1177546 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

長編時代小説コーナ

長編時代小説コーナ

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

龍5777

龍5777

Favorite Blog

^-^◆【助言の光】支… New! 和活喜さん

いさまろの【1億円稼… New! Isamaroさん

5人で会食! New! 韓国の達人!さん

マリーゴールドに恋… New! 千菊丸2151さん

スマホでEPSON EW-05… New! Pearunさん

Comments

 人間辛抱@ Re:何故、安保法制が必要なのか。 (08/09) どうもお久しぶりです。 新型コロナウイル…
 http://buycialisky.com/@ Re:士道惨なり(11)(12/10) cialis muscle paincialis daily use side…
 http://buycialisky.com/@ Re:改定  上杉景勝(12/11) cialis 5 mg prezzo in farmaciaanti cial…
 http://buycialisky.com/@ Re:騒乱江戸湊(04/28) cialis in spanien kaufenavoid counterfe…
 http://buycialisky.com/@ Re:「改訂  上杉景勝」(04/21) what happens if a woman takes viagra or…
 http://viagraky.com/@ Re:士道惨なり(11)(12/10) offshore viagra &lt;a href=&quot; <sma…

Category

Freepage List

Calendar

Jul 27, 2011
XML
カテゴリ:伊庭求馬無情剣

にほんブログ村 小説ブログ 歴史・時代小説へ クール にほんブログ村 小説ブログへ 

   
   「騒乱江戸湊(94)」

「いよいよ闇公方一味との、最後の闘いとなりましたな」

 天野監物と若山豊後が興奮の面持ちを見せている。二人にとって長い

日時であった、それだけに感激もひとしなのであろう。

「さて、鳳凰丸の様子をお聞かせ願いますかな」

 求馬が表情も変えず、不精髭のはいた天野監物の顔を覗きみた。

「仰せのごとく丑の刻に鳳凰丸は品川沖から侵入してきます。常に舳先を

品川に向け、一刻半ほど停泊し七つ半(午前五時)には品川沖に去ります」

「三回ともそうでした、あの船は同じ行動を繰り返しております」

 若山豊後も興奮ぎみに告げた。

「ご苦労でした。明日も同じ刻限に現れましょうな、鳳凰丸は闇公方一味の

救出を目的とし、丑の刻に江戸湾に侵入するのでしょう」

 求馬がこともなげに断言した。

「奴等はいつ動きます?」

「天野さん、奴等は江戸の町を火の海にするまで動きません」

「なんと-」  若い豊後が憤りを現している。

「それも風の強い晩にことを起こします。それがいつかは解りません」

「なんとしたことじゃ」

 二人が地団太を踏んでいる。風の強い晩を予測することは困難である。

それは三人とも分かっていることであった。 

「お二人にお願いがござる。明日、それがしを石川御用地にお連れ下さらんか」

「・・・もう打ち切りではこざいませんのか?」

「天野さん、闇公方一味を殲滅しても鳳凰丸に引導を渡さねば、この一連の

騒動は終わりません。その意味で鳳凰丸を一度見たいものです」

「分かりまた、ご案内いたします」

 翌日の晩、三人が日本橋を出発したのは深夜である。猪牙船で石川御用地

に着き、求馬は前方に広がる江戸湾を眺めている。

 波の打ち寄せる音にまじって潮の香りが漂い、薄闇の江戸湾が一望できる。

 求馬は御用地の先端の岩に腰を据え、愛用の煙管を銜えている。

「現れましたぞ」

 若山豊後の緊張した声がした。

 求馬が江戸湾を透かし見た、品川沖から真っ直ぐに大船が迫ってくる。まるで

巨大な岩を連想させる光景である。途中から巨大な帆が巻き上げられ、ゆっくり

と回頭をはじめ、船尾を永代橋に向けて停泊した。

 この石川御用地のやや南東の位置に投錨したことになる。

「お二人にお訊ねいたす。停泊を見たのはこれで四回目ですな、鳳凰丸の

停泊の位置はどうですか?」

「四度とも同じ場所にございます」

 火盗改方の二人が口を揃えて断言した。

「そうですか」

 求馬は東に霞んで見える富岡八幡宮を眺めている、そこは寛永四年に大川

河口の砂洲を埋め建てられたもので、深川の総鎮守で深川八幡とも言われる

場所である。

 富岡八幡祭りは、江戸の三代祭りのひとつで勇み肌の神輿渡御(とぎょう)

として知られていた。

「いかが成されました」

 二人が求馬の様子を見て不審そうに声をかけた。

「富岡八幡宮の大川寄りには三十三間堂がありますな。北に本所、深川を

控え、さらに東に向えば埋立地の六万坪地に行き着きます。みなされ鳳凰丸

は、三十三間堂を横に見て、船尾を永代橋に向け停泊しておりますな。なら

ば打ち手はござる」

 求馬が乾いた声で勝算があると宣言したのだ。

「分かりましたぞ」

 若山豊後が興奮した声をあげた。

「豊後、おめえは何が分かったのじゃ」

「天野さん、闇公方の逃走経路ですよ」

「なんだと豊後、おめえにそれが分かったと言うのかえ」

「天野さん、両国橋をぬけ竪川か小名木川に入れば横川と合流します。

そのまま南に進み、三十三間堂から江戸湾に向いば大船の左舷に出ます」

 若山豊後が興奮しながら説明した。


 騒乱江戸湊(1)へ






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  Jul 27, 2011 02:58:48 PM
コメント(47) | コメントを書く
[伊庭求馬無情剣] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.