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Sep 1, 2011
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カテゴリ:伊庭求馬活殺剣
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     「影の刺客」(2)

「根岸、敵は遣い手じゃ。ぬかるでない」

 主水が注意を与えるや、刺客の群れに躍り込んだ。大刀が闇夜を

斬り裂き、同田貫と異名される正国が二人の曲者を存分に斬りすてた。

 血の臭いが漂い、凄惨な雰囲気となった。

「流石は嘉納主水殿」

 冷酷な声を発した刺客の頭が正眼に構えをとって対峙した。

 すきのない構えから、不気味な殺気が湧き上がっている。

 頭を守るように左右に黒装束の刺客が低い態勢をとっている。

「御前」

 用人の根岸一馬が闘いの場から駈けもどってきた。

 西風が主水の小鬢(こびん)を揺らした。

「その方等、わしの剣で命を捨てるか?」

 主水が野太い声で挑発した。それを待っていたように左右の刺客が、

猛然と仕掛けてきた。

 根岸一馬が左手の大刀を刎(は)ねあげた。それを横目とし主水が

右手の刺客の喉首を叩き斬り、前面をふさぐ頭に肉薄した。

 両者の視線が絡みあい、刃と刃が交差した。宙を斬り裂く音が二人の

耳朶をうち、ぶっかるような鍔競り合いとなった。 

 二人の足元から砂埃がたち、主水の眼に不気味で感情のない相手の

瞳が映った。気迫と気力をしぼり二人は命の瀬戸際で闘っている。

 相手が主水の躰を押し返し、離れぎわに物凄い一颯を送りつけた。

「くそっ」

 主水が憤怒の声を発した。右袖を斬り裂かれたのだ。 

 顔面を朱色に変え迫る主水に刺客の頭が手で制した。

「今宵はこれまでじゃ。邪魔者が入ったようじゃ」

 刺客の頭が大刀を口にし、後方に身を反転させ闇に溶け込んだ。

それを見た残りの刺客も、一斉に刃を引き四方に散っていった。

「曲者、待たぬか」

 大声をあげ強盗提灯をちらつかせた一団が近づいてくる。

「根岸、怪我人はないか?」

「軽い手傷を負った者はございますが、大丈夫にございます」

「そうか、どうやら火付盗賊改方が現れたようじゃ」

 主水が懐紙で正国の血糊を拭い鞘に納めた。

 火付盗賊改方が足音を響かせ近づいてきた。

「根岸、提灯に火を点じよ」

 根岸一馬の指示で提灯に火が点った。

 それを目印に火付盗賊改方の面々が姿を現した。

「大目付さまのご行列にございますか?」

 火付盗賊改方のなかから一人の男が現れた。

「左様じゃ、そちは天野監物ではないか?」

 主水の濃い髭跡の顔がゆるんだ。

「お久しう存じます。襲った曲者は何者にございます?」

 天野監物が片膝をつき、不精髭のはいた精悍な面差しで主水を

仰ぎ見ている。

「分からぬ、じゃが死骸があるはずじゃ。改めよ」

「はっ、して曲者はどちらに逃げ去りました」

「追っても無駄じゃ、奴等は並みの者ではない。死骸から正体のわかる

ものがでたら、我が屋敷に報せよ」

 主水が不気味な夜空を眺め、天野監物に下知を与えた。

「畏まりました」

 火付盗賊改方の面々が、嘉納主水の行列を見送っている。

「天野さんは大目付さまと昵懇にござるか?」

 火付盗賊改方の朋輩が驚いている。

「まあな、さる事件をご一緒に解決したまでじゃ。雨の降らないうちに

死骸を改めてくんな」

 天野監物が下知を下し、一人、優越感に浸っている。

 三十俵二人扶持の軽輩の身で、三千五百石取りの大目付と懇意である

ことに喜びを感じていた。

 大目付とは老中の命で動き、職掌は大名の監視が主な勤めである。

 老中の下といっても、彼等も譜代の大名で大目付の監視下にあった。

まか不思議なお勤めである。


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Last updated  Sep 1, 2011 11:49:04 AM
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