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May 18, 2012
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カテゴリ:改訂  上杉景勝
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       「改訂  上杉景勝」 (82)


「佐吉、勝算があると申すが、お主に武功があるか」

 大谷形部が遠慮なく三成の弱点を突いた。

 三成が声を失った、形部の言う通り三成は豊臣政権の中枢を歩みながらも、

華々しい合戦での活躍に欠けていた。

 大谷形部も直江山城守も、戦塵にあっては数々の武功をあげている。

 この二人の前では加藤清正、福島正則でも一目おくだけの実績と凄味を

兼ね備えている。

「このまま見過ごす訳にはいかぬ、狸爺に天下を簒奪される」

「それをお主が阻止すると申すか」

 大谷形部がしわがれ声で念をおした。

「わしが起たねば、誰が豊臣家を守る」

 三成が顔を引き締め昂然と胸をはって答えた。

 その様子を無言で眺める兼続は胸が熱くなった。たかだか十九万石余の

佐和山城主の小名が、二百五十万石の大大名の徳川家康に挑むとは、故

太閤殿下が信頼を置いた男子じゃ。

 直江山城守は改めて石田三成という武将の意気込みに眼を見張った。

「佐吉、お主の心意気は買う。じゃが内府に匹敵する兵力が集められるか、

合戦とは相手と拮抗する戦力がなくては勝てぬ。その戦略があると申すか」

 大谷形部が盲目の視線を三成にむけ質問した。

「ある」  三成が童顔を染め決然と言い切った。

「あると申すか、奇弁は通らぬ。あれば聞かせよ」

「紀之助、亡き前田利家さまが内府と一戦を覚悟された時、お味方に集まっ

た武将を存じておるか」

「分からぬ、わしは内府にお味方した」

「紀之助、それらの武将の方々の大半がわしに与力をしてくれる」

「なに-、それはどなたじゃ」

「大老の毛利輝元さまに宇喜多秀家さまじゃ」

「承知成されたか」

 大谷形部の言葉に三成が笑みを浮かべて答えた。

「驚くなよ、四国の長曾我部殿も賛同成された。更に西国大名の大半も

調略を終え、今は九州各地の大名家にも手を廻しておる」

「既にそこまで手を回したか」

 白布に覆われた形部が顔をかたむけている。

「そこでじゃ」

 三成が言葉をきり山城守に視線を向けた。

「申されますな、我が上杉家の決起がお望みでしょう」

「会津百二十万石の上杉景勝さまが、お味方に加われば必ず勝てます」

 三成が白皙の直江山城守を凝視し、大谷形部は無言で耳を傾けている。

「景勝公の説得はそれがしが承りましょう」

「有難し、お願い申す」

 三成が深々と頭を下げた。

「佐吉、小西行長殿、小早川秀秋さまもお味方されるか」

「当然じゃ、併し、秀秋さまは今一つ信用出来ぬ」

「そうじゃの、朝鮮の役ではお主を嫌っておるでな」

 兼続は二人の語らいを聞きながら、三成を狙う荒大名の動きに危惧を

覚えていた。

「石田殿、それまで命を永らえて下され」

「拙者には成算がござる。奉行を辞職したし佐和山城に逼塞いたす」

 三成の言葉に二人は驚いた。

「佐吉、そのようなことが可能か」

「駄目なら豊臣家は滅亡する」

「分かった。わしの命を預けよう」

「紀之助」

 大谷形部の両手を握った三成の双眸から涙が滴っている。

「石田殿、合戦予定地は何処とお考えじゃ」

「美濃の関ヶ原を予定いたしております」

 兼続の問いに三成が即座に返答した。

「あの地形は良い、早速、景勝公に言上いたし合戦の用意をいたしましょう」

 兼続は三成の壮大で正確な戦略眼に驚嘆していた。

 徳川の直営軍は二つに分かれる筈である。一軍は徳川家康が率い、江戸

からの軍勢は秀忠を総大将として信濃を抜け、関ヶ原へと向かうだろう。

 そうなれば大谷形部の娘を娶った真田家の出番がある。

 それよりも関ヶ原は大軍を持ちえるに適した場所である。

 そのことが直江山城守の心を晴れやかにしていたのだ。

土、日はお休みします。

 
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Last updated  May 18, 2012 11:04:12 AM
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