の武将として華々しく散るまでの事。だが何故じゃ、

高虎の殿のご意志は) 今の庄兵衛には藤堂高虎の真意がまるで分らない。

 だが言えることは今の己は大阪方の武将として闘っているのだ。

「真田様、今の話はなかったことに、明日はご一緒に冥途に参りますぞ」

 庄兵衛は最後の別離の言葉を残し、真田の本陣をあとにした。

 幸村が重臣の海野に何事か囁いていたが、庄兵衛は知らずにいた。 

 明けて五月七日の払暁、最後の合戦が幕をきった。

                  続く






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Last updated  Apr 19, 2010 11:30:34 AM
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