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Apr 21, 2010
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カテゴリ:武辺者
 

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        「死に遅れた男」 

          (最終章)

 庄兵衛が意識を取り戻したのは翌日の夜間であった。大阪方面の夜空が

炎で真っ赤に燃えている。

「敗けたのじゃ。・・・・わしは死に遅れてしもうた」

 無念の思いが胸をよぎった。周囲には落武者借りの雑兵の声が聞こえる。

 このままでは奴等の手に掛かる、立ち上がり後頭部に激痛が走った。

(ここで落武者狩りに遭っては叶わぬ)   庄兵衛は甲冑を脱ぎ捨てた。

 死に遅れた我が身が無性に腹立たしく思われるが、落武者として命を

捨てる気持ちにはなれない、一先ず身を隠し再起を計ろう。

 彼は愛用の大身槍を抱え血腥い戦場を去った。

 庄兵衛は手槍一本で全国を巡り歩いた。常に彼の脳裡に死に遅れた負い目

が、ずっしりとのしかかっていた。

 二年間があっという間に過ぎ去った。二代将軍秀忠の世に成り、治世は

安泰となった、既に戦国乱世の時代は終りを遂げたのだ。

 浪人狩りも緩やかになり、庄兵衛は仕官の為に大名家を訪れ売り込みを

計ったが、武者の時代が終った事を実感させられた。

 大名は能吏を必要とし、武辺者は無用の長物に成り下がったのだ。

「ご浪人様、もう店を閉めますがの」

 老婆の声で我に返った。随分、長い間ここに座っていたのだ。

「これは長居をした、済まぬ」 庄兵衛は中山道を伝って尾張に向かった。

 彼の胸に久しく忘れていた狂気に似た感覚が湧き上がっていた。

 このままでは野たれ死にじゃ、どこぞの大名家に斬り込みをかけ、遅まき

ながらも華々しく散り果てるか。

 今夜も街道脇の古寺で庄兵衛は野宿をしている、藪蚊が遠慮もなく襲って

くる。痒みを堪え月を仰ぎ見た、合戦の情景が目蓋の裏に蘇ってくる。

 鍬形も磯辺も生駒も皆、討死した。真田殿もそうじゃ。わし一人がおめおめと

生き残ってしまった。悔悟の念が湧き上がってくる。

「そうじゃ津に行こう。高虎の殿もご存命の筈じゃ、今は押しも押されぬ

三十二万石の大々名じゃ」

 庄兵衛の胸に高虎に反抗した若き時代がよぎった。形容の出来ない懐かしさ

で胸が熱くなった。何故、そんな感情になったのか庄兵衛にも分らないが、それ

が忌々しく乱暴に唾を吐き捨てた。

(津の城下で高虎の殿に見参し、見事に散ってくれょう)

 庄兵衛は猛々しい気持ちを抱いて津の城下町へと向かった。

 津の城下町に異様な浪人が姿を現した。大身槍を肩に粗末な身形で背に

旗指物を背負っている。

「元藤堂家の家臣、加持庄兵衛。城主の高虎様に些かの遺恨あり」

 奇妙な文言が墨痕鮮やかに描かれている。

 町行く人々が驚き騒ぎ、町奉行所の役人が駆け付けてきた。

「何としたざまじゃ、気が狂うてか」 年配者は庄兵衛を見知っている。

 庄兵衛は相変わらず高い鼻梁をみせ雑踏を掻き分け、茶店の軒下の長椅子

に腰を据え、臆した色も見せずに周囲を眺め廻している。

(面白くなった、高虎の殿はどうなさる)

 不敵な面魂が往年を彷彿させている。馬蹄の音が響き初老の武士が姿を

みせ、町役人を制止した。

「これはお懐かしい、藤堂新八郎殿か」 彼は藤堂家の家老である。

「庄兵衛、その形はなんじゃ」

「豊臣方の武将の成れの果ての姿じゃ」 

                   続く     







Last updated  Apr 21, 2010 04:20:47 PM
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