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Nov 25, 2011
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カテゴリ:伊庭求馬活殺剣
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     「影の刺客」(70)

 嘲笑をあびせ、最後の一颯を振りおろそうとした瞬間。

「爺を殺してはならぬ」

 治済の身をかばうように、お佳世が甲戌の前に立ちふさがった。

「女子は下がるのじゃ」

 さしもの甲戌も躊躇いをみせた、それを眼にした治済がお佳世の躰の

背後に隠れようとした。

「それが愚か者の振る舞いか」

 罵声とともに一閃が宙を裂き、治済にむかって煌めくと同時に、

お佳世が女とは思われぬ勢いで、身を挺し治済をかばった。

 白痴ゆえの愛情表現であったのかもしれない。

 ざっくりとした斬撃の感触を掌に感じた、甲戌が舌打ちをした。

「馬鹿な女子じゃ」

 お佳世の豪華な打掛が斜めに両断され、金襴緞子の肩口から血潮

が噴きあがり、お佳世の死体が治済の躰に覆いかぶさった。

「お覚悟を」

 甲戌が大刀を上段に振りかぶった、それは二人の躰を両断する構えで

あった。治済がお佳世の躰の下から恐怖の顔つきをみせている。

「曲者、手を引かぬか」

 主水の制止する声が響き、小柄が甲戌にむかって放たれた。

 素早く大刀で弾きとばした甲戌に、主水の愛刀、正国が襲いかかった。

 甲戌が大刀を摺りあげた。火花をものともせず、主水が猛烈な斬りこみを

敢行した。甲戌が躰を沈め躱した、正国が風音を響かせ甲戌の頭上を奔り

ぬけた。それは瞬時の出来事であった。

「貴様は何者じゃ」

 甲戌が身を低め大刀を突出した構えで威嚇した。

「忘れおったか、大目付の嘉納主水じゃ」

 声と同時に主水が一歩踏み込み、再び猛烈な攻勢を仕掛けてきた。

 長身の甲戌が見事な足並みをみせ、素早く後退した。

 二人は相正眼の構えに入った。そのまま静かな対峙がはじまり、甲戌

が間合いを取り、そのままの態勢で耳をそばだてた。

 廊下からは駆けちがう乱れた足音が聞こえてくる。

 屋敷内の各所でまだ闘いの懸け声と悲鳴が聞こえるが、仲間の大半が

斃れたと悟った。

「嘉納主水、聞きしに勝る腕前じゃ」

 甲戌が正眼から脇備えの構えに変化させ、素早い攻撃を送りつけた。

 主水は予期したごとく、数歩さがって受け流し、再度の攻撃に移ろうと

態勢を整えた。

「この勝負、あずける」

 甲戌の長身が後方に反転し、そのまま廊下に逃れ出た。

「トオ-」

 井坂隼人の懸け声が響き苦悶の声があがっている。甲戌は廊下を

疾走しながら、呼子笛を高々と吹き鳴らした。

 刺客道の生き残りが一斉に刃を引き、身をひるがえし庭に躍りでていった。

 甲戌も襲いくる家臣を薙ぎ倒し庭先に飛びだした。

 四名の生き残りが待ち受けていた。全員が血塗れの手傷を負っており、

なかには重傷の者も混じっている。

「皆、よく遣った。外に出れば火付盗賊改方が待ち受けておろう。なんとして

も落ち延びるのじゃ、捕えられたら自害いたせ」

 甲戌が非情な下知を与えた。

「お頭、さらばにござる」

 最後の別れを述べ、四名が散り散りとなって庭から土塀を飛び越えて

去っていった。

「現れよったぞ、逃すでない」

 怒号と大刀の打ちあたる音、乱れた足音が凍った庭先まで聞こえてくる。

 甲戌は無念の思いで、その音を聞きながら屋敷内を睨んだ。

 既に屋敷は静寂に覆われている。

「さらばいぬるか」

 独り言を呟いた甲戌が土塀に飛び乗り、周囲を見廻した。

 仲間が火付盗賊改方に包囲されながら、激闘する姿が見える。

 甲戌が土塀上を風のように走りはじめた。

「土塀に曲者が居るぞ」

「逃すな」

 そうした声を背に受け、神田橋御門へと駆けた。

「思った通りじゃ」

 御門警備の役人は五名ほどであった、残りは一橋御門に向かったようだ。

 甲戌が濠を見つめた。冷え込みが激しく所々に薄氷が見える。

「あそこに曲者が居る」

 甲戌の姿を見つけた火付盗賊改方の面々が、大刀を抜き連ねた。

「貴様等に、わしが倒せるか」

 土塀から甲戌が吠え、覆面と黒装束を脱ぎ捨てた。

 その様子を火付盗賊改方の面々が、不審そうな顔つきで眺めている。


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Last updated  Nov 25, 2011 11:22:06 AM
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